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コラム:農政寸評

【森島 賢】

2013.05.16 
国債急落 アベノミクス破綻の前兆か一覧へ

 この欄は、広く農政に関わるニュースを速報し、それに寸評を加えたものです。

日本国債の先物価格(20121202〜20130515) 国債の価格が急落している。
 上の図は、安倍晋三首相(当時、自民党総裁)が「日銀の輪転機をぐるぐる回してカネを印刷すればいい」などと発言した頃から昨日までの国債価格である。1週前から急落している。アベノミクスに黄色信号がつきだしたのである。
 新聞などは、金利急騰と書いているが、これは国債急落と同じ意味である。だが、国債急落とは言わず、金利急騰と書いて、ことの重大さを曖昧にしている。
 だが、ことは重大である。悪質なインフレになる懸念がある。
 これは、アベノミクスの第1の矢の金融緩和の結果である。政府と一体になった日銀が、大幅に金融を緩和した結果である。そして、それはインフレを容認した政府の責任である。さらに、日本の賃金は高いなどといって、会社の中に豊富にあるカネを国内で投資せず、社内に溜めこみ、TPPに加盟して海外投資を目論んでいる経営者の責任である。

 国債を大量に持っている銀行などは、いまのうちに早く売ってしまおうとして、価格の下落に拍車をかけている。
 政府も、新しい国債を大量に発行して、売ろうとしている。
 だが、買い手がいない。これでは、価格が下がってもしかたがない。
 ここにはインフレへの懸念がある。政府はインフレを目指している。将来、インフレになれば、1万円の国債は1万円以下の価値になってしまう。だから、国債を持っている銀行や金持ちは、いまのうちに国債を売ってしまおうとしている。

 国債を売ったカネをどうするか。それが問題である。そのカネで日本の株式を買っている、と新聞が伝えている。
 そこにおさまっていれば、カネ持ちのマネーゲームとして傍観していられる。庶民とは関係ない。
 だが、外国の株式や債権や金や銀を買いだしたら、どうなるか。そのためには、国債を売ったマネーの¥を売って$に換えねばならない。その結果、¥の価値が下がる。円安である。そうなると、輸入品の価格が軒並み上がりインフレになる。庶民とは無関係などといっていられない。農家にとっては、飼料価格や石油などの価格が上がり、収益を圧迫する。
 マネーが石油へ向かうとどうなるか。もちろん石油を買い溜めるのではない。先物市場でマネーゲームに耽るのである。その結果、実際に石油価格が上がる。
 石油価格が上がれば、その影響は、直接に庶民にふりかかる。石油は生活必需品を作る原材料だからである。
 つまり、石油価格が上がれば、あらゆるモノの価格が上がる。つまり、インフレになる。
 庶民は、上がる前に買おうとする。インフレで老後に備えた貯金は目減りする。インフレはさらに加速する。この動きが制御できなくなれば、悪質なハイパーインフレになってしまう。
 この動きを止めるのは至難のわざである。

 いま、アベノミクスは土壇場に立っている。
 立ち直る方策は、金融の無茶苦茶な緩和ではない。カネは企業の中にあり余っている。このカネで庶民の懐を温めることである。
 日本の賃金は高い、などと言って庶民を痛めつけることではない。技術革新のために国内に投資して、国民全体が力を合わせて経済の再生を図ることである。


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