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日本米の輸出促進か? コメ産業のインフラ輸出か?2018年3月6日

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【(株)米穀新聞社記者・熊野孝文】

たとみ農園がタイで生産したあきたこまちのブランド米「富士の恵」 タイのチェンライであきたこまちの生産拡大を推進している(有)たとみ農園。現在、その生産規模が500t程度になったことから現地に精米工場を作ることになった。精米工場建設に際してタイ側が51%、日本側が49%出資、日本側からはたとみ農園以外に山梨県のコメ卸と種子販売会社も共同出資して、日本から精米設備を輸出して日本式の精米でシンガポールや中国にあきたこまちを輸出することにしており、今年5月には精米工場が完成する予定。
 たとみ農園がチェンライであきたこまちの生産を始めたのが平成25年からで5年を経て500トン規模まで生産できるようになった。こうした事業を始めたきっかけは、タイ側から日本側に働きかけがあったことで、その趣旨に賛同した(有)たとみ農園の社長がタイ側と共同してオブリ社というあきたこまち生産・販売会社を設立した。

(写真)たとみ農園がタイで生産したあきたこまちのブランド米「富士の恵」

 

 オブリ社の設立目的は(1)アセアンにおける農業者の自立と環境構築、共生の実現(2)日本の農業技術を導入した果樹園や畑、田んぼをアセアンに創設する(3)日本の農産品を含めた日本文化を広め、安定した経済圏を構築(4)日本の加工品、特産品などの輸出、アセアンの農産品などの輸入を通じて人的交流を進める。社名の由来は恩義(obligation)を大切にし、農業・社会福祉・教育を通じてタイ、アセアンや日本を豊かにすることを目的に掲げている。
 目的は崇高だが、タイであきたこまちを生産することは簡単なことではなかった。第一に現地の農家の協力が欠かせないが、タイの農地相続は均分相続で、農地面積は日本以上に小規模で農地をまとめるのは困難を極めた。生産協力してくれる農家には長粒種よりも有利な手取りであることを示すのはもちろん、農地をまとめる現地の顔役にも協力費を支払うということも行ってきた。
 さらに当初、日本式の栽培方法であきたこまちを生産しようとしたが、委託した生産者によって驚くほど収量や品質が違い、日本式を押し付けるのは止めにして時間をかけてレベルアップすることにした。幸いだったことはバンコクで開催された国際的な食品展示博覧会でこのあきたこまちを紹介したところ海外からオファーが入ったことや日系の量販店が東南アジアの店舗で販売することになった等、確たる需要があることが分かった。特に中国からの引き合いは強く、中国のバイヤーからは10万tでも20万tでも欲しいという依頼があった。こうした数量を記すととてつもなく大きな数量に思えるが、穀物貿易の数量からすると小ロットの方である。オブリ社は東南アジアだけでも日本米の需要は100万tあると見込んでいる。
 自国で日本米を生産してそれを輸出しようと計画している国はタイだけに留まらない。台湾は「新南方政策」という政策を掲げている。台湾は日本以上にコメの消費減が著しくコメ余り状態で減反政策を推進してきたが、このままでは国内農業が衰退する一方で、輸出に着目し農業生産振興を図るという方針に転換し始めた。その政策の柱が新南方政策で、南方=東南アジアに自国農産物を輸出しようという計画。その農産物の第一はコメ。それを可能にするのが「日本米」で、台湾の視察団は富山県の種子生産組織を訪問、「その種子が欲しい」と要請した。欲しいのは日本米の種子だけでない。日本並みの品質・食味を備えたコメを生産・販売するための生産分野のインフラだけでなく、精米、保管等流通インフラも必要になっている。台湾は籾流通が一般的で、精米で保管する習慣があるが、過乾燥で割れ米が多く、食味低下の原因になっている。これを解決するためには日本並みの玄米流通にすることが欠かせない。玄米流通している国は日本だけで、いわばコメ流通も日本はガラパゴス化していたわけだが、美味しいコメを食べたいという日本人のDNAの価値が今や評価されるという現象を生んでいる。
 日本にとってこうした現象をどう捉えれば良いのか? 選択肢は2つある。一つは現在農水省が強力に推進している日本で作った日本米を海外に輸出して外貨を稼ぐというやり方。
 もう一つは日本式のコメ生産、精米、保管等の産業インフラを輸出して外貨を稼ぐというやり方。どちらでも良さそうだが、国内のコメ政策からするとこの2つは相反する結果を招くことになり、そうとうに厄介だ。

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