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畜産:元気な国内農業をつくるためにいま全農は

【酪農部】酪農生産基盤の維持へ、需給調整機能を強化 宮崎幹生部長インタビュー2013年12月24日

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・酪農家の減少、生産基盤の減退が最大の課題
・地域毎に多様な酪農の可能性
・需要拡大の働きかけと努力
・国産の牛乳・乳製品の市場を確保し、酪農生産基盤の維持へ

 私たちが日々摂取している牛乳・乳製品の原料である生乳は毎日生産されているが、腐敗しやすく貯蔵性がないため、緻密な需給調整が必要だ。しかし、消費減退や生産費高騰など酪農・乳業を取り巻く環境は厳しい状況にある。こうしたなか、JA全農酪農部は、全国的な需給調整機能を通じて、生乳の安定供給や需要拡大に取り組み、酪農生産基盤の維持にその役割を果たしてきた。最近の酪農情勢と当面の課題について、JA全農酪農部の宮崎幹生部長に聞いた。

◆酪農家の減少、生産基盤の減退が最大の課題

JA全農酪農部宮崎幹生部長――改めて酪農家の現状と最近の生乳生産の動向についてお聞かせください。
 わが国の酪農家戸数は、昭和38年の41万戸をピークに減少の一途をたどり、今年はついに2万戸を下回って1万9400戸になりました。生乳生産量は、飼養頭数を増やすなどの規模拡大を通じ一定程度維持されてきましたが、後継者不足や飼料高騰の影響で、生産基盤そのものの維持が危うい状況となっています。
 こうした現状をふまえ、中央酪農会議と各地域の指定団体は、酪農家に意欲的に生産に取り組んでいただくという意味で、生乳の計画生産の在り方を実質的に変更しました。平成24年度から、従来の需要動向にあわせて計画的に生産していただくのではなく、指定団体や全国連が用途別に販売努力することを旨とする増産型の計画生産となりました。
 しかしながら、それだけで、酪農家の減少に歯止めをかけられるわけではありません。後継者問題や飼料高騰等による経営的な問題、TPPの問題など、酪農の生産基盤は、今、大変危機的な状況にあると考えています。今年は、猛暑や集中豪雨、台風などの異常気象により、牧草の生育や飼養管理にも悪影響がでて、生乳生産が減少しています。とくに全国の生産減少を増産で支えてきた北海道では、下期から4%前後の生産減少となり、市乳や乳製品の需給に大きな影響がでるなど、生産基盤減退が全国の牛乳・乳製品の市場に影響する事態となりつつある現状です。
 特に、酪農については、TPP交渉で米・麦などと同様に乳製品が「聖域」であるといいながら、関税率の削減が交渉の場で議論されること自体、酪農家の生産意欲、投資意欲を減退させ、先行き不透明感を与えて、生乳生産の減少につながっているという現実があります。
 酪農の生産基盤を維持していくためには、先行きの不透明感を一掃する必要があり、そのために組織として、担当者として何をどう頑張るのかを問われていると痛感しています。

◆地域毎に多様な酪農の可能性

――生産意欲を持っていただくためにも、酪農についての国民的な理解が一層必要になっていますね。
 消費者に酪農家の現状を理解していただくことは、非常に重要な課題であると考えています。
 日本の酪農家は、良質な生乳を生産するため、土づくりから始まる粗飼料生産、飼養管理、糞尿処理など1年を通じて弛まぬ努力をされています。
 JA全農では、9月末に酪農経営体験発表会を開催し、各地域を代表して6名の方に多様な取り組み事例を発表していただきました。改良による高能力牛の育成や組織の技術力を活用した受精卵移植による安定的な和子牛の生産・販売など、所得向上にむけた取り組みを紹介していただきました。また、十数年間かけて研究と検証を重ね、糞尿から良質な堆肥を製造して、高品質な肥料を求めるバラ園などへ販売し高所得をあげている事例が発表されるなど、地域の環境に即した多様な取り組みをご報告いただきました。
 日本の酪農は、それぞれの地域の気候や環境などに順応しながら、その地域にあった経営が営まれているという現状をもっと消費者にご理解していただく努力が必要だと考えています。
 我が国で飲まれている牛乳は、他国と異なり、消費者の品質や風味などの嗜好性から大半がチルド流通になっており、その牛乳を安定供給するため、脱脂粉乳などの乳製品を生産し、生乳の需給調整をおこなう必要があります。TPP交渉による関税の削減・撤廃は、そうした生乳の需給調整に悪影響を及ぼすため、フレッシュな牛乳を消費者にお届けする観点からも、容認するわけにはいきません。
 中央酪農会議・指定団体と連携し、日本酪農の価値や位置づけとその重要性をしっかりと伝えていきたいと考えています。

