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コラム:TPPから見える風景

【近藤康男「TPPに反対する人々の運動」世話人】

2017.10.12 
目白押しの通商交渉、さてその行方は?一覧へ

 原稿を書いている10月11日の時点で、交渉日程は以下のように、本当にギッシリだ。その中で、日欧EPAだけは扉の向こう、見えないままだ。

◆まさにメガ交渉目白押しの10月、11月

 〇TPP11:10月下旬東京で高級事務レベル会合(直前は9月東京で)
       11月初旬ベトナムで11ヶ国首脳会合

 〇RCEP:10月17~28日仁川で第20回交渉会合(直前は9月10日マニラ閣僚会合)
       11月初旬ベトナムで11ヶ国首脳会合

 〇日米経済対話:10月16日ワシントンで第2回会合(既に事前協議開始)
         11月6日で日米首脳会談の日程調整中

 〇NAFTA:10月11~15日第4回交渉会合(直前は9月23~27日オタワ)

 〇韓米FTA:10月4日ワシントンで第2回会合(次回は未定)

 しかし、いずれも年内の成果あるいは決着を目指しているにも拘わらず、実質的に政府が公表する情報はゼロに近い。特にRCEPや、7月以降の日欧EPAについては外国政府のサイに頼るしかない。

 
 
◆徐々に複雑化し絡み合うメガ交渉、年内決着は難航必至な中、日本は前のめりに

 特に米国の圧力が影響を広げつつあるようだ。NAFTAや韓米FTAで、TPP並みのルールを要求したり(ISDSは否定)、貿易赤字削減のため農産物の一層の市場開放要求、原産地規則についての大幅見直しを求めている。カナダはTPPで守った畜産物の供給管理システムが攻撃されているし、自動車の原産地規則見直しは参加国だけでなく、メキシコに進出している日本にも影響が大きい。韓米FTAでの関税即時撤廃などの農産物市場開放要求は日米経済対話(日米FTA)に直接影響しかねないし、そこで譲歩を余儀なくされればその分はTPPでの対米譲歩相当分の関税割当数量枠やセ-フガ-ド発動基準数量に上積みされることを意味することになる。
 メキシコやカナダにとっては、NAFTAでのTPP以上の譲歩はTPPに米国が復帰した時にも起きかねないだけに安易な妥協は出来ないし、ベトナムやマレ-シアは、国有企業や繊維製品の原産地規則など、TPPで米国に譲歩させられた分だけでもTPP11では取り返したいところだ。
 しかし日米経済対話で、日本は本格交渉前に譲歩姿勢を見せている。

 

◆透明性ある政府の対応を更に求める
 
 政府は、以下の面談の際にも、特にTPP11や日欧EPAでの情報開示の不充分さを(それなりの理由があったとした上で)認めた。このまま行けば、日本の通商外交の大半を占める協定が、ほとんど情報開示もなく、従ってまともな国会審議もないまま合意・発効されかねない。
 市民団体のネットワ-ク「市民と政府のTPP意見交換会・実行委員会」は、政府への情報公開要請に賛同した団体と共に、9月6日所管官庁との面談で、文書回答を受け取り、約1時間半意見交換を行った。内容は⇒http://tpp-dialogue.blogspot.jp/
 その上で、10月3日付けで、面談当日回答が無かった点や不充分と判断される点に限って再質問・再要請を送付した。主な内容は、
(1)政府による説明会開催予定を関係省庁のウェッブサイト及び報道機関を通じて公表すること、
(2)交渉中の内容も可能な限り公表すべきとする市民側の理由への反論と、公表しない具体的理由を明らかにすること、
(3)TPP11や日欧EPAでいくつかの理由により不充分さを認めたウェッブサイトへの情報掲載を改善すること、
(4)影響試算を、基本合意・最終合意後~国会審議前のタイミングで公表すると共に、並行する協定を包括する総合的な影響試算を公表すること、
(5)協定文書の翻訳対象を広げること、
(6)TPP11について国会審議・承認手続きをとること、
など具体的理由も付して再質問・要請をした。
 しかし、即日のメール回答は、「〇〇様、省略~先日の面談記録を御共有いただきありがとうございます。面談を受けての再要請についても拝見いたしました。ご指摘をいただき有難うございます。政府としてはいただいたご意見を真摯に受け止め、皆様の要請にお応えできるよう、今後とも可能な限り情報提供を行い、より一層丁寧な説明に努めて参ります。ご要請に対しては、以上を持って政府側回答とさせていただければ幸いです。~以下省略。外務省〇〇拝」のみ。

 明らかに、情報開示を後退させようとしていることが窺われる。

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