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【小松泰信・地方の眼力】カイザンはカイサンへ通ず2018年3月7日

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【小松泰信(岡山大学大学院 環境生命科学研究科教授)】

 昨晩(6日)のNHKニュースウォッチ9は、東京新聞夕刊が“書き換え有無回答せず”“財務省報告に野党反発”“与党も「納得できない」”“森友文書「直ちに確認できない」”という見出しで一面トップにあげている問題をなかなか流さない。やっと出てきたのは、放送開始から30分ほど経ってから。それも伊調問題のあと。内閣総辞職になりかねない重大事案が、スキンヘッドコーチのパワハラ疑惑の後とは情けんなか~。

◆これでも主権国家ですか

小松泰信(岡山大学大学院 環境生命科学研究科教授) 「首を絞められているような感じだよ。じわっじわっとさ」などと答えるのは青森県東北町小川原湖でシジミ漁を22年続けている漁師。米空軍戦闘機が補助燃料タンクを投棄したため、漁協は当面の全面禁漁を決めた(毎日新聞、2月25日)。
 3月4日の同紙は、タンクの捜索や回収を自衛隊が行い、その費用までも日本が全額負担することの"理屈"に迫っている。
 蛯名東北町長の速やかな回収申し入れに対して、米軍は「空軍基地で回収できる能力がない」との説明。東北防衛局への相談を経て、防衛省が災害派遣3要件(公共性、緊急性、非代替性)に合致するとして海上自衛隊を出動させた。掛かる費用は災害対策基本法の91条「災害の予防や応急対策などに要する費用は、その実施の責めに任ずるものが負担する」に基づき自衛隊負担。防衛省によれば、同法には「費用を米国に請求できる根拠の規定がない」ためとのこと。
 漁師への補償も、日本が一定額を負担する可能性が高いようだ。「日米安全保障条約で米国が日本の防衛義務を負うため」とは省幹部の談。日本を防衛してもらうための必要経費。宗主国の横暴には、我慢すべし、文句言うべからず、と言ったところか。
 ところで7日の毎日新聞には、"米軍機また部品落下嘉手納日本政府連絡は6日後"の見出し記事と"空自ヘリ扉落下沖永良部"の見出し記事が仲良く並んでいる。これこそが国難。要するに、わが国は、主権なき植民地なんですね。

 

◆これでも地方創生ですか

 2月21日の当コラムで紹介した、岡山市で勃発しているドル箱バス路線への新規参入問題。既存の事業者は両備グループ(小嶋代表)、参入事業者は八晃運輸(成石代表)。
 日本経済新聞(3月3日)によれば、参入する八晃運輸は2日、成石氏による説明文を公表した。それによれば、黒字路線の収益が赤字路線を補填する構造に一定の理解を示したが、「(それが)行き過ぎれば黒字路線の利用客は不当に高い運賃を負担する事態に陥る」と主張し、「健全な競争により市場を活性化させ、より充実したサービス提供を行わせていただくこと」を強調した。
 3~5割安の料金設定は、「格別割安ということでもなく、不当な競争を引き起こすおそれはない」と設定や運輸局による認可の正当性を主張する。赤字路線維持のための補助金に関しても、対象路線や支援規模、妥当性について県民の議論が深まっていないと指摘し、「透明性を確保して改めて議論されることが必要だ」との見解を示した。
 毎日新聞(6日)によれば、小嶋代表は5日の記者会見で、地域交通の在り方を話し合う協議会を県や市が設置する方針を示したことを受け、「廃止届を出した全ての路線が維持できるよう最大限の努力をする」と語った。ただし、路線開設認可の撤回を求めて行政不服審査法に基づく審査請求などを検討中で、廃止届は撤回していないとのこと。
 制度から見たら、この新規参入に問題はない。それは承知の上で、納得しがたい点を示すことにする。
 第一には、「健全な競争」について。赤字路線も走る会社と黒字路線しか走らない会社の競争。その段階ですでに健全性は損なわれている。第二には、「充実したサービス提供」について。規制虫はこのような甘言で業者を競争に誘うが、そこで起こるのはコストダウン競争。保守点検要員の削減や運転手の過酷な勤務など。それが引き起こす結末には多言を要しない。第三には、「黒字路線の利用者の負担」について。交通網はつながっていてこそ価値がある。その価値を維持していくためには、交通網全体の利用者としての意識こそ重要。黒字路線の利用者と赤字路線の利用者は区別、分断できない。
 事業者にも利用者にもこの三点への認識が共有されない限り、「一歩の格差」は拡大し、地方創生など夢のまた夢である。
 そこで八晃運輸には、赤字路線のいくつかを引き受け、透明性を確保した補助金を受け、適正な運賃で良質なサービスの提供が可能なビジネスモデルを構築していただきたい。それがない限り、美味しいところのつまみ食い、というそしりは免れない。

 

◆これでも農政ですか

 前回の当コラムで取り上げた日本農業新聞の"緊急インタビュー 針路を問う"のトリをとったのは元農相鹿野道彦氏。
 「農水省が今、農水省の役目を果たしていない」と、冒頭から舌鋒鋭く農水省批判。規制改革推進会議が肩で風切る現状に、「自民党の農林族も、黙って見ているだけなのかね。寂しいですよ」と嘆息を漏らす。「国会での質問時間が足らないと言う前に、国民から『もっと野党に質問させろ』と言われるくらいの質問をしなきゃ」と、野党にも檄を飛ばす。
 国民に対しても、「問題が起きた時に騒ぐだけ。政府や国会ばかりじゃない。国民全体が第1次産業の大事さを知らずに、恩恵だけ享受している」と、容赦なく苦言を呈し、「農業の危機は地域の危機、日本の危機なんだ」と、訴える。
 氏の心配を他所に、「農政論戦は今のところ、極めて低調である。...自民党も含めて、農業関係者の関心に応える議論は見られない」とは、日本農業新聞の論説(3月2日)。情けないこと限りなし。

 
 
◆これがわが国の政権なのです 

 ところが、"森友文書書き換え疑惑"が国会に風雲急を告げている。
 7日の新聞各紙の社説・論説を見ると、スクープした朝日は「書き換えられた疑いのある文書は、与野党が合意して財務省に提出を求めたものだ。これが書き換えられていたとすれば、憲法に基づく国政調査権を軽んじ、国会を愚弄する行為」「国有財産を管理する財務省でそんな行為がまかり通っていたなら、行政の公平性・公正性をだれが信じるだろうか」として、財務省に対して事実関係を速やかに調査、公表させる責任が国会全体にあると、迫っている。ちなみに、全国御用二紙は取り上げていない。
 地方紙は当コラムが把握できた範囲で15紙が取り上げている。すべて速やかな国会での説明と解明を求めている。
 民意はここにあり。しかし相手は選挙に強い右の革命政権。いかなる手口を使っても逃げ切りをはかるはず。旧民進党系の腰がふらつき野党共闘がはかどらない今を狙って、解散総選挙に打って出る可能性も視野に入れておくべきである。
 これが本当の"カイザン総選挙"と洒落るのもはばかられる状況である。外堀は埋まっている。この綻びが少しでも口を開けば、止めどない膿が自ずと出てくるはず。立憲野党には、真相究明とともに速やかな臨戦態勢の構築が求められている。
 「地方の眼力」なめんなよ

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