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コラム:正義派の農政論

【森島 賢】

2016.02.29 
民主・維新の新党で反TPP大連合を一覧へ

 民主党と維新の党が、新党を作って合流するようだ。野党の第1党と第3党の合流である。4か月後の参院選をひかえ、自公の巨大与党に対抗する野党の結集の第1歩にしたいのだろう。
 1強多弱のもとで、沈滞するいまの政治に、大きな一石を投じるもので、歓迎したい。これを核にして、野党が参院選で勝つために大連合し、与党を震撼させて、政治を活性化することを期待したい。
 いったい、どんな綱領のもとで合流し、参院選にのぞむのだろうか。
 参院選の主戦場は1人区だそうだ。1人区は農村部に多い。だから、主要な論点は農政になるだろう。そして、その争点はTPPだろう。

 新党の農政は、そして大連合する野党の共通公約の農政は、どうなるのか。いまの政府の、市場原理主義農政を引き継ぐのか。そうして、農業を犠牲にし、食糧安保を放棄するのか。それとも食糧安保のために、農業を振興し、食糧自給率を向上する農政に転換しようとするのか。
 いったい、どちらにするのか、農業者は、かたずを飲んで見守っている。

 ◇

 2009年、民主党は当時の市場原理主義農政を批判し、食糧安保農政の旗を高くかかげた。それが、農業者の圧倒的な支持を得て、政権交代を果たした。 
 当時の政府は、市場原理主義にもとづく競争原理によって、小規模農家を切り捨て、大規模農家だけを優遇する選別政策を行おうとしていた。そのためには、食糧自給率が下がってもやむを得ない、食糧安保が侵されてもいい、という農政に向かっていた。
 これに対し、民主党は食糧安保のための自給率向上を、農政の最重要な目的に掲げた。そして、この目的に貢献する農家は、規模の大小にかかわらず、また農業者の年齢の老若にかかわらず、全てを農政の対象にすることを公約した。そうした農家の再生産を確保するために、生産費を補償することを公約した。このようにして政権を奪った。

 ◇

 こんどの参院選でも、農政の対立点は、以前と同じである。つまり、市場原理主義農政か、食糧安保農政か、の対立である。
 以前と違うのは、対立点が具体的で、だから、分かりやすいことである。対立点は、市場原理主義の権化のTPPである。その上、見やすくなるのは、TPPを参院選直前の国会審議での中心問題にしたことである。
 ここで、新党や野党連合が反TPPの態度を明確に示し、選挙公約に鮮明に掲げれば、2009年の政権交代のときの選挙より大きな差で勝つことができるだろう。そうなれば、与党の内部に動揺がひろがり、市場原理主義農政に批判的な人たちが奮起するだろう。

 ◇

 しかし、野党の反TPP大連合ができなければ、農業者が投票したい候補者がいなくなる。政党不信、政治不信は、これまで以上に深刻になるだろう。そうして、これまでどおりの1強多弱の政治を続け、市場原理主義農政を強行するだろう。
 農業者にとって、また、国民にとって、これほど不幸なことはない。
 そうした事態になることを拒否するには、TPPは民主党政権のときに言い出したことだ、などという経緯は忘れ、連合労組のくびきから離れ、野党の第2党の共産党にも呼びかけて、反TPPの大連合を作り上げねばならない。
 民主・維新の新党に期待したいのは、このことである。
(2016.02.29)

(前回 黒いものは黒い

(前々回 参院選直前の異例な農政論議

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