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コラム:正義派の農政論

【森島 賢】

2018.06.25 
【森島 賢・正義派の農政論】米朝の核攻撃の意志と能力一覧へ

 6月12日の米朝首脳会談以後、朝鮮半島の平和へ向けた両国の協議が、順調に進んでいる。
 この米朝会談が行われるようになったのは、昨年11月に、北朝鮮がICBMの発射に成功したことが契機になった。これに核弾頭をつければ、米国本土を核攻撃できる。だから、米国にとって死活的な脅威になった。
 米国は危機感を抱いて、米朝首脳会談を行い、協議を始めた。
 さて、核問題を考えるとき、核攻撃をする意志があるかどうか、及び、核攻撃をする能力があるかどうか、が問題になる。意志と能力の2つである。
 北朝鮮は、昨年11月に、この2つを兼ね備えることになった。そこで、米朝間の協議が始まった。これは、隣国の日本にとっても重大な影響がある。
 今後、この協議は、どのように展開するだろうか。

 米朝両国の核攻撃の意志と能力のうち、能力は、昨年11月以後、すでに両国とも持っている。そこで、意志を考えてみよう。米国に北朝鮮を核兵器で攻撃をする意志があるか。また、北朝鮮に米国を核兵器で攻撃する意志があるか。
 米国の意志はどうか。米国は、世界の警察官として、また、基本的人権と民主主義の伝道師として、独裁体制の北朝鮮の内政に干渉したい、と考えている。そして、その障害になる北朝鮮の核兵器の所持を阻止したい、と考えている。そうして核兵器を独占し、北朝鮮を核兵器で圧迫したい、と考えている。
 そのために米国は、北朝鮮を核攻撃する意志を、たびたび公言してきた。昨年の秋にも公言した。これは、北朝鮮にとって露骨な内政干渉であるし、脅威である。

 

 

 北朝鮮の意志はどうか。北朝鮮は独立国だから、もちろん米国の内政干渉を容認しない。また、米国などの大国だけが核兵器を持っていることを容認しない。
 その考えのもとで、米国による北朝鮮への核攻撃を抑止するための核兵器を持つことにした。そして、ついに昨年11月に核兵器を持った。
 これは、攻撃のための、つまり、米国本土を攻撃するための核兵器ではない。攻撃しても得るものは何もない。
 また、北朝鮮は、米国社会に弥漫する人種差別という基本的人権の蹂躙や、銃犯罪の多発の野放しや、格差という経済民主主義の破壊を、核兵器で糺そうという意志も持っていない。内政干渉だからだろう。
 そうではなくて、北朝鮮の核兵器は、米国の核攻撃を抑止するために持っている。

 

 

 さて、米韓首脳会談で発表された共同声明をみると、両国は、朝鮮半島の安全保障体制の確立と、朝鮮半島の完全非核化を目指す、としている。これは、最終目標と考えられる。安全保障体制が確立されれば、核は不必要になる。しかし、その最終目標に到達するまでに、多くの段階が必要になる。
 当面する第1段階は、米国本土への核攻撃の回避だろう。それは、北朝鮮にとっては、核実験場とICBM実験場の破壊で、すでに、その一部は実行されている。また、米国にとっては、北朝鮮を仮想敵国にした軍事演習の中止で、それも一部は、すでに中止している。
 つまり、両国とも第1段階を進み出している。

 

 

 第1段階につづく第2段階以後は、どうなるか。ここで、アタマの体操をしてみよう。
 第2段階は、終戦宣言と平和条約の締結を目標にするだろう。
 平和条約を締結すれば、それに伴って、実質は米軍である在韓国連軍の存在理由はなくなる。だから解体し、撤退することになる。
 そうなれば、北朝鮮は核兵器の増強は不必要になる。だから、既存の核兵器を凍結できる。つまり、朝鮮半島の安全保障と完全非核化に、さらに近づくことになる。
 また、韓国と北朝鮮との交流も盛んになるだろう。

 

 

 それに続く第3段階は、米朝友好条約を目標にする段階である。
 この段階では、北朝鮮は既存の核兵器を削減できる。もちろん、独立国として当然であるが、米国の北朝鮮に向けた核兵器の削減と同じ歩調での削減である。
 この第3段階が最終段階で、米朝友好条約に基づく、朝鮮半島の安全保障体制と完全非核化が、同時に実現される。また、この頃になれば、韓国と北朝鮮との緩やかな国家連合がつくられるだろう。日本の隣りの朝鮮半島に、ようやく平和が訪れるだろう。
 そうなっても、なお、安倍晋三首相は先頭に立って、北朝鮮への制裁を叫び続けるのだろうか。そして、野党はそれに同調するのだろうか。
(2018.06.25)

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