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(080)連休前の箸休め:筋トレと読書2018年4月27日

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【三石誠司 宮城大学教授】

 筋トレと読書は良く似ている。教育の現場で仕事をしていると、この思いは日々、強くなる。

 筋トレの特徴は何か。筆者も含む一般人がすぐに頭に浮かぶのは、(1)鍛えたい箇所を良く意識し、(2)適度な負荷をかけつつ、(3)毎日繰り返すこと、である。
 例えば、上腕二頭筋という筋肉がある。肩と肘の間、腕を曲げた時にできる「力こぶ」となる筋肉だ。この筋肉を鍛えようと思えば、ダンベルのようなモノを持ち、腕を伸ばしたり曲げたりすれば良い。少し重いダンベルを持ち、毎日50回くらいを2、3セット繰り返すとひと月もすれば明らかに腕は変わり、見違えるようになる。中学高校時代の運動系部活動の経験者であれば、誰もが似たような経験をしていると思う。

  ※  ※  ※

 さて、先に述べた3つの特徴、つまり、(1)鍛えたい箇所を良く意識し、(2)適度な負荷をかけつつ、(3)毎日繰り返す、ことは運動生理学やスポーツの専門家に言わせると外れてはいないが正解でもないらしい。
 まず、「鍛えたい箇所を良く意識し」であるが、我々は往々にして目につくところばかりを鍛えようとしがちである。先の例で言えば上腕二頭筋となるが、腕の外側には上腕三頭筋という筋肉がある。「力こぶ」ではなく、久しぶりに腕立てふせをやるとすぐに痛くなる外側の筋肉だ。上腕二頭筋を鍛えることには熱心な人でも、上腕三頭筋はほとんど考えない人が多い。腹が出てくれば、腹筋だけを鍛えれば良いと思うようなものだ。さらにいきなり目につきやすい大きな筋肉を激しく動かすが、これも駄目だ。末端から少しずつほぐしていくことが鉄則だという。

  ※  ※  ※

 次に、「適度な負荷」だが、これが素人には難しい。普段何もしていない人がいきなり運動や筋トレをやり始め、効果が「目に見える」ようになると、面白くなり負荷をかけ過ぎる、つまり無理をする。その結果、故障したり、怪我をする。ある時期、急速に筋トレにのめり込んだ人が手や足を痛めている姿は良く見かけるし、筆者自身も生兵法で何度も痛い目を見ており、身体中が古傷だらけである。

  ※  ※  ※

 最後に、「毎日繰り返す」こと。これも間違いである。良く知られているように、適度な休息は不可欠だが、毎日繰り返すことにより過度の負荷になるか、単調さに飽きて筋トレ自体を止めてしまう。その結果、いつのまにか筋トレ以前の状態に戻る。

  ※  ※  ※

 大学で仕事をしていると、自分自身が専門書や論文を読むだけでなく、学生達に文献を読んでもらうことが多い。分厚い教科書の最初の数十頁だけ読んで後は綺麗なまま...という経験は誰にでもあるだろう。
 例えば大学の教科書を仮に300頁程度だとしよう。1人で300頁を一気に読むのは大変だが、1回15-20頁を解説しながら半年かけて読んでいけば、気がついた時には全てを読み終えるという訳だ。定評ある教科書は通読すればその分野や科目の全体像がわかるだけでなく、自分が何を「知らない」かが明確に理解できる。筋トレで言えば、いきなり「力こぶ」を鍛えるだけではいけないということがわかるし、実は気にも止めていなかったところに大事な筋肉があることもわかるようになる。
 負荷はどうか。これは人により、そして内容により「適度」さが異なる。筆者のゼミでも、90分で30頁近くの内容をこなすこともあれば、わずか数行のこともある。何が「適度」かに悩んだ時は、できればその道のプロに相談することだ。プロは相手を見て適切なアドバイスができるからだ。
 しかし、アマチュアは自らの経験に基づいたアドバイスしか出来ない。この本を読めば良いと言われて読んでみたら全く面白くなかったという経験は誰にもあるはずだ。それはアドバイスした人間が、相手にとって何が「適切」かを見極められないからである。その意味で、多くの場合、人は試行錯誤を繰り返すが、それもある程度は必要なコストだと思うしかない。

  ※  ※  ※

 最後に、教科書を読むような一見つまらなそうに思われることを継続するには、適度な刺激や休憩、そして一緒に続けてくれる仲間が必要である。仲間と一緒にできれば筋トレも読書も意外に無理なく続く。ゼミなどはその一例だし、こうした経験は長い人生の大きな楽しみになるであろう。
 だが、そこからさらに一皮むけた段階、つまりプロの水準に到達するためには、1人で黙々と積み重ねる時間が一定期間必要である。どのような分野であれ、これが一流ではなくてもプロになれるか、最強のアマチュアで終わるかの違いだが、この段階に挑むかどうかは人それぞれである。筆者の筋トレはアマの黄帯にも到達していない。読書にレベルがあるとしたら、どのあたりを彷徨っているのだろうか。

 

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