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レポート―JA共済大賞  平成22年度JA共済優績組合表彰

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【平成22年度JA共済優績組合表彰】 3Q訪問活動を基軸に 地域との絆築く

・JAあいち三河「役職員が一致団結 3Q訪問活動を徹底」
・JAあいち豊田「LAトレーナーを積極的に導入 保障内容の充実訴える」

 JA共済連(安田舜一郎経営管理委員会会長)は5月18日、平成22年度JA共済優績組合表彰におけるJA共済大賞表彰式を東京・平河町のJA共済ビルで行った。例年は共済事業で優秀な業績を挙げた表彰組合を集め、優績組合表彰式を開催しているが、今年度は東日本大震災の影響を鑑み、中止することとし、最も優秀な成績を挙げたJA共済大賞受賞組合のみの表彰式を行うこととした。JA共済大賞の栄誉に輝いた愛知県のJAあいち三河とJAあいち豊田の取組みを紹介する。

愛知県・JAあいち三河

役職員が一致団結
3Q訪問活動を徹底

◆役職員の団結誇る

JAあいち三河 JAあいち三河は役職員の団結力を誇る。平成11年4月に3JA(岡崎市、額田町、幸田町)が合併して現在に至るが、合併を経ても「団結力の強さはうまく継承されてきた。団結意識を持っている役職員が多い」と山本欽也常務(金融共済担当)は力強く語る。
 「団結」の1つの表れが全職員で取り組む一斉推進だ。同JAは、相互扶助に基づくJA共済を、JA理念の象徴とし、「全職員参画による共済事業」を大きな柱の1つとしている。
 そうした理念で合併以来、毎年4月に一斉推進に取り組み、早期に一斉推進における目標を達成している。あくまで短期決戦で期間は長くしない。
 その理由を【高】橋厚組合長は「早く目標をやりとげ、あとをLAの“土俵”にしてあげるためです」と話す。
 そして「早期達成の意気込みが共済から経済や信用など他の事業にも波及して年度初めの起爆剤になってくれればありがたいという思いも込められています」という。

役職員が一致団結
◆士気高く一斉推進

 一斉推進体制は(1)一般推進班311人(うち推進リーダー271人)(2)LA39人(3)特殊部署(産直施設、旅行センターなど)の3つで構成される。推進リーダーというのは契約締結まで行う職員だ。
 一斉推進の期間中は【高】橋組合長をはじめ常勤役員が夜間に支店を訪れて、推進に出かける職員たちを激励するのが通例となっている。
また、LA体制・トレーナー制度も強化していく。しかしLAの人数が増えても「全職員による一斉推進の取り組みは残していきたい」と山本常務は語る。「全職員の参画による共済事業」という取組みの柱は堅持していく考えだ。


◆保有純増を続ける

 同JAは11年の合併以来、生命・建物更生共済の保有純増を毎年続けている。
 「保有純増を伸ばしていかないと共済事業の意味が薄らいでしまう」(【高】橋組合長)として力を入れ、22年度は6億円強が純増。生命・建物更生共済の保有契約高は1兆2261億円となった。
 当初は保有純増について職員の理解は総じて高くはなかった。「新契約目標は達成した。それ以上の目標をなんで上積みする必要があるのか、などという職員の声が聞こえてくる状況だった」と山本常務は振り返る。
 そこで、なぜ保有純増に取り組む必要があるのかという説明の文書をまとめ、各部課長を通して徹底した。
 こうした同JAの活動スタイルについて【高】橋組合長は「地道」と表現。「地道にやってきたことが今日につながっています」と話す。また、「役職員が結束している基盤には組合員・利用者の農協に対する信頼と支えがあります。これを忘れてはいけません」と強調した。


