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【26年産米 米価暴落】苦しいのは生産者と米卸2014年10月2日

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・きっかけは25年産米の投売り
・ほとんどの米卸会社が赤字
・輸出など新規需要開発が急務
・日本の米農家守る仕組みを

 26年産米価が暴落している。農業協同組合新聞・JAcomでは消費の現場を中心にこの問題を取材しているが、今回は米流通の要ともいえる米卸に取材した。

◆きっかけは25年産米の投売り

 中小の米卸が、26年産米への資金調達目的もあり、在庫として抱えていた25年産米を銘柄に関係なく搗精代込みで1kg180?190円という超低価格で外食へ投売りしたのが、米価暴落のきっかけだったという。安いコメを仕入れることで外食産業は、円安もあって高騰している輸入牛肉などによるコストアップを抑えることができる。
 スーパーでは、価格が下がってもコメの販売量は増えないので売上高が減り、収益は落ちる。収益を確保するために、米卸からの仕入価格を抑えようとする。その時に、従来は取引きがない中小卸から安い価格で「100トンある」とスポット取引きが持ち込まれ、米価はさらに下がっていく。
 それを裏付けるように、本紙が店頭価格を調査したとき(9月20日号)、店頭の25年産米で、いままでその店ではみたことのない卸業者の名前をいくつも確認している。
 25年産米の流通在庫がかなりあること、コメの消費そのものが落ち込んでいることなどから、中小の投売りをきっかけに始まった価格暴落が、26年産米の概算金の大幅な低落を招いたということのようだ。

 

◆ほとんどの米卸会社が赤字

 さらにいえば、24年産米の相対価格がコメ需給への不安感から上昇したが、消費は大きく減退。米卸は抱え24年産米を割安で販売せざるをえなくなり収益が悪化。25年度にその差損処理をしたが、25年産米も在庫水準が高く消費も伸びないという負のスパイラルに陥っている。元々の原因は「24年産米の価格設定にある」との指摘もある。
 現在の状況は「25年産米に足を引っ張られ、大変に厳しい」と木徳神糧(株)の木村良会長。米穀機構によれば、全国131の米卸の半数以上が赤字だというが、実際には「大半の卸が赤字」だと(株)神明の藤尾益雄社長はみている。26年産米は25年産米より下がるとは見ていたが、「その予測を超えており経営を直撃される恐れがある」と藤尾社長はいう。大手米卸であっても先行きの見通しは明るくない。
 木村会長によれば、地産地消で地元のコメを地元の食品スーパーに卸している地方の米卸があるが、県外からスーパーが進出してくると県外の有名銘柄米が入ってきて地元産米が影響を受け、地元卸が苦しくなるというケースもある。
 米価低迷で外食やスーパーは潤うが、苦しいのは「生産者と米卸」だ。木村会長と親しい新潟の生産者グループの中には「これではもう続けられない」と、13軒の集落で5軒が「やめる」という話もある。
 また、「生産法人や大規模生産者から、直接買って欲しい」という話がよくあると藤尾社長。農業経営を維持していくためには「農協の概算金が安すぎるので、それに数百円でも上乗せして…」ということだ。

 

◆輸出など新規需要開発が急務

 今後の米価はどうなるのだろうか。藤尾社長は「23年産米の相対価格が、生産者にも消費者・実需者にも理解してもらえる適正価格だったのではないか」という。だがここまで価格が落ち込むと「これが普通だと考えないといけないことになる可能性がある」と木村会長は危惧する。
 「モノの価格は需給のバランスで決まる」といわれる。この説が正しいならば、いまは供給が過剰で需給バランスが崩れているから、米価が安くなっているということになる。それならば、需要(消費)を増やして、需給のバランスをとればいいわけだ。
 24年産米で価格が高くなったときに、弁当のご飯の量が少なくなり半分、極端な例では4分の1に、コンビニのおにぎりや回転寿司のシャリが小さくなるなど、中食や外食はコストを抑える工夫をし、コメの消費量を減らしている。これを元に戻してもらうことも一つの方法だろう。
 簡便性と価格設定によっては、ハンバーガーに負けない「朝ごはん」マーケットをつくることも可能ではないかと木村会長は、新たな需要を開発することの必要を強調する。
 少子高齢化で消費そのものが縮小するなかで、需給バランスをとる方法として、木村会長も藤尾社長も「輸出」をあげる。神明は25年産米で1000トン輸出。26年産米の目標は3000トンだが「ほぼいけそう」だという。そして「3年後に2万トン輸出」をめざしていく。香港やシンガポールでの評価は高く「海外のコメの1.5倍から2倍の価格なら日本のコメは売れる」からだ。
 木村会長は「日本米」というブランドを海外で確立することが、輸出拡大のためには大事でないかと考えている。国や生産者団体も含めて検討すべき課題といえるのではないだろうか。
 新たな需要を開拓して「日本の農業と農家が誇りをもって作っている美味しいお米を守り」(藤尾社長)、「農家が損をしない仕組みを考えていかなければならない」(木村会長)。日本のコメは「米関係者が守っていく」存在だと二人は強調する。

 

◆日本の米農家守る仕組みを

 その仕組みについて藤尾社長は先代の「商売は三方良し」でなければという言葉を引用し、特定の人たちだけが儲けるのではなく、生産者、米卸や流通業者、実需者などコメに関わる全ての人が潤うものでなければならないという。
 そのためには「ユーザーも巻き込んで、連携を深めることが必要」だと木村会長。藤尾社長は「全農(JAグループ)と米卸は生販連携すべきだ」という。それは「全農は生産者を守り、コメを集めることに全力をあげてもらう。米卸はそのコメをきちんと販売する。そのことで、今年のように“投げ売り”ができないようなルールづくり」をしたいということだ。
 どういう方法であれ、最終的には「生産者がきちんと再生産でき、安定した米価水準をどう築いていくのか」。そのために、JAグループや米卸も含めて米関係者が何をするのか。自らの存在意義を含めて問われているのではないだろうか。

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