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コラム:正義派の農政論

【森島 賢】

2015.03.23 
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 米のMA輸入について、アメリカとの間に密約があるのではないか、という疑問が国会で議論になった。アメリカから一定量の米を輸入するという密約である。
 この疑問は、以前からあって、そのつど、政府は否定してきた。仮に密約があっても、外交上、明かせないのだろう。そうした秘密外交は糾弾されるべきだ。
 この疑惑に加えて、いまTPPの秘密交渉で、アメリカからの米の輸入量を増やすことを密約している、という報道が一部にある。減反で苦しんでいるのに、輸入を増やすというのである。これは見過ごせない。

MA米の国別輸入量(1995-2013年度)

 密約疑惑の根拠は、上の図にある。
 この図は、MA(ミニマムアクセス)が始まった1995年から昨年度までのMA米の輸入量を国別に示したものである。
 合計をみると、2000年度から水平線になっている。この年度から関税化したので、合計は一定量の76.7万トンになっている。これは不思議ではない。
 不思議なのは、アメリカからの輸入量も、合計の約半分の一定量になっていることである。(2007年度は米の国際価格が暴騰した影響がある。)詳しくみると、それ以前も、アメリカからの輸入量は、合計の約半分になっている。

 MAは、いうまでもなく、ごく少量に限定して、自由な市場競争による輸入を容認する、という制度である。
 その結果が、上の図である。しかし、これが自由な市場競争の結果とは、とうてい思えない。アメリカとの密約という人為的な結果としか思えない。
 密約疑惑の根拠は、この図にある。

 こうした密約を特定の国と結ぶことは、自由貿易の「無差別待遇」の大原則に違反する。この原則は、ある特定の1つの国に対して、差別的に有利な待遇を与えるな、というものである。その結果、全ての国に公平な待遇を与える、という原則である。
 この原則は、GATT協定で、加盟各国が遵守すべきことを規定している。だから、こうした密約は、この国際法に違反する。

 日米の両国は、自由と法治という価値観を共有している、という。しかし、この図をみると、両国は自由を尊重してもいないし、国際法も守っていない。そういう重大な疑惑が、この図から見える。
 その上、一部のマスコミは、いまのTPP交渉で、こうした違法な密約を重ね、アメリカからの米の輸入量を増やそうとしている、と疑っている。TPPに参加するために、アメリカが欲しいこの「切り札」を使うのでは、という疑惑である。

 この疑惑が晴れなければ、いったい、どうなるか。密約がある、と思うしかない。
 そうなれば、日米関係は価値観を共有する同盟関係どころか、日本はアメリカに従属する関係になってしまう。
 だからといって、「戦後レジームから脱却」して、軍国主義を復活し、日米関係を軍事的に対等な同盟にせよ、と主張しているわけでは決してない。
 世界から賞賛されている、戦後日本の平和主義の旗を高く掲げ、この屈辱的な対米密約を、断固として破棄しなければならない。

(前回 農協の県別政治力

(前々回 協同組合は格差を根絶する

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