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【小松泰信・地方の眼力】攻撃は続く。戦いは終わらない2016年12月7日

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【小松泰信 岡山大学大学院教授】

 日本農業新聞(12月2日)によれば、1日の参院TPP特別委員会で、山田俊男議員(TPP合意貫徹に転向した元全中専務)が、〝規制改革推進会議〟は首相の威を借りて全中や全農を攻撃しており会議委員の刷新などが必要、としたのに対して安倍首相は、「私も規制改革推進会議も、JAや全農を攻撃しているのではなく励ましている。強く励ましながら、真に農業者の利益となるように頑張ってほしい(という思い)」と説明し、「強欲を原動力とする市場主義は排し、瑞穂の国にふさわしい市場主義を(生産現場の)皆さんや山田さんと作っていきたい」と述べている。ラウンド終盤でのポイント稼ぎの猫パンチ的質問に対しても、〝息を吐くように嘘をつく〟アベちゃん。さすがと感心しながら、2ヵ所にツッコミを入れる。

◆これが激励ですか

小泉進次郎氏 まずは「強く励ます」という詭弁。そろそろ卒論指導も終盤にさしかかり学生に鞭を入れねばならない頃。もし学生から「先生、それアカデミックハラスメントです」と訴えられたら、「君には大いに期待している。君の成長を願って強く励ましたのです」ということにする。学舎では通用しないが、国政の場なら通用する、不思議な言辞である。
 そして、〝強欲市場主義を排する〟とは噴飯物。世界中の強欲市場主義のために岩盤規制にドリルで穴を空けますと、あちこちで見得を切ったことを忘れたとは言わせない。今ごろ引出しの奥から〝瑞穂の国の市場主義〟を出してきても、とっくにカビが生えた古証文。思慮が浅いのか、国民をなめきっているのか、結局両方か。

◆歴史的ツケを全農、JAグループにまわすな

 日本経済新聞(12月2日)の社説は、「農協や連合会は農業所得の増大に最大限の配慮をしなければならない」と改正農協法は明記しており、全農はその意味を良く考えて改革を急ぐべき、とする。この執筆者の目には、全農が惰眠をむさぼっているように見えているのであろう。そして「非農家組合員の数が農家組合員を上回り、経営を金融事業に依存する現状は、農協本来の姿と大きくかけ離れている」として、是正への努力を要求している。
 だれが、いかなる理由で求めているのかは不明。正准組合員が、貯金するなら信用事業を、リスクに備えるなら共済事業を、それぞれ利用するのは自らの組織に信頼を寄せていればこその行動。そのどこが問題なのか。もし農協の購買・販売事業が黒字だとするならば、経営陣はだれに指図されることもなく組合員への還元を考える。むろん大赤字を推奨はしないが、農業関連事業の黒字は必ずしも評価されない。しかし現実的には黒字化が困難ゆえに、信用事業や共済事業に関連する業界のルールに則って正当な剰余をあげ、それで営農関連事業の赤字を補填する。そのどこが本来の姿とかけ離れているのか。
 ハッキリ言っておくが、信用・共済事業を縮小して農業支援に注力しても農業所得が飛躍的に伸びることはない。たとえ伸びたとしても、それ以上のもの、あるいは取り返しのつかないものを失うこと必至。常日頃の、国民の食料に対する支払意思と行動を想起すればすぐ分かること。さらに少子高齢化によって胃袋の数も容積も下降傾向にある。所得も伸びず格差拡大。理由はいくらでもある。輸出に多くを期待できないことも皆が分かっている。
 百歩譲って信用・共済事業に依存する経営構造が本来の姿ではないとしても、その姿を農業協同組合が意識的に求めたわけではない。そうせざるを得なかっただけ。第二・三次産業を重視し、農業という産業を正当に位置づけず粗末に扱ってきたこの国の歴史的ツケが、JAグループに寄せ集められただけのこと。そのツケの清算を現在の全農やJAグループに押しつけることは国家によるえん罪である。そのような本質に触れることなく、「農家による農家のための組織という原点に農協は立ち戻り、農業支援にこそ注力すべきだ」とは、何と稚拙なオチか。

◆東京新聞よ、お前もか

 原発、安保法制、沖縄・辺野古問題、社会保障等々で他紙の追随を許さない編集姿勢を評価し、電子版にて愛読する東京新聞。全農改革問題を取り上げた社説(12月5日)の内容にはガッカリ。「主役は農家。協同組合はその支援。農協として本筋の営農事業に軸足を戻しつつ、全農は販路開拓、マーケティングやPR、あるいは会計管理など多方面から農家を支え、自立に導く、アドバイザーやコンサルタントとしての役割に移っていってはどうだろう」という件(くだり)は、金丸提言と通底している。
 それもそのはず、金丸グループの委員の一人である長谷川幸洋氏は東京新聞・中日新聞論説副主幹である。この社説の執筆者は不明だが、彼の影響は少なくないだろう。だとすれば、政府の人選に間違いなし、ということか。
 その長谷川氏、11月21日に同紙で、多くのマスコミがトランプ勝利や英国のEU離脱を読み違えた理由として、マスコミが「人々の怒りと不安を抱く世界の流れを読み違えているのだ」「記者たちは賢明で大衆が愚かと言わんばかりである。それは、あまりに『上から目線』ではないか。そんな認識でいる限り、世界の大きな潮流を理解できないだろう」としている。
 天に唾する、とはこのことか。

◆週刊文春も参戦。そして進次郞、旅に出ます

 週刊文春(12月8日)には、〝農協改革大荒れの影に秘密主義者奥原事務次官〟というタイトルと写真入りで、奥原正明氏を取り上げている。読み物的な話はさておき、農水省関係者によれば、氏は「農業が産業化し、農水省が要らなくなることが理想だ」と公言して憚らず「経産省の人」と言われており、「農協は解体してもいい、少なくとも協同組織の農協を株式会社化させ、金融部門は分離し、金融庁に移管すべきと考えている」そうである。知る人ぞ知る内容。注意を要するのは、今回の自主的全農改革に納得いかず、「残り任期内でのリベンジを虎視眈々と狙っている」という点である。こんな人が農水事務次官であるかぎり、農業・農協関係者は浮かばれない。そして、攻撃がまだまだ続くことを暗示している。
 さてこの人と気脈を通ずる小泉進次郞、来年1月からJA全国行脚に行くそうだ。父親は一つ覚えの『郵政改革』をやり遂げた人。血は争えない。一つ覚えの『農協改革』を目指すはず。見かけた方は、こう言ってやって下さい。
 「地方の眼力」なめんなよ

(前回 敗北を自覚し、再生の道を歩め

(前々回 創造的自己改革を邪魔するものとは断固戦う

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