米:農業倉庫火災盗難防止月間2016
農家のために「当たり前のことを当たり前に」(上)【現地ルポ】JAたじま (兵庫県)2016年11月18日
農業倉庫火災盗難予防月間スタート(平成28年11月15日~平成29年1月31日)
カントリーエレベーター、ライスセンターなどの大規模乾燥調製貯蔵施設とともに、JA米穀事業の中核を担っているのが農業倉庫だ。とくに近年、米の需要低下などにより産地間競争が激しさを増すなか、より安全・安心でおいしい米を消費者に届け、選ばれる米づくりを実現するためにも、販売・流通の拠点となる農業倉庫と、そこでの品質管理の強化はますます重要になっている。
JA全農と公益財団法人農業倉庫基金は、毎年、11月15日から翌年1月31日までを「農業倉庫火災盗難予防月間」に定め、JAでの保管体制の再点検などを徹底するよう呼びかけている。この運動にあわせて、「コウノトリ育むお米」で知られる特色ある契約栽培を拡大することで「食と農の架け橋」となる取組みを積極的に進めているJAたじまの豊岡農業倉庫に取材した。
◆米の区分が19ある
豊岡農業倉庫に入ってまず目についたことは、「コウノトリ育むお米」と印刷された米紙袋がはい積みされ、パレットごとに大きな字で「減1」とか手書きされた大きな名札が貼られていることだった。ほかの山にも同じような名札が付けられている。
なぜなのか尋ねると、「主食用米は、いずれもコシヒカリですが、コウノトリ育むお米だけではなく、村岡米、紙マルチ米など、米の区分が19あり、それぞれに1等米や2等米があるので、倉庫内管理はもちろん入出庫の際に事故を起こさないために、大きく分かるようにしているのです」と、案内をしていただいたJAたじま営農生産部営農課の岡村達也課長の答えが返ってきた。
◆地域農業を支える米
JAたじまは、平成13年に兵庫県北部の1市18町(当時)を管内とする、旧JAたじま・JA兵庫みかた・JA養父郡・JA朝来郡の4JAが合併して誕生したJAだ。北は日本海、南は播磨や丹波地域に、東は京都府、西は鳥取県に接し、その面積は兵庫県全体の約4分の1を占める広大な地域だが、その9割は中山間地域で平場の少ないところでもある。
JAの販売事業取扱実績の41・2%、25億3300万円がコウノトリ育むお米などの米麦類、そして但馬牛で知られる畜産類が38・6%の23億7700万円。さらに米については、この他にJA直売で10億円強(買取販売品)(いずれも平成27年度実績)があり、米と畜産を核とした農業地帯だということが分かる。水稲作付面積は約5800㌶で、うち主食用米は約5000㌶。
その米になぜ19もの区分があるのだろうか?
先ほどもふれたように、JAたじま管内は、円山川流域の盆地である豊岡周辺を除いてほぼ9割は中間地だ。「棚田百選」に選ばれた地域が2つもあり、そうした小さな棚田などで、それぞれの地域の環境や特色を活かした「こだわりの米」づくりを、先祖代々築き上げてきた地域なのだ。
そうした長い歴史をもつ「こだわりの米」づくりを、JAが合併し今日のような広域組織になったからといって、「これまでこだわり、おいしいといわれてきた自分たちの地域の米づくりを捨てるわけにはいかない」という農家・組合員の気持ちを「大事にしていかなければいけない」。
むしろそういう生産者組織と連携して、栽培方法・地域に加えて、生産者グループでも区分けを行い、その特徴から生み出された新たな価値をブランド化、販売し「生産者の手取りとして還元する」ことが、「組合員のために働くJAの役割」だとJAたじまでは考えている。
◆地域の特色活かした「こだわり米」
そうした米づくりの基本には、コウノトリを野生に放鳥するそれ以前から、「豊かな土壌と清廉な水が米をうまくする」と考えて、「環境にやさしい安全で安心な米づくり」をするという考えがここにはあった。
ここで、代表的なブランドを列記すると
○ふるさと但馬米(特栽)
○つちかおり米(特栽)
○コウノトリ育むお米(特栽〈減農薬・無化学肥料〉〈無農薬・無化学肥料〉)
○みかた棚田米(慣行)
○豊岡あいがも米(特栽)
○村岡米(特栽)
○紙マルチ米(特栽)
○蛇紋岩米(慣行)
○担い手応援米(慣行)
○香住かにのほほえみ(特栽)
○神鍋米(慣行)
○五百万石(酒造好適米)
○兵庫北錦(酒造好適米)
○フクノハナ(酒造好適米)
などだが、これらの米は「契約栽培米」として取り組まれている。
(写真)豊岡農業倉庫、左から長瀬さん、日下部センター長、岡村課長
・農家のために「当たり前のことを当たり前に」(下)ー営農指導は40以上の暦に基づいて、生産・流通・販売まできめ細かに、倉庫管理の基本は穀温と掃除
(農業倉庫火災盗難防止月間2016:関連記事)
・火災盗難予防対策の確認を JA全農米穀部
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