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コラム:リレー談話室・JAの現場から

2017.12.19 
准組合員は組合員か否か一覧へ

 政府がすすめようとする「農協改革」とJAグループがすすめる「自己改革」の大きな違いは、「准組合員の位置づけ」である。
 政府は、准組合員は、組合員ではないのだから、員外利用規制と同様に准組合員利用規制を検討し結論を得る、という。
 かたや、JAグループは、准組合員は自らの意思でJAの事業利用を目的として加入しているのだから、当然に組合員であると反論する。
 そして、協同組合らしく組合員の声を集めようと、全国農協中央会は、2019年4月を基準日として正準含め全組合員を対象にした調査を全国で行うことを提起した。
 改めて言うまでもないが、准組合員が組合員であるか否かは政府が一方的に決めるものではない。その上で、准組合員ご自身が、自らをどう考えているか、が問われている。

 

◆パレートの法則

 2対8のパレートの法則は組合員とJAとの関係にもあてはまる。2割の組合員の利用がJA事業利用の8割を占める。
 2017年7月に農水省が発表した自己改革の進捗状況に関する認定農業者とJAの評価に乖離があるのは当然、と立命館大学経営大学院の山本真司教授はいう。どの企業も同じなのだそうだ。
 つまり、JAから見れば取引の8割を占める組合員から評価されている、という実感がある。取引実績があるのだから、当然だ。一方、組合員からみれば評価しているのは全体の2割という構図にある。
 全組合員調査ではメインの2割の組合員だけでなく、残る8割の組合員も調査対象となる。
 事業利用がもともと低い8割の組合員に対して、短期間にかつ一律に面談・調査することにJAが当惑するのは当然である。コストも相当かかる。仮に全組合員調査の目的が政治的なものだけなら、なおさらである。

 

◆全組合員調査を戦略的に

 全組合員調査をJAが世代交代する組合員一人一人との関係を再構築する機会として活用できないものか。メイン2割との関係を再確認し深掘りする。メイン2割をさらに広げ、事業利用を伸ばす。いずれも戦略である。
 日本の農村地域を支えてきた第一世代は限界である。貧富の格差は拡大している。アメリカ・中国のGDP伸長との差を広げられている日本は、魚で顕在化したように国際市場での食料の買い負けを続けている。このため安全で安心な食料確保は消費者にとって切実な問題になる。だから農は国の基であり、地域農業を地域社会みんなで支えるのである。
 このような地域の課題解決に取り組もうというJAの存在を伝える機会として全組合員調査を活用できないだろうか。

 

◆信用・共済利用を通じた参加の事実を見える化

 自己改革は農業者の所得増大が主体であるため、信用・共済の取り組みは肝心かなめである准組合員からは見えない。
 だからなのか、信用・共済担当者は自JAの自己改革への関心も理解も経済担当者と比べてかなり低い、と感じる。
 また、事業を単独利用する准組合員からは、総合事業という姿は、JA側が意図しない限り見えない。
 だからこそ、准組合員に改めて伝えるべきは、JAが地域農業・地域社会に果たしている現状であり、組合員一人一人が事業利用を通じて農協運動に参加・参画しているという実態である。
 たとえ自らが農業に従事していなくとも、貯金・共済を利用することがJAを通じて地域農業の振興につながっている事実、また、さまざまな組合員組織を通じて、わが地域社会にJAが寄与している事実を見える化し、伝えることが自己改革である。准組合員に日頃接する信用・共済担当者の責務は重たい。
 自己改革を伝える効果を高めるため、JAが自ら資料を作成し全組合員を直接訪問するというのは100点満点の答えである。しかし、それができないJAをどう支えるのか、それこそJAができないところを補完する中央会と事業連の役目である。

 著者は農協職員である。本稿は筆者の個人的見解であり、著者の所属団体とは無関係であるので、所属団体名は伏せさせていただきたい。

(藤井晶啓)

 

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