畜産ICT企業に全農と農中が出資2017年3月28日
(株)ファームノートへ総額2億円
JA全農と農林中金は(株)産業革新機構と住友商事(株)とともに、ICTを活用した牛群管理システムなどを開発・販売している(株)ファームノートホールディングス(本社:北海道帯広市)の第三者割当増資を引き受け総額5億円の出資を行うことを決定したと3月27日、発表した。
(株)ファームノートホールディングスは、牛に特化したクラウド牛群管理システム「Farmnote」を開発、販売している。牛の状態を牛舎など現場でスマートフォンやタブレット端末に入力してクラウド上で集約して、これを解析し有益な牛群管理事業をユーザーに提供するシステム。
酪農・繁殖経営では発情や分娩兆候などを的確に捉えることが重要だが、農家の多くは長年培った経験や目視での観察結果をもとに台帳などで管理をしており、IC技術を活用した体系的な経営が浸透していない。このシステムは的確で効率的な牛の管理を行うことで発情期の見逃しなどによるチャンスロスをなくすとともに、労力の軽減を図ることもできる。
また、同社はリアルタイムに牛の活動情報を収集・解析する首輪型ウェアラブルデバイス「Farmnote Color」の開発、販売も行っている。牛の首に取り付けられたセンサーから収集した発情や疾病兆候など、さまざまな情報について人工知能が解析し牛の最適管理を実現する。
今回の出資は4者で5億円。このうち全農と農林中央金庫で2億円を出資する。農林中央金庫は産業界へのリスクマネー供給を主眼として昨年5月に設定した「Food&Agri成長産業化出資枠」を活用する。
全農は同社への出資に合わせて(株)NTTドコモと業務提携を行い、ファームノートの取り組みを販売促進面で協力し全国のJAを通じて販売していく。
クラウド管理システムの「Farmnote」は100頭以下は無償で提供し、以後1頭あたりの利用料金を設定している。「Farmnote Color」は1台約3万円。
全農はすでに研究所で同システムを導入しており「データをもとに経営を見ることもできるし生産者の作業にも余裕が生まれる」(JA全農畜産生産部・米倉浩司推進・商品開発課課長)と評価している。
同社の中川晋也社長はJAグループの出資によって現場で信頼も得られるとし「小規模農家も含め農協の組合員の畜産・酪農家に新しいテクノロジーを広め生産性を上げることに貢献したい」と話す。
今回の出資金はファームノートのさらなる改良などに活用するほか、農業現場でAT活用を研究するために設置した「Farmnote Lab」の研究開発資金にあてるという。
(株)ファームノートホールディングスは2016年設立。04年設立の(株)スカイアーク、13年設立の(株)ファームノートを傘下に持つ。ユーザー数は1600農家、契約頭数は16万頭と発表されている。
(写真)右から農林中金食農法人営業本部営業第三部・田澤祐助部長代理、JA全農畜産生産部推・商品開発課・米倉浩司課長、(株)ファームノートホールディングス・小林晋也代表取締役社長、(株)産業革新機構戦略投資グループ・鑓水英樹マネージングディレクター、(株)住友商事アグリサイエンス部・井上博由起部長付
重要な記事
最新の記事
-
たまねぎべと病 近畿、中国、四国で多発のおそれ 令和6年度病害虫発生予報第1号 農水省2024年4月18日
-
春メロン4億円の販売を目指す JAくま2024年4月18日
-
安全性検査をクリアの農業機械 農用トラクターなど1機種25型式を公表 農研機構2024年4月18日
-
JAグループのガソリンスタンドに急速充電器「DMM EV CHARGE」導入2024年4月18日
-
【スマート農業の風】(3)データ駆動型農業へ転換しよう2024年4月18日
-
入会牧野【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第287回2024年4月18日
-
チューリップ切り花が復活の兆し【花づくりの現場から 宇田明】第33回2024年4月18日
-
4月1日新事務所移転 緑の安全推進協会2024年4月18日
-
東京農大と共同研究 良食味米「コシヒカリ」で低糖質米を実現 栽培手法を確立 ジェイフロンティア2024年4月18日
-
Oisix「おいしくアップサイクル ふぞろいキウイチップス」など3種発売2024年4月18日
-
「飯縄山」からの伏流水で育つ米と玄米の直売市開催 長野県飯綱町2024年4月18日
-
「食品製造現場におけるロボット等導入及び運用時の衛生管理ガイドライン」を策定 農水省2024年4月18日
-
「みどりの食料システム法に基づく基盤確立事業」実施計画認定を取得 アイアグリ2024年4月18日
-
微粉砕加工で機能性を付与 北海道産小麦粉「CRONOS」発売 小田象製粉2024年4月18日
-
発色が早いわい性ハボタン「ローブ ホワイト」種子発売 サカタのタネ2024年4月18日
-
日本の原風景「棚田」の魅力を1枚に「棚田カード」第4弾を発行 農水省2024年4月18日
-
鳥インフル ブルガリアからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年4月18日
-
次世代へ繋がる循環型酪農・林業へ 三井住友フィナンシャルグループと協業 ホウライ2024年4月18日
-
国内最大級のドローン専門展示会「第9回JapanDrone2024」6月5日から開催2024年4月18日
-
吉田羊が情感たっぷりに 新CM「すごいよ パウダールウ」篇 エスビー食品2024年4月18日