◆LAに情報伝える

 これらを受けて天野【吉】伸専務は「組合員を大切にする地域密着の事業を進める中でJA共済大賞を受賞したことをありがたく思っています。保有契約高を減らさないという意気込みを職員が十分に理解したから現状があるのかなと思います」と語った。
 同JAは満期を迎える契約についてもしっかり管理している。満期の契約が非継続となった場合、長期共済満期引継連絡票を基に、LAがもう1度訪問して再確認や新たな保障を提案することとしている。
 LA体制は年々強化して39人。全戸訪問に向けて、LA1人あたり年間最低600戸の訪問を目標としている。LAは普及課に所属するが、勤務地は担当支店だ。
LA以外の職員が共済加入につながる情報をLAに伝える情報連絡制度も「全職員参画の共済事業」の実践だ。一般職員は毎月、月刊広報誌の手配りを兼ねて組合員のお宅に伺い、取得した情報を基に連携をはかっている。


◆LAトレーナー制度を導入

 LAは今年度から3か年計画で50人にまで増やし、全戸訪問の体制を整備する。今年の新人LAは9人で、現在、3Q訪問活動に熱心に取り組んでいる。
 LAトレーナー制度は昨年導入し、最も実績を挙げているLAを任命した。この初代トレーナーは毎年、保障金額で平均100億円を推進してきたスーパーLAだ。また、普及課長も40億50億円を推進してきたスーパーLAである。
 担当役員として、「この2人が抜けたあとの実績をどうするか、とても穴埋めや底上げはできないのではないか、と悩んだ」と山本常務は導入前の不安を振り返る。
 しかし、結果的には2人が、3Q訪問活動の浸透は普及活動の基本であるとして「3Q訪問活動への取組みを徹底して行うことでLAによる推進の底上げをカバーしてくれた」という。
 今年度はトレーナーを2人に増やし、体制の強化を図っている。


JAあいち三河の概況◆新たなファンづくりへ

 地産地消にも力を入れており、管内には産直施設の直売所が多い。とくに17年に新装オープンした「幸田憩の農園」は22年度の売上高が19億5000万円に達する全国有数の直売所だ。
 主産物は米、麦、大豆、ナス、自然薯、イチゴ、筆柿、ブドウ。とくに筆柿(フデガキ)は年間716tを生産し、全国シェアは95%以上。
 今後の事業展開について、?橋組合長は「共済事業に限らず、総合的に事業展開のバランスがとれており、どの事業も地域に密着して取り組めていると思います。しかし、農協ファンの掘り起しや営農部門の強化など、今後取り組まなければいけない問題がいろいろあります。とくにファンづくりがまだまだ。顧客層を広げていくのがこれからの課題となります。とりわけ若年層がもっと農協に目を向けてくれるようにしなければならない。」と話す。

    高橋組合長 天野専務  山本常務

(写真)左から高橋組合長・天野専務・山本常務

【高】の字は正式には旧字体です。【吉】の字は「吉」の「士」が「土」です。

 


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愛知県・JAあいち豊田

LAトレーナーを積極的に導入
保障内容の充実訴える



◆理解広がる優位性


JAあいち豊田 「JA共済大賞受賞は、JA共済の保障内容の優位性を組合員・利用者によくご理解いただいた結果であると思います。感謝申し上げます」と梅村正吾組合長は受賞の喜びを語る。
 同JAがJA共済大賞に輝いたのは平成1920年度の連続受賞から今回が3度目の快挙だ。宇野幸伸常務は、22年度の新しい取組みについて、「LA10人に対して1人のトレーナーを配置し、合計6人の体制でトレーナー制度を導入しました」と話す。
 トレーナーは優れたLAの中から任命するため、「6人も抜けると実績面で不安がある。3人程度でよい」との意見も出たが、「それくらいなら導入はやめたほうがよい。やるのであればきちんと指導できる体制を組むべきだ、と6人体制をお願いした」と清水宏明共済部長は語る。


