和食の知られざる世界
- 著者
- 辻芳樹
- 発行所
- 新潮新書
- 発行日
- 2013年12月14日
- 定価
- 本体720円+税
- 電話
- 0120-468-465
- 評者
- 高橋テツ / JAいわて花巻理事
「ユネスコ文化遺産」に登録された「和食」について辻芳樹先生の『和食の知られざる世界』を拝読し、改めてその奥深いものを感じました。
人と人のつながり
「和」に意味あり
栄養バランスに優れた健康食品であること、つまり余計な動物性油脂を摂らない食事スタイルは日本人の平均寿命を高くし、誇るべきこととして捉えておりましたが、恵まれた自然環境に根差した豊富な食材、そしてその素材の良さを活かした調理法や盛り付け、加えて季節に合った器やディスプレイ等々関係者の方々の「和」の「食」に対する思いを感じることが出来ました。
数年前、仕事の関係でタイで3年ほど暮らしましたが、タイ料理の豊富さには目を見張るものがあり、「甘い」「辛い」「酸っぱい」料理はまさに南国ならではのものでした。
タイ人は自分達の国の料理をとても誇りに思っております。私は仕事柄、比較的裕福な暮らしをしている公務員の人たちや、また50数県の田舎を歩いて職能グループと言われる働く女性たちや若者たちとも親しく関わりましたが、彼らは身分に関係なく、どこでも、誰でも巧みにフォークとスプーンを使い料理を楽しんでいます。
田舎では自給自足の生活が主流ですが首都バンコクでは台所がない家も多く、賑やかな屋台での食ライフを楽しんでおります。出勤してから職場の食堂で朝食を食べる人も多いです。
その点、我々日本人は「食べ物」をただ「口に給する」だけではなく「食」の時間が家族の絆を深めたり、子供たちの「食育」に繋がったりと「食」の意味合いは大きいと思います。
本書は料理の味わい方、良い店の条件、世界の称賛する「和食」の意味等興味深く触れる事が出来、いつも手元においておきたい本となりました。
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