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野菜・果物を食べる頻度増える JC総研の消費行動調査

 JC総研は11月29日、今年の「野菜・果物の消費行動調査」の結果を発表した。それによると、野菜や果物をほぼ毎日食べている人は、昨年に比べて4.5ポイントと大きく増え、72.1%に達した。JC総研では、大きく増えた理由として、「昨年に比べて野菜の価格が総じて前年より低く推移した」ことなどを挙げている。

◆単身男性では消費減る

 JC総研では、毎年、各農畜産物別に消費行動調査を行っている。野菜・果物は、平成20年から調査を始めた。
 野菜の摂食頻度は、20年調査では「ほぼ毎食」、「ほぼ毎日」が合計71.9%だったが、今回は72.1%と、0.2ポイント増えた。果物は、より増え20年調査で「ほぼ毎食」「ほぼ毎日」は合計29.7%だったが、今回の調査では35.3%と、5.6ポイントも増えた。
 しかし、全体の摂食頻度が増えている一方で、単身男性の摂食頻度だけは野菜、果物ともに前年より減った。単身男性では野菜を「週に1日、または食べない」とした答えは16.6%で前年より3ポイント増え、果物は45.6%で同1.2ポイント増えた。
 野菜や果物を食べる頻度は、年齢が高くなるにつれて増加している傾向にある。JC総研では、「今後の需要増や、国民全体の健康などを考えた場合、30代ぐらいまでの若年層、とくに単身男性への消費喚起が重要になる」と指摘している。
 ただ、普段から野菜を食べていない人ほど、野菜を摂取しようとする意識が低いという問題も浮き彫りになった。野菜の摂取量に対する意識調査で、全体の49.7%が「野菜不足である」と感じているが、ほぼ毎日食べている人の6割以上が野菜不足を感じているのに対し、週に1回以下しか食べない人では、3割弱しか野菜不足を感じていない。野菜を食べない人への消費喚起の難しさが示されている。

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(上図はクリックすると大きな画像が開きます)


◆直売所、JAでの購入増える

 野菜をもっとも買う場所はどこか、という質問ではスーパーが78.6%で突出し、2位が生協5.5%、次いで専門店5.2%、農産物直売所5%と続く。
 ただ、昨年に比べて生協が0.4ポイントほど減ったのに対し、直売所が0.7ポイント伸びており、直売所の役割が期待される。また、JA(直売所は除く)という回答も前年から0.4ポイント増えて1.5%だった。
 また、好きな野菜・果物を聞いたところ、野菜では、昨年2位だったキャベツが1位、2位が昨年1位だったタマネギ、次いでジャガイモ、トマト、ダイコンと続く。キャベツ、白菜など、今年の平均価格が安かった野菜が順位を上げており、「好きな野菜と価格には相関関係があるだろう」と分析している。
 嫌いな野菜は2年連続でセロリ、次いでミョウガ、パセリと続く。
 好きな果物は昨年3位だったミカンが1位、次いで、モモ、イチゴ、ナシ、リンゴの順だった。

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(上図はクリックすると大きな画像が開きます)


◆若年層ほど、植物工場に疑問

 今年は、植物工場に対する意識調査を初めて導入した。
 植物工場でつくられる野菜や植物工場全体に対するイメージを自由回答で集めたものだが、若年層ほど植物工場に対してマイナスイメージを持っていることがわかった。
 20代以下では、「太陽光を浴びてないので、栄養価が低いと思う」が1位だったが、この回答は年齢を追うごとに下位になり、60代では7位まで落ちる。また、「野菜は土で育てるべき」という回答も20代では4位だったが、60代では9位まで落ちる。
 一方、「衛生的」という回答は、20代では7位と低い一方、50代、70代で1位、60代で2位と、年齢が高まるにつれて好意的なイメージが上位になる。
 JC総研では、「若い人ほど植物工場によいイメージを持っているとの仮説を立てていたが、まったく逆で驚いている。今後、植物工場で生産された野菜が普及してくればイメージが変わるかもしれない。継続して調査を行いたい」としている。


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