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コラム:森田実の政治評論

【森田実 / 政治評論家・山東大学名誉教授】

2018.01.23 
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「どんな英雄でも最後には鼻につく」(エマソン)

 

◆安倍一強体制の未来は?

 2018年初め、安倍政権は絶好調にみえます。
 野党は分裂状況です。再統一の試みは難航しています。野党の分解はさらに進む可能性があります。
 自民党と公明党の連立体制は安泰にみえます。昨年10月の衆院選で、公明党は議席を減らしましたが、公明党の安倍政権への協力体制は維持されました。自公関係は安定しています。
 自民党内の安倍一強体制は揺らいでいません。安倍政権への批判はごく少数です。実力者の二階幹事長は「安倍の次は安倍」と繰り返し発言し、安倍三選の流れをリードしています。9月の自民党総裁選での三選は確実視されています。
 政府内の総理・麻生副総理・菅内閣官房長官のトロイカ体制も首相官邸のチームワークにも乱れはみられません。
 このように安倍一強体制はますます強力のようにみえます。
 しかし、私は2018年に「月満つれば則ち虧く」(つきみつればすなわちかく)が起こると予想しています。それは「どんな英雄でも最後には鼻につく」からです。一般の国民がいつまでも安倍総理を支持し続けることはあり得ないのです。
 一般国民は安倍首相に飽き始めています。内閣支持率が低下すれば、自民党内の安倍独裁的空気は変わります。政治の乱れは「国民大衆の飽き」から始まるのです。
 安倍総理は2018年秋の自民党総裁選で三選実現には成功するでしょうが、この直後から主導力は低下し、政治の乱れが始まると私は予想しています。

 

◆憲法改正の発議はできるか?

 安倍総理は三選を実現するために、憲法改正に向かって進むでしょう。安倍総理が三選に向けて党内の求心力を維持するためには、憲法改正に突き進む以外に道はありません。
 党内の求心力を強めるためには、衆院解散の姿勢を示すのが最適ですが、衆院選が終わった直後では解散のカードは使えません。安倍総理は「憲法改正」で自民党内を引っ張り、その勢いで三選を実現しようとするでしょう。
 安倍総理は、総裁三選実現の直後の2018年秋の臨時国会で憲法改正を発議する可能性があります。発議するには、衆議院では定数465の3分の2以上(311)の賛成が必要です。自民党(283)、公明党(29)で3分の2は確保できます。ただ、私は公明党が憲法改正で自民党に同調する可能性は五分五分だと思っています。
 衆議院では希望の党(51)が同調すれば(これも五分五分)、公明党が同調しなくても、発議はできます。自民党と日本維新の会(11)の2党では3分の2には達しません。衆議院での発議も簡単ではないのです。
 参議院(定数242)での発議には162議員の賛成が必要です。自民党(125)と公明党(25)の2党では発議できません。自民党だけでは37不足です。日本維新の会は賛成する可能性は高いのですが、自民党、公明党、日本維新の会3党でも1議席足りません。希望の党、無所属議員の同調が必要です。参議院では公明党がキャスティングボートを握っています。

 

◆国民投票は難関

 憲法改正の最大の難関は国民投票です。
 安倍総理主導の憲法第9条改正には国民の多数が反発し、国民投票は否決される可能性があると私は予想しています。
 永田町では安倍政権には「大マスコミ」を動かす力があり、主要大マスコミは憲法改正を支持するとみていますが、たとえそうなったとしても、国民の安倍政権への不信を変えることはできないと思います。国民の意識の根底には根強い政治不信と反政府感情があります。安倍総理と自民党は国民の政治不信を過小評価しています。
 現在は激変の時代です。
 国民意識は激しく変化しています。激動期の国民投票は「反政府」へ動く傾向が強いのです。安倍政権の下での国民投票には安倍政治への審判の性格があります。
 安倍総理は憲法第9条の1項、2項は変えることなく、3項に「自衛隊」を明記することによって、自衛隊違憲議論を克服しようと考えています。安倍総理は憲法学者の自衛隊違憲論を意識していますが、国民全体からみれば取るに足らぬ少人数です。国民の大多数は自衛隊合憲論者です。
 永田町では、この案なら公明党が賛成し、改正発議ができるとの見方が強いのですが、国民レベルでは、政党間の駆け引き的な姑息なやり方で理解を得るのは困難です。安倍総理のこの改正案は否決される可能性があると私は思います。否決された時、安倍総理や自民党は、国民と自衛隊に対してどういう責任をとるのでしょうか。
 安倍総理の憲法改正への挑戦は失敗する可能性があります。否決されれば、政界大変動が起こるでしょう。安倍総理の挑戦は危険です。安倍総理は憲法改正へのこだわりを捨て、方向転換を考えるべきです。

 

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