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全農特集「国産農畜産物の販売力強化」実現のために

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【JA全農 生活部】 「エーコープマーク品」を地元農産物の販促ツールに

・エーコープマーク品のこだわり
・レシピ提案でよさを伝える
・地元野菜に付加価値をつける
・店内コラボで生まれる効果も

 JA全農は23年度事業計画の中で生活関連事業の一つに「国産農畜産物や国産原材料を使用したエーコープマーク品の取扱拡大」を掲げている。その取り組みとして、JA全農生活部ではAコープやJAが直営する農産物直売所へのエーコープマーク品の導入に力を入れている。"地産地消"の拠点である直売所と連携することで、地元農産物の販売支援とエーコープマーク品のPRという互いの販売促進に結びつく相乗効果を期待する。
 そこで今回、エーコープマーク品を昨年のオープン当初から取り扱っているJAさがみ(神奈川県)の農産物直売所「わいわい市」藤沢店を取材した。

農産物直売所の特性生かした商品展開


◆エーコープマーク品のこだわり

エーコープマーク品のこだわり エーコープマーク品は昭和46年の開発以来、「安心・安全と信頼」をモットーにしたJAグループが取り扱うオリジナル商品だ。現在、商品のラインアップは生鮮加工食品や調味料、粉類などの食品と日用品や衣料品などあわせて1300点以上にのぼる。食品では食の安全、環境、農業や生活を守るという考えのもと、農家組合員が生産した国産農畜産物を原料に優先使用しているほか、北海道産100%使用のスイートコーンの缶詰や国産原材料100%のはるさめなど主原料が国産100%のものには「国産愛用マーク」をパッケージに貼付している。
 JA全農生活部が農産物直売所にエーコープマーク品の導入を積極的に進める最大の理由は国産農畜産物の販売促進。「旬の野菜と一緒に関連商品を提案することで地元農産物の販売力アップとリピーター客の増加につながることがねらい」で、地元の農産物が集まり、それぞれの地域・店ごとに特性がある直売所にあわせた商品と売場づくりの提案を行っている。昨年までに農産物直売所にエーコープマーク品のコーナーを設置したのは17カ所。その1店舗がこの「わいわい市」藤沢店だ。


◆レシピ提案でよさを伝える

新鮮な地元野菜などを求める人で連日にぎわう 組合員生産者の所得向上を一番のスタンスとする直売所でエーコープマーク品の役割は出荷された地産農産物の販売促進の支援だ。同店では来店客にエーコープマーク品のよさを知ってもらい、農産物の販売に役立てようと試食販売や商品陳列に工夫している。
 たとえば、夏にはキュウリとエーコープマーク品の『きゅうり漬けの素』を並べて売る、旬の果物と一緒に『ゼリーの素』を使ったおやつのレシピを試食提案する、といった地元野菜などと合わせた試食販売や売場づくりだ。こういった食べ方の提案をすることで、エーコープマーク品のおいしさや作りやすさを知ってもらうことができ、最初はなかなか手にとってくれなかった人も商品を買ってくれるという。「いままでならキュウリ2本でよかったところに『きゅうり漬けの素』でレシピ提案すると、それじゃあ1袋買おうか、となってくれます」と佐藤洋店長はいう。
佐藤洋店長 家で作ってみようとエーコープマーク品を手に取ってもらえれば、その材料として野菜も売れるというわけだ。これが地産地消の促進にもつながり、直売所が地域の「食育」の場として発展することも期待できる。「エーコープ商品のよさを広く知ってもらうために直売所での展開は非常に効率的。商品を店内でどうアピールしていくかがポイントです」。

(写真)
上:新鮮な地元野菜などを求める人で連日にぎわう
下:佐藤洋店長


◆地元野菜に付加価値をつける

「わいわい市」藤沢店 同店はJAさがみ管内の直売所2号店として昨年12月にオープンした。管内は小規模農家や兼業農家が多い。少量生産のために市場出荷できず、自分の庭先などで販売するしかない生産者が多いことから、農家所得向上と後継者対策の一助としてJAが直売所をオープンした。開店から1年経たずして、これまでの売上総額は7億円を超え、年間売上目標の5.2億円を達成、更新を続けている。地元の農畜産物を取り扱っている量販店が少ないことから「地元のものを食べたい」という人の支持を得て、来店客数も40万人に届く勢いだ。
 同店の特徴は500平方mの広い店内に地場産の野菜や果物、県産の肉、地元産小麦を使った加工品のほか、週2回地元漁協による鮮魚販売もある充実した品揃えだ。その一角に「エーコープマーク品」コーナーがあり、常時100点以上の食品を取りそろえている。
エーコープマーク品のコーナー 同店でのエーコープマーク品群は、野菜に比べて単価が高いこともあり、オープンから今年8月末までの品目別の売上金額では、トマトに次いで第2位を占める(数量では第4位)。
 特に「漬け物の素」や「すりごま」などの売れ行きが高いことから「野菜と一緒に食べてもらう相乗のコンセプトをお客さんに理解していただけている結果」だと佐藤店長は効果を実感している。

(写真)
上:「わいわい市」藤沢店
下:エーコープマーク品のコーナー


◆店内コラボで生まれる効果も

 そのほかの提案方法として、JA女性部のメンバーが中心となり、直売所に隣接したJA施設内の調理室で直売所の野菜とエーコープマーク品を使った料理講座を開いている。女性部がおいしい食べ方のメニューを提案・指導することで、今後さらに一般消費者に地元農産物を知ってもらい、エーコープマーク品を紹介していきたいと、女性部が作ったレシピを直売所にフィードバックすることも計画中だ。
 また、鮮魚販売との「即興コラボ」によって生まれる相乗効果も。水揚げされたサバが並んだ日、「シメサバにしたらおいしいんじゃないか」という漁協の人のアイデアで、横にエーコープの食酢を並べてみたところ、思わぬ販促効果につながった。
 佐藤店長はエーコープマーク品を取り扱うメリットについて「これまで組合員向けとして売られていたものが、ご来店されたお客様の目にも直接触れることでファンが増えることと、非常に安全性に考慮され、こだわりをもってつくられたものなので、安心・安全という直売所のコンセプトとも合致し、自信を持って売れること」だと話し、「今後も地産農産物が売れる付加価値のある商品開発をしてほしい。目標は現在1人あたり8.5品の購入点数を10品にすること」とエーコープマーク品に期待する。
 JA全農生活部では農産物直売所へのエーコープマーク品コーナーの設置を今年度は全国80カ所に拡大することをめざしている。

(2011.10.25)