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【小松泰信・地方の眼力】規制緩和で地方早世2017年6月14日

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【小松 泰信 (岡山大学大学院 環境生命科学研究科教授)】

 「一番のがんは文化学芸員」の問題発言で、謝罪・撤回に追いこまれた山本幸三地方創生相が、5月30日の記者会見で、加計疑惑に関連して、性懲りも無く「獣医学部の質は落ちています」と放言。もちろん6月8日、全国大学獣医学関係代表者協議会と日本獣医学会は、「根拠のない批判だ」と反論した。

◆山本幸三に学部の〝質〟を語る資質なし

規制緩和で地方早世 記者への回答において、「...長年にわたって認めなかったことによって、残念ながら日本の獣医学部の質は落ちています。これは国際機関が各獣医学部のランキングというのを発表していますが、50位以内には、東京大学が34位に、1校しか入っていないという状況でありまして、OECD諸国はかなり複数入っています。...それを我々は改革してもらいたいと言って、訴えて、...農水省のそうした、産業動物獣医師等の偏在は有るということを認めていただいて、それを文科省も受け入れてやったわけでありますから、何ら問題はないと。行政をゆがめたなんてことは有り得ない」と、発言をした(内閣府HPより抜粋)。
 質の低下も一要因だったとは初耳。下種の後知恵、猿知恵の典型例である。そもそも、幸三レベルに学部の〝質〟を論じる資質なし。総理大臣や官房長官、それに媚びへつらう政治家の〝質〟の低下の方がよほど深刻。

◆怒りを押し殺しての冷静な反論

 反論の要点は、以下の通りである(全国大学獣医学関係代表者協議会HPより抜粋)。
 まず、「...昭和57年の6年制教育への転換を含め、まさに長年にわたってその改善に取り組んできました。ようやく今、その達成目標が見えてきたところです。それだけの時間を要した理由として、獣医師に対する社会的要請や認知、大学人の獣医学教育に対する認識、そして獣医学教育への資本投下に対する、農畜産業大国である欧米諸国と日本との相違が背景」とする。
 つぎに、「こうしたランキングは、多元的な項目評価によって行われ、評価方法や評価機関などによって変動するため、順位自体に一喜一憂すべきではありません」と、バッサリ。
 しかし「『獣医学分野』という括りのなかで見れば、50位以内は、ほぼ全てが北米、欧州、豪州のOECD加盟国の大学です。日本の獣医大学は、2016年までは50位以内には入らず、50位~100位に数校の名前が挙がっていました。2017年は東京大学のみが50位以内でした。...これらは残念ながら現実です。私たちは、これをもって"質が落ちている"と短絡的に判断するのではなく、評価の現状を真摯に受け止め、教育・研究をさらに強化し、情報発信にも努めて、...向上を目指す」とする。
 そのうえで、「...根本的な基盤となる教員数、支援スタッフ数に、日本と他国との間で極めて大きな差がある」ことを指摘し、「もう一歩進んだ大学の組織改革と、国や自治体、民間からの持続的な財政支援が不可欠」と、行政などの責務も問うている。
 最後に、「...その発言は、獣医学教育に関する国内外の現状と大学ランキングの背景を理解した上のものとは思えません。公的な場における根拠無き批判は、多くの先達を含め、...そこに身を置き研鑽を続ける獣医学生の努力を否定するもの」であり、「...獣医学教育、ひいては獣医学・獣医療への信頼性を損ね、また国際的にも...信頼を低下させる」と、危惧を表明している。
 怒りを押し殺し、その浅知恵をたしなめつつ、己の学問領域への理解と協力を求めている。

◆問題発言の背景にある岩盤思考と提灯持ち五人組の哀れ

 山本発言の背景には、竹田茂夫氏が指摘する〝岩盤規制という幻想〟、すなわち「既得権益を打ち破れば、競争原理が働いて資本・技術・労働力の再編で日本は成長できるという幻想」が、まさに岩盤然と横たわっている。(東京新聞6月1日)。
 安倍晋三も議長として出席していた第30回国家戦略特別区域諮問会議(5月22日)において、当コラムが規制虫と位置づける民間議員達がカンワ、カンワとキセイをあげている。先頭を切った八田達夫は、「本件は52年間にわたって学部新設を認めてこなかった岩盤規制に取り組んだものでございます。...教育及び研究の質を担保するものであれば、大学や学部の新設は認められるべきものです。...この選択が不透明だなどという指摘は全く的外れであります」と、的外れな援護射撃。
 規制虫の親玉、竹中平蔵は、「...獣医学部のほうは50年近く認められていない。まさにこれは岩盤規制です。...11月の諮問会議で、まず、広域的な、獣医学部がないところにつくろうということで、正々堂々たる、一点の曇りもない議論をしてきた」と、相変わらずの過信満々。さらに、「...今、証拠だと称しているのは出処不明のもので、そういうものに基づいて議論するということ自体が、私は批判されるべきだと思います」と、安倍と菅にとっての悪知恵袋ここにあり。
 坂根政弘は、「...今起こっているあの批判というのは、私自身が批判されているような思いで、非常に憤懣やる方ないという思いです。どういう意味かといいますと、参入規制で52年間守られたというのですが、永年規制で守られた業界というのは本当に世界に遅れをとるのです」と、証拠を示すことなく無責任発言。
 規制の存在意義を熟慮することなく、〝規制は緩和すべし〟の一点張り。詭弁を弄する、つける薬のない民間議員五人組は、「政策判断と決定プロセスは全て正当で、何らかの意向でゆがめられた事実はない」とする連名の文書を発表した(読売新聞14日)。国家戦略特別区域とは〝アベノ私物化特区〟。その会議体に選ばれし面々は、安倍のおめがねにかなった岩盤規制破壊論者。旦那の危機に慌てふためく提灯持ち連中の姿は、滑稽かつ哀れ。

◆第一次産業の解体切り売りで地方早世は必至

 〝国際農業力高める漁業の構造改革急げ〟というタイトルは日本経済新聞(13日)の社説である。
 まず、「漁業経営の合理化には、漁業権制度や漁業協同組合の改革が不可欠」とする。そして、「農業では規制改革が一定の効果をあげ、農業生産法人などが利用する農地が2015年までの10年間で2.2倍に拡大した。対照的に、漁業の改革は遅れている」と、詳細な検証も抜きに都合のいいところだけを取り出して成果とし、煽る。その成果を漁業においても享受するべく、「経営の合理化や企業参入を促すためには、まず硬直的な漁業権制度と漁協の改革を急ぐべきだ」との処方箋。「経営規模の拡大や企業参入を後押しする漁業権制度に変えてもらいたい」と、漁業権狙いであることを正直に記す。最後は、「農協改革のように販売力を増し、経費を削る努力が漁協にも要る。漁協運営の透明性を高め、外部の知恵をもっと取り入れるべきだ」と、農業と農協を蹂躙している悪魔の所業を、漁業と漁協に対しても展開せよとけしかける。
 池内了氏は、水道法改定と種子法の廃止を取り上げ、「...国や自治体が果たしてきた責任を放棄して多国籍企業に権益を明け渡す愚策である。...その弊害が累積して後世の人たちが苦しむのは必至...。...規制緩和という掛け声で国の根幹まで多国籍企業に売り渡そうとしていることに強く反対する」と、頂門の一針(東京新聞9日夕刊)。まったく同感。
 国の基である第一次産業の解体切り売りを目論む連中が、地方創生を語るとは笑止千万。創生どころか早世させること必至。
 「地方の眼力」なめんなよ

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