◆需要拡大の働きかけと努力

――消費拡大に向けた課題をどうお考えですか。
 酪農の生産費は、世界的に、異常気象や中国等の酪農振興などで飼料原料となるトウモロコシや乾牧草の需給がひっ迫し、上昇局面にあります。また、乳製品の需要も中国等の新興国で拡大しているため、製品価格もまた上昇傾向にあります。日本でも、生乳の生産費が円安やトウモロコシなどの飼料原料価格の高騰で大幅に上昇したことを受け、この10月から飲用向けで5円/kgの値上げとなりました。牛乳・乳製品は、一部の例外的商品を除き、少子高齢化による生産人口の減少などもあって、総じて消費低迷が続いておりましたが、乳業各社に、生産費上昇による酪農生産基盤のさらなる弱体化を避けるための値上げ判断をしていただきました。
 現在のところ、牛乳価格の値上げによる需要への影響はでておりませんが、一部店舗において、これまで牛乳の置いてあった棚に安い価格帯の乳飲料が置かれるなどのケースも出始めており、今後、牛乳消費への影響がでてくることも想定しなければならないと考えております。
 一方、ヨーグルトのように、乳酸菌の体内残留時間の延長や腸内環境を長時間整えるなどの機能性を追求した商品開発が行われ、この数年、10%前後消費が伸びている商品もあります。乳業各社が、創意工夫して消費の拡大に取組み、それに生産者・生産者団体が良質な生乳の供給で応え、その結果として、牛乳・乳製品市場が活性化し、併せて生乳の生産コストに見合った価格形成がなされていく。そうした意味で、生産者サイドとしても需要拡大の働きかけ・努力を積極的に取進めていくべきと考えています。

◆国産の牛乳・乳製品の市場を確保し、酪農生産基盤の維持へ

――今後のJA全農酪農部としての取り組みについてお聞かせください。
 牛乳や乳飲料、発酵乳などのチルド製品は、新鮮で美味しい健康食品として、消費者に広く受け入れられています。こうしたフレッシュな製品を乳業各社が食卓に安定してお届けするためには、生乳・乳製品の需給調整が必要となります。JA全農では、全国の指定団体と連携して国産生乳ならではのチルド飲料の市場を形成・確保するために需給調整に取り組んでいます。
 また、牛乳や発酵乳向けの生乳を主として供給している都府県では、生乳生産量と乳業工場が必要とする需要量が一致しないため、常に、生ものである生乳の過不足調整をおこなう必要があり、年間を通じ、産地間や乳業工場間での需給調整を実施しています。
最近の特徴として、生クリームや脱脂濃縮乳といった液状乳製品などの需要が増加したこともあって、全国的には夏場から12月までが生乳の最需要期となり、この期間の需給調整が、牛乳などのチルド製品を市場に安定供給していくうえで大きな課題となってきています。
 しっかりとした牛乳・乳製品の市場を確保することが、酪農生産基盤を維持していくうえで大変重要であるため、生乳や乳製品の需給調整機能の一層の強化が、我われの当面の課題であると認識しています。


【特集・元気な国内農業をつくるために“いま全農は…”】

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