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2017.12.18 
【農協研究会・報告(3)】JAの強みで地域農業の再建を 谷口信和・東京農業大学教授一覧へ

 農業協同組合研究会(会長:梶井功東京農工大学名誉教授)は12月9日、東京都内で第26回研究会「日欧EPA~TPP11の自由化に抗した食と農の再生課題」を開いた。JAグループ関係者ら70人が参加し3人の報告をもとに議論した。このページは東京農業大学谷口信和教授の報告。

◆どんな局面にいるか

谷口信和・東京農業大学教授 谷口氏は「担い手問題からみた日本農業蘇生の道筋をどう画くか」と題して豊富な現場調査をもとに課題を分析した。
 最近の冨士開拓農協の組合員酪農家の後継者問題を調査した結果から、大規模経営のなかでも後継者がいない場合もあり、小規模でも経営が承継されることもあるなど「儲かれば後継者ができるというものではない」という実態を指摘。家族の実情や地域の実情に合わせて農業の維持を考えていくべきで、後継者を育てるためのJA出資法人設立などが注目されるという。
 一方、アベノミクス農政がもっとも期待する担い手である一般企業は農業参入しても黒字は30%程度にとどまる(2011年調査)という厳しい現実がある。農地法改正前の5倍のペースで参入が増え28年には2600法人となっているが、いち早く撤退した事例も少なくない。ただ、注目すべき取り組みもあり、農機メーカーによる大型機械と種子メーカーと連携した鉄コーティング種子、GPSなどを一括し、さらに米の輸出先まで結びつける「トータルソリューション提案」を経営提案する取り組みには注目すべきだという。種子の供給から販売まで一貫して把握する「企業による農業の囲い込み」という現実もある。
 一方、酪農一本だった農家が肉用牛繁殖、肥育を組み合わせ次代の家族農業へと継承されている例も生まれているなど「単純な規模拡大をめざさず持続的農業経営の実現」という注目すべき動きもあるという。
 また、集落営農も経営継承をめざし複数の合併、あるいは広域連合など新たな動きが見られるという。

(写真)谷口信和・東京農業大学教授

 

◆あらゆる部門を結ぶ

 こうしたさまざまな動きがあるなか、谷口教授は担い手確保と耕作放棄地問題など日本農業をめぐる基本的な課題には総合農協の有利性を活かしたJA出資法人などが強みを発揮して解決にあたるべきだと提起する。
 JA出資法人は水田作を中心とした農作業受託を受けるためにスタートしたケースなど多いが、担い手不足が深刻化するなか、水田に限らず露地野菜、樹園地、畜産部門へとあらゆる部門に進出し、農作業受託ではなく農業経営へと移行し「地域農業の最後の担い手」として位置づけて発展、さらに耕作放棄地の再生や新規就農者の研修といった地域農業資源の再生、創出という新たな課題に挑戦し「地域農業の最後の守り手」となっている法人も登場している。また、多数の農家や、地元の農業関連企業なども出資して地域農業に総合的に対応しようとするJA出資型法人も誕生している。
 「地域農業発展の総合的拠点」ともいえる法人など部分的な対応ではなく、総合的な対応が求められていると提起した。

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