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コラム:正義派の農政論

【森島 賢】

2015.05.25 
民主と維新の合同勉強会に期待一覧へ

 21日、民主党と維新の党が、農協法改正案などについての合同勉強会を行った。今後、全7回で条文ごとに議論するという。
 野党第一党と第二党の合同研究会である。大いに期待したい。これを核にし、合同の範囲を広げ、来年の参議院選挙にのぞんで欲しいものである。よもや、惨敗して野党が3分の1を割り、憲法9条を廃棄するような、平和憲法の改悪を国会で発議してほしくない。

 維新といえば都市政党と思われがちだが、そうではない。民主は、もともと都市政党といわれてきた。しかし最近は、そうではない。両党とも農林派の議員は少なくない。
 彼らが結束し、それを他の野党にも広げ、与党に立ち向かえば、一強多弱の、いまの政治体制を打ち破ることができるだろう。安倍晋三首相の一強政治に反省を迫ることができるだろう。
 いまの自民党は、農村を基盤にしていない。農村の政治風土は流動化している。

 この際、2009年の政権交代を思い出してみよう。交代の原動力は農村にあった。野党の農林議員の活躍が政権を奪った。この実績を再現させることは不可能ではない。
 原動力になったのは、民主党が看板政策にした戸別所得補償制度の創設だった。米価の下落に歯止めをかける岩盤政策だった。この政策が農業者の大多数の支持をえて、政権を交代させた。

 いまの政府は、この岩盤にドリルで穴を開けた。つまり、補償を半額に値切った。そして3年後には、残りの半額も無くし、この政策を跡かたもなく破壊しようとしている。
 それに対して、農業者は大きな危惧を抱いている。米価が今後も、底なし沼のように、ずるずると下がり続ける危惧である。そうなれば、農業を続けられない。

 こんどの両党の合同勉強会は、農協法に限定した勉強会だが、それに引き続いて、戸別所得補償制度を課題にした合同研究会に発展させたらどうか。それを課題にし、農政の根本問題にまで遡って、議論をつづけたらどうか。
 戸別所得補償制度の復活を要求している野党は少なくない。合同勉強会を、さらに他の野党にまで広げ、野党が共同して、戸別所得補償法案を国会に提案することを期待したい。
 この法案は、米価がこれ以下には下がらない、下がっても再生産ができるように、農業者の所得を補償する、だから、売り急いで下落に拍車をかけなくていい、というもので、米価に強固な岩盤を復活する法案である。
 大多数の農業者は熱烈に支持するだろう。そうなれば、自民もうかうかしてはいられない。

 いまの民主党の農政改革案には、いくつかの問題点がある。それを他の野党との議論のなかで磨き上げる。そのことを、こんどの勉強会にのぞみたい。
 戸別所得補償制度の好評から分かることは、政策の目的を明確にすることと、選別政策をやめることである。
 民主党が選別政策をやめることは、すでに明言している。
 勉強会に期待したいのは、農政の目的を明示することである。農業者は、その目的に向かって努力することが、社会的使命になる。勉強会は、農業者が誇りをもって、その社会的使命を果たせるような農政の目的を、根本にさかのぼって議論することである。
 むやみに競争を煽ることではない。まして、TPPの場で外国と競争することではない。それでは食糧自給率がますます下がり、食糧安保を危うくする。

 自民党などは、所得の確保が農政の究極的な目的のように考えているが、そんな浅薄なものではない。こうした考えが農業者の誇りを傷つけてきた。
 いくつかの野党は、この土俵に上がって勝負しようとしている。だが、予算をにぎっていない野党に勝ち目はない。それでは与党の思う壺にはまってしまう。
 農業所得政策は、そんなものではない。食糧安保など、農業の崇高な目的を実現するために、その役割りをになう農業者の所得を確保する政策である。それは手段であって、目的ではない。
 合同勉強会の、今後の議論を期待したい。農業軽視の自民党政治に、敢然として立ち向かうことを、多くの農業者が期待している。

(前回 理念なき民主党農政

(前々回 安保法制と農協の競争至上主義化

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