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コラム:農協の現場から

【後藤善一 三ケ日町農協組合長】

2017.03.28 
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 農協役員で今のままの金融、共済中心の事業モデルで将来も経営をやっていけると考えている人はいないと思います、いたら経営者としての資質に疑問を持つべきです。今規制改革会議による農協改革という大きな課題がありますが、喫緊に取り組むべきことは硬直化した先行きの不透明な事業から時代に合った、自分たちの農協らしい地域の状況を考慮した新しい事業モデルの構築を目指すべきだと考えます。

 最近ダイバーシティという言葉がよく使われています、多様性ということですが私も今の農協のように自分たちに、都合の悪いことはすべて否定してしまう組織にとって大事なことだと痛感しています。ダイバーシティとは一人ひとり考え方が違うことを受け入れることです。今の変化の激しい時代には多様性が大事だと意識すると、組織内のパワーバランスよりも外に目が行くようになり、他の産業がイナミックに動いていくのに農協はなぜ変わっていけないのかということを考えるようになります。

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 私は9年前までみかん園の経営をしていましたが突然役員をやることになり、仕事を始めてみてまずわかったことは農協の役員、職員はグループの人間としか付き合っていないということでした。
 たしかに中にいれば居心地はいいのですが情報は入ってきません。また事業というものは外に向かってするものです。多様な人、情報の中に身を置くべきだと思いますし、これだけ激しく変化していく外部環境の中で農協の経営をやっていくにはさまざまな出自、経験をしている多様な人材、新しい正確なフィルタリングされていない情報が必要です。
 経営者の役割は組織の使命・目的を明らかにし、変わりゆく外部環境の中で戦略を立て、実行できる人材育成をし果敢に挑戦していくことです。

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 これからロボット、人口知能の発達、普及が私達の生活、仕事に大きく関わってくることが予想されますが、これらの進化を止めることはできませんし、私たちの生活、仕事に大きな影響を与えます。
 この動きは第四次産業革命だと言われています。ちなみに第一次産業革命を牽引したのは18世紀にイギリスで登場した蒸気機関。ボイラーで発生する蒸気の熱エネルギーを機械的仕事に変換する原動機でイギリスを「世界の工場」にしました。第二次産業革命は電気エネルギー。工場に電力が普及してベルトコンベアーを使った生産性の飛躍が起きました。第3次産業革命はコンピューターによる自動化。日本の製造業が力をつけていった時代です。私たちはこの動きに注意し、いろいろな考え方を受け入れ農協事業、農業に取り入れていくべきだと思います。

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 誰も語ろうとしませんが、今規制改革会議の考えている農業振興の一番のターゲットは農地法です。
 農協改革ということで農業振興にいやいや舵を切ったとしてもその影響力はわずかであり、農業生産者の所得向上にはあまり寄与しません。農協はそんなことを考えたこともなかったし、もうそんな力は無いように思います。また政府もあまり期待していないようです。
 労働生産性の向上を目指すのであれば農業生産の基本条件、資本、労働、農地の一番厄介で難しい農地法を変え経営体の規模拡大、集団化を図るべきです。
 いずれにしてもこれから農業者数は激減します、農業経営は多様なやる気と能力のある若者に任せるべきであり、それが日本における農業の在り方、食糧の安全保障のためだと思います。
 農地は国のものです。公共の生産資源を有意義に使い価値を創造できてはじめて所有する責任を果たせると思います。農地に対する考え方を抜本的に考え直すべき時なのかもしれません。

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