【コラム・ひとこと】農業への企業参入にひとこと2014年5月8日
オバマ大統領が4月23日国賓として日本を訪問。TPP日米交渉については「前進する道筋を特定した」と共同声明に盛り込まれた。実質的にTPPは先送りされ、とりあえずほっとしている。
堤美果著『(株)貧困大国アメリカ』完結編を平行して読んだ。株式会社が農業に参入してからアメリカの農業はすっかりだめになったと著者はいう。日本政府は、日本の農民を代表して、日本の国益を考えて、TPP交渉をしていると信ずる。しかし、アメリカの農業は、伝統的な農業が時代遅れ、非効率と批判され、強い農業が叫ばれ、自由貿易政策の下に、巨大な産業へと変えられてしまった。
TPP交渉のバックにいるのは、アメリカ農民のためというより、巨大なアグリビジネス産業の利益のためのような気がする。アメリカの零細家族農家は消滅し、株式会社経営の下での低賃金、福利厚生なしのパートタイム農業労働者になってしまった。
農家だった祖父の時代は愛情こめて動物を育てたのに、今は農地という場所と安い労働力の提供だけだ。大企業との契約により借金で建てた大規模鶏舎、感染症防止の抗生物質の投与、肉の赤身を出すためのヒ素を添加した飼料を鶏に与える、糞尿の蒸発で鶏舎の空気は悪い。農家の誇りを失った養鶏、養豚農家の実例、1980年代からアメリカの牧場主や農業従事者の自殺が増えているという。
価格競争のための規模拡大、農業への企業参入が、利益追求として株のウオール街から歓迎され、アグリビジネス産業が多国籍化してゆく。アメリカのある経済学者は、「アメリカは、もはや国民が自国の農業をコントロールできなくなっている。食べ物を誰が、何処で、どのように、どれだけ生産するかを決める決定権が、アメリカ人からアグリビジネス多国籍企業へ移っている」と述べている。
日本はまだ農協に力がある。当然アメリカ、いや背後のアグリビジネス多国籍企業から、日本の農協つぶしを図る動きが出るだろう、あらゆる知恵を絞って逃れなければならない。それが99%の人のためになる。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(90)みどりの食料システム戦略 現在の技術で実現可能でしょ(4)2024年4月20日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(7)【防除学習帖】 第246回2024年4月20日
-
土壌診断の基礎知識(16)【今さら聞けない営農情報】第246回2024年4月20日
-
地域複合農業戦略に挑む(2)JA秋田中央会会長 小松忠彦氏【未来視座 JAトップインタビュー】2024年4月19日
-
農基法改正案が衆院を通過 賛成多数で可決2024年4月19日
-
【注意報】さとうきびにメイチュウ類 伊是名島で発生多発のおそれ 沖縄県2024年4月19日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:JA水戸 那珂川低温倉庫(茨城県) 温湿度・穀温 適正化徹底2024年4月19日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ対策を万全に 農業倉庫基金理事長 長瀬仁人氏2024年4月19日
-
食農教育補助教材を市内小学校へ贈呈 JA鶴岡とJA庄内たがわ2024年4月19日
-
【浅野純次・読書の楽しみ】第97回2024年4月19日
-
(380)震災時は5歳【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年4月19日
-
【JA人事】JA道北なよろ(北海道)村上清組合長を再任(4月12日)2024年4月19日
-
地拵え作業を遠隔操作「ラジコン式地拵機」レンタル開始 アクティオ2024年4月19日
-
協同組合のアイデンティティ 再確認 日本文化厚生連24年度事業計画2024年4月19日
-
料理酒「CS-4T」に含まれる成分が代替肉など食品の不快臭を改善 特許取得 白鶴酒造2024年4月19日
-
やきいもの聖地・らぽっぽファームで「GWやきいも工場祭2024」開催2024年4月19日
-
『ニッポンエール』グミシリーズから「広島県産世羅なしグミ」新発売 JA全農2024年4月19日
-
「パルシステムでんき」新規受付を再開 市場の影響を受けにくい再エネ調達力を強化2024年4月19日
-
養分欠乏下で高い生産性 陸稲品種 マダガスカルで「Mavitrika」開発 国際農研2024年4月19日
-
福島県産ブランド豚「麓山高原豚」使用『喜多方ラーメンバーガー』新発売 JAタウン2024年4月19日