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コラム:米マーケット情報

【(株)米穀新聞社記者・熊野孝文】

2017.12.11 
「金のいぶき」と「花粉米」、2つの機能性米一覧へ

◆普通炊飯で美味しく食べられる金のいぶき

 12月4日、この日、機能性米に関する2つの会合が開かれた。一つは「金のいぶき」を紹介した第一回玄米食推進フォーラム。もう一つは「花粉米(花粉症緩和米)」についてのセミナー。
 一般社団法人高機能玄米協会が主催した第1回「玄米食推進フォーラム」では、普通炊飯で美味しく食べられる「金のいぶき」玄米の機能性について淑徳大学桑原節子教授が講演したのに続き、この玄米を提供している外食店や学食の評判が10分間ビデオで紹介され、会場で金のいぶきを使った海苔巻や玄米麺、パン、味噌汁、甘酒など様々なメニューが参加者に提供された。
 金のいぶきは、宮城県古川農業試験場が低アミロースで巨大胚芽品種の育成を目標にして育種されたもので、2009年に東北胚202号として誕生、2013年に金のいぶきとして品種登録されると同時に商標登録された。その特徴は、玄米食用として開発された品種であるため吸水性が高く、家庭の炊飯器で白米と同じように炊けること。
 それと胚芽が通常の玄米の3倍もあるためGABAや食物繊維、ビタミンE、オリザノールが豊富に含まれている点。普通炊飯で美味しく玄米が食べられる点については紹介ビデオで外食店が玄米食提供のための前処理が必要ないことを高く評価していたほか学食では学生の便通が良くなったという調査結果も披露された。講演では桑原教授が、がん・食習慣病予防には食生活内容と食べ方がカギで、主食に金のいぶき玄米を摂り入れることが改善の近道と述べた。さらには粒食だけではなく、金のいぶきを製粉し、麺、パンの原料に使用することも出来ることからグルテンフリー食品として輸出の可能性もあるとされた。
 フォーラムでは触れられなかったが、いち早く金のいぶきの機能性に着目した生協は金のいぶき玄米のパックご飯を委託生産し、消費者組合員に事前注文を取ったところ1年間の販売予定が1ヶ月で完売、供給量が足りなかったということもあった。

 

◆どこで売っているの?花粉米

 食のコミュニケーション円卓会議が主催したスギ花粉症を治す・予防する花粉米セミナーでは、2人の医師が花粉症発症のメカニズムや花粉症緩和米を患者に食べてもらった臨床試験の結果等についてデータと共に詳しく紹介した。その中で花粉米にはスギ花粉症を緩和させる花粉症緩和米と根本治療できる可能性があるスギ花粉症治療米の2つがあり、治療米をニホンザルに経口投与した試験結果も示され、さらには治療米から精製した顆粒タンパクを成人に経口投与し「有害事象を認めなかった」と報告された。
 セミナーでは、花粉米の育種研究者を交えたパネルディスカッションも行われたが、育種研究者は農研機構で開発中の機能性米リストとして、花粉症緩和米以外にヒノキ花粉症、シラカバ花粉症を予防・治療するコメや関節リュウマチの予防・治療、さらにはコレステロールや血圧を低下させる機能があるコメなど12種類を示し、これらのコメは通常米との交雑を防止する必要があるため天然の隔離圃場と言うべき中山間地で栽培すればコストをかけても成り立つ農業になり、耕作放棄地を減らせると述べた。また、パネリストには2人の消費者代表が参加、一人は重症のスギ花粉症で「早く世に出してもらいたい」と切実に訴えていた。
 金のいぶきも花粉米も県や国と言った公的機関が育種し、優れた機能性を持っていることは共通しているが、決定的に違う点がある。それは金のいぶきが従来育種法で開発された品種であるのに対して花粉米は遺伝子組換え技術で開発された品種であること。
 花粉米セミナーの主催者は遺伝子組換え作物は世界28カ国で1億8500万haで栽培され、日本も年間1600万tの遺伝子組換え穀物を輸入し、食品や飼料として使用されていることを強調していたが、いまだに花粉米は消費者が入手することが出来ない。仮に花粉米が薬になる場合、薬事法による治験と承認が必要になり、治験には10年から18年、総費用200億円から300億円が必要になる。食品の場合、遺伝子組換え作物はカルタヘナ法に基づき審査され、農水大臣と環境大臣の承認が必要になる。両方ともハードルが高く、ちょうどその溝に落ち込んでいるというのが花粉米の現状で、名前からして花粉症緩和米と言う名称は禁じられている。「どこで買えるのか教えて欲しい」という花粉症罹患者のために"病食"という分野に活路を見出そうとしている。

 

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