【コラム・ここがカンジン】JA合併はなぜ進められたか2014年2月21日
何事にも押さえておきべき肝要のポイントがある。それを外すと努力が徒労に終わり、熱意が空回りすることも珍しくない。総合JA研究会を主宰する福間莞爾氏に随時、JAや農政を考える場合の要点を述べてもらう。
JA合併はなぜ進められたのか。その転機は、1000JA構想を打ち出した1988年の第18回JA全国大会「21世紀を展望する農協の基本戦略」だった。この構想は、91年の第19回JA全国大会での「農協・21世紀への挑戦と改革」を経て実現されていく。この大会では、JAは1000JA構想を実現し、系統農協を従来の3段階から2段階へ再編することを提唱した。
◇
合併には賛否両論がある。JAの経営的要請から合併を不可避と考える意見、他方、合併は組合の民主的運営に反するとして反対する意見である。もちろん両論とも、それぞれの根拠があり、一概にどちらが良いとは言い切れない面がある。
しかし現実的には、1000JA構想が採択され、JAグループは組織をあげて合併に取り組むことになった。
◇
この結果、JA数は703(2014年1月1日現在)となり、予想を上回るペースで進んだ。合併は、金融自由化への対応や営農関連の施設整備、人材の確保(特に職員)のために行われた。とくに、JAは信用事業を兼営しており、その社会的存在から経営基盤を盤石にすることが求められ、また、将来的に組合員の付託に応えていくためには、一定の資金の確保や優秀な人材をJAに揃えることが必要との認識があった。このような要請のもとで進められたのが合併であり、組織整備の基本は、単位JAの体制整備には、大きく二つの方向がある。一つは、JAの活動基盤を単位JAとし、連合組織はこれを補完するという立場であり、もう一つは、JA組織をタテ割りに再編成し、全国連が本店、単位JAは全国連の支店とする立場だ。言うまでもなく、現在の組織整備はこのうちの最初の、JA本店、連合組織はその補完という立場に立って行われている。
◇
言い換えれば、「単位JAの水平統合を基本に、連合組織を垂直統合する」というのが、組織整備の基本図式だ。JA合併が進まなければ、相対的に連合組織の力は巨大となる。事業は連合会主導で、単位JAは単なる連合会の事業推進の出先という方向は、協同組合としてとるべき組織再編の姿ではない。したがって、合併はJA主導の組織運営を進めて行くうえでも必要とされる対策でもあった。
このようにJAの場合、合併は単に単位JAの問題だけではなく、連合会を含めてそのあり方を考えなければならない課題だったのだ。その意味で、自立JAの確立こそが合併の基本命題なのである。これからのJAを考える場合、このことをしっかり押さえておくことが肝要である。
重要な記事
最新の記事
-
【現地レポート・JAの水田農業戦略】新たな輪作で活路(2)子実コーンの「先駆者」 JA古川2024年3月29日
-
農業者所得増加へデジタルビジネス加速 農林中金 中期ビジョンを策定2024年3月29日
-
「子ども世代に農業勧めたい」生産者の2割 所得向上が課題 農林中金調査2024年3月29日
-
東京・大阪で組合長らが 「夢大地かもと」スイカをPR JA鹿本2024年3月29日
-
全国から1,000名を超える農業の担い手が集う 「第26回全国農業担い手サミットinさが」開催 佐賀県2024年3月29日
-
家族みんなで夏の農業体験はじめよう 食農体験イベント「土袋でデコきゅうり」開催 JA兵庫六甲2024年3月29日
-
(377)食中毒1万人は多いか?【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年3月29日
-
【浅野純次・読書の楽しみ】第96回2024年3月29日
-
【人事異動】全国農業会議所(4月1日付)2024年3月29日
-
品種で異なるメロンの味わいを体験 自由が丘「一果房」で29日から 青木商店2024年3月29日
-
第160回勉強会「レジリエントな植物工場運営・発展に向けて~災害からの復旧・復興事例から学ぶ」開催 植物工場研究会2024年3月29日
-
創立55周年記念 ガーデニング用 殺虫・殺菌スプレーなど発売 住友化学園芸2024年3月29日
-
「核兵器禁止条約」参加求める26万の署名 藤沢市議会が意見を採択 パルシステム神奈川2024年3月29日
-
尾鷲伝統の味「尾鷲甘夏」出荷開始 JA伊勢2024年3月29日
-
令和6年能登半島地震 被災地農家を応援 JA全農石川へ寄付 KOMPEITO2024年3月29日
-
林木育種センター九州育種場 九州育種基本区の「スギエリートツリー特性表」公表 森林総研2024年3月29日
-
農業フランチャイズのクールコネクト シードラウンドで3200万円を調達2024年3月29日
-
鳥インフル 米メイン州からの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年3月29日
-
畜産施設の糞尿処理で悪臭対策 良質な堆肥化を促進 微生物製剤を開発 B・Jコーポレーション2024年3月29日
-
水田のスマート水管理で東大大学院農学生命科学研究科と共同研究開始 ほくつう2024年3月29日