◆新制度うまく機能

 22年度の推進体制は▽普及課長3人▽トレーナー6人▽グループリーダー12人▽LA67人(グループリーダーを含む)▽共済クラブ員137人▽共済準クラブ員262人▽一般222人。
 22年度のLAの目標は▽生命・建物更生共済17億円(ただし、個人別にも自主目標を設定しており、26億円の設定が最も多い)▽年金共済1500万円▽自動車共済15件▽3Q訪問活動385件だった。
 トレーナー6人は管内を6地区に分けてそれぞれ担当。定期的なトレーナー会議をはじめ、地区ごとの共済担当者実績検討会議を開き、自動車共済を中心とした取組みや支店ごとの実績の確認をしている。
 トレーナー制度は試行錯誤を覚悟の上で導入した。当初は戸惑いもあったが、後半はトレーナーを主体として職員たちが団結して取り組み、同制度はうまく機能した。


◆人を見て法を説く

 結果としてLAの実績占有率は98・6%と非常に高くなっている。21年度は97・6%だった。
 トレーナーのLA支援は、主として組合員・利用者のお宅への同行訪問で行う。
 清水部長は「同じことを指導するにしても、それぞれのLAに合わせてものの言い方を変えているトレーナーが効果を挙げており、感心しています」と話す。“人を見て法を説く”トレーナーが成果を挙げているとのことだ。
 LAは年間を通じて大きな目標があり、精神面をどのように保つかが重要だという。LAの基礎知識は外部講師による研修を年間計画を立てて実施している。
 優れた成績を挙げているLAの活動については「やはり面談数、訪問数が圧倒的に多いですね。実によく動きます。“口よりも足”の時代といえるかも知れません」と清水部長。
 加えて、「それに目標達成への責任感が強くて、粘り強いこと。足だけでなく自分でよく考え“頭”も使っています。全体としてLAのモチベーションは高いと感じます」と話す。


◆存在感あるJAへ

スタジアムイベント JAあいち豊田は「きずな(絆)日本一」の目標を掲げている。
絆づくりを合言葉に、地域に密着し、小まめに足を運んでコミュニケーションを図ることで、今年もJA共済大賞の栄に輝いている。
残念ながら任期半ばでこの4月に亡くなられた奥田克也前組合長は、組合員・利用者の方々に「農協があって、ほんとに良かった」といわれるような存在感のあるJAづくりを目指そうといつも話していた。「奥田前組合長は、3年連続の大賞受賞を悲願としていらしたので、1年のブランクにはなりましたが今回の大賞受賞を本当に喜ばれただろうと思います」と宇野常務は話す。

(写真)スタジアムイベント


◆組合員訪問を復活

 LAの活動を除くと、最近は職員の組合員訪問が少なくなり、若い職員は組合員と話す機会がなくなってきている。目標にも掲げている絆づくりを活動の原点とし、職員の組合員訪問の機会を増やすためにも、23年度からは数年ぶりに全職員の一斉推進日を復活させた。共済の推進に限らず、組合員との信頼関係の構築を図り、ニューパートナーづくりにも積極的に取り組む。


◆絆強める直売事業

JAあいち豊田の概況 同JAは14年にJA豊田市、JA三好町、JAよつば、JA下山村の4JAが合併して誕生しました。管内には「トヨタの企業城下町」ともいえる地域を有しているが、中山間地から平地の水田地帯まで多様な地域を含み、管内面積は愛知県の5分の1を占めるほど広い。温度差なども異なるため、JAとしては一律の施策は難しい。
 そうした中で各地域特性を活かした米、モモ、ナシ、茶、キク、ブドウなどの生産が盛んだ。
 それらを販売する地産地消の「産直プラザ」もJA本店前に出店してにぎわっている。また、これとは別にグリーンセンターの出店もある。
 「これらは単なる販売事業ではなく、組合員・地域住民とのきずなをつくっていく事業なのです」と梅村組合長は話す。
 また「地域住民からは安全・安心を買っていただいているのです」とも語った。生産者の名前を確かめてから買うという志向がはっきり現れてきているという。産直プラザができてから新たにJAファンになった住民もいる。
 一方、産直取引をきっかけにJA共済に加入する組合員も増えており、絆づくりをキーワードにした同JAの活動は今後さらに期待される。

                                     

   梅村組合長 沢田専務 宇野常務

(写真)左から梅村組合長・沢田専務・宇野常務

 

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(2011.06.01)