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2018.04.27 
小さな連携づくり支援 協同で住み良い社会を【インタビュー勝又博三・JCA代表理事専務】一覧へ

・JCA(日本協同組合連携機構)が4月1日発足

 協同組合が地域で果たす役割と機能をさらに広めるための連携の環を広げようと4月1日、日本協同組合連携機構(JCA)が発足した。現場に根ざした調査・研究や、協同組合間連携の促進、国際協同組合運動への参画などを実践していく。協同組合が横断的にまとまった組織は日本で初めて。当面の活動方針などについて勝又博三代表理事専務に聞いた。

◆日本初の横断組織

 ―改めてJCA発足までの経過と新組織の意義についてお聞かせください。

勝又博三・JCA代表理事専務 日本の協同組合は農協、漁協、森林組合、生協など、各種の協同組合が戦後、それぞれ異なる法律のもとで発展してきました。そこには各省庁の行政目的を達成する手段としての性格もあったと思いますが、展開している事業は農林水産物の販売をはじめ、購買、金融、共済、福祉、医療、就労創出、住宅、旅行など多岐にわたって人々の暮らしに関わりがあります。ただ、同じ「協同組合」だという認知が高いとはいえません。
 一方、わが国は人口減少、少子高齢化、地方の疲弊、厳しい若者の雇用環境などさまざまな課題がありますが、行政だけでは解決することが困難になっており、協同組合が今まで以上に地域や都道府県、さらに全国で連携を強化して持続可能な地域のくらし・仕事づくりに取り組んでいくことが必要になっています。
 それを実現するために協同組合間の連携を促進し、協同組合の価値を協同組合自らが拡げるため、新たな連携組織として発足したのがJCAです。
 日本で協同組合がまとまって1つの法人を組織するのは初めてのことです。ICA( 国際協同組合同盟)に加盟する組織で構成してきたJJC(日本協同組合連絡協議会)は1956年に発足して以来、協同組合連携や国際協同組合運動に取り組んできましたが、緩やかな協議体でした。また、JC総研はJA系統が法人の社員で、JA以外の協同組合からも役員に就任をいただいていましたが、JA以外の組織は社員ではありませんでした。JCAはそこが違い、協同組合の全国組織自身がJCAという法人の議決権を持つ社員として参画しています。
 JJCでは2016年に協同組合間連携をさらに促進するための委員会を設置して議論・検討し、今年2月にJJCとして「新たな連携組織への移行について」を決定しました。この決定に基づいてJCAが発足したわけですが、このように各種の協同組合を横断する組織ができたのは画期的なことです。

(写真)勝又博三・JCA代表理事専務

 

◆常に「現場」を意識

 ―どんな役割発揮をめざしますか。

 協同組合の初めての横断的な組織として強い期待が寄せられていると思いますが、私はJCAとして常に現場を意識し、現場に根ざした調査・研究によって、地域のよりよいくらしと仕事に貢献していく姿勢を大事にしようと言っています。
 現場というと、JC総研時代の農林水産業や農村に置いていた軸足を地域社会、コミュニティ(地域+職域)という視点に広げ、そこに組合員の仕事があり暮らしがある現場だと常に意識する必要があると考えています。ICAの協同組合原則に即していえば、JCAの活動は第6原則の「協同組合間の協同」はもちろん重要ですが、第7原則の「地域社会への配慮」も大事にしようということです。
 それから各協同組合がこの新しい組織に参画しているわけですが、それぞれの歴史や文化も違いますから、まずはお互いにコミュニケーションをよくし、理解していこうと呼びかけています。

 

 ―協同組合間連携の促進が期待されますが、具体的にはどのようなイメージですか。

 たとえば、食育活動など「食」を軸にして、農協、漁協、生協の女性組織が地域で連携すれば、それまで知らなかった漁村の伝統的な魚の食べ方に出会うことができるかもしれません。お互いに発見があって、自分の地域の食のことをいちばん知っている人とのつながりが生まれる。そこから話し合って自分たちの願いは何か、それを実現するにはどうすればいいかを考えていく。さまざまな協同組合の組合員が地域という現場で出会うことが基本で、組合員がそうした場に参加してよかったと思ったことをきっかけに事業や活動の連携につなげていくことが今は大事ではないかと思っています。
 それぞれの協同組合が地域の人々に必要とされる事業体であるのは事実であり、これが連携するともっといい地域社会ができるかもしれないと組合員が思うような取り組みを増やしていければと思います。もちろん今もそうした優れた活動は点のように存在していますが、その点をあちこちに増やすよう促進していきたいと思います。

 

◆各地の経験を交流

 ―小さくてもいいから組合員が参加する具体的な連携を増やそうということでしょうか。

 協同組合は事業体ですから事業としては規模が大きいほうが安定するでしょう。一方、協同組合は人と人との組織です。それを考えるとできるだけ小さいほうが運営しやすいという面もある。そういう矛盾を常に意識しなければなりませんが、無理な連携は長続きしません。やはり、参加している協同組合は違っても協同組合の組合員として、人と人とのつながりの組織として参加してもらうことを基本にしたいと思います。

 

 ―活動のなかには政策提言もあります。今後、どのような提言を考えていますか。

 たとえば、JCAができたのだから協同組合基本法の制定を求める活動を期待されるかもしれません。そのこと自体は否定しませんが、先ずは協同組合連携の現実の取り組みのなかから政策や制度について提言を出していくべきだろうと考えています。
 実際、今後、協同組合間連携を進めていくと、地域の行政はもちろん、さまざまなNPO、NGOとも手を携えていく必要があると思います。その際に、こんな政策があればという願いや、反対に壁となっている制度があるかもしれません。その現実に立脚し、政策を提案していくということだと思います。
 そうした政策提言と連携の展開につなげるためにも、40県域で連絡協議会がありますが、各地でどういう連携の取り組みをしているのか、どのような課題や悩みがあるのか、今年の初夏には経験交流会を持つ予定にしています。

 

【略歴】
(かつまた・ひろみ)
昭和31年生まれ。
慶大卒。昭和54年全国農協中央会入会。企画総務部長、経営指導部長、農業者年金基金理事などを経て平成29年JC総研理事長、30年4月JCA代表理事専務。

 

○JCA会員構成(平成30年4月1日現在)

【1号会員(法人の社員)】
 全国農業協同組合中央会、日本生活協同組合連合会、全国森林組合連合会、日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会、全国労働者共済生活協同組合連合会、一般社団法人全国労働金庫協会、全国農業協同組合連合会、全国共済農業協同組合連合会、農林中央金庫、一般社団法人家の光協会、株式会社日本農業新聞、全国厚生農業協同組合連合会、株式会社農協観光、一般財団法人全国農林漁業団体共済会、全国大学生活協同組合連合会、日本医療福祉生活協同組合連合会、日本コープ共済生活協同組合連合会

【2号会員】
 JA都道府県中央会 全国漁業協同組合連合会(5月に1号会員へ)

【3号会員】

 JA、生協、森組、漁協、各種協同組合及び連合会等

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