神出全農理事長が「AG/SUM」で講演2018年6月12日
・農業の価値をデジタルイノベーションで高める
農業とテクノロジーを融合させたアグリテックをテーマに開催されている「AG/SUM2018」のシンポジウムの一環として、神出元一全農代表理事理事長が「JAグループが描く農業のデジタルイノベーション」と題して基調講演した。その後、金丸哲也農林中金専務執行役員も加わったパネルディスカッションで、JAグループのデジタルイノベーションについて語った。
◆Z-GISに注目集まる
(写真)神出理事長が全農のデジタルイノベーションを牽引する「Z-GIS」の役割を強調
この「AG/SUM(アグサム)」(アグリテック・サミット)は、農業とIT(情報技術)の融合をテーマにしたイベントで、日本経済新聞社が主催し昨年第1回が東京・虎ノ門で開催され、今回が2回目となる。6月11日から13日まで日本橋三井ホールを中心に、シンポジウム、セミナー、プレミアムショーケース(展示ブース)、マルシェ(物販ブース)などが行われる。会期中に開催されるシンポジウムには、海外からの講演者も含めて130名が登壇し、食料問題に関する議論や技術紹介などが繰り広げられる。
(写真)JAグループのデジタルイノベーションを図解したパネル
今回は、JA全農、農林中金、JA共済連、JA全中のJAグループ全国連4連が協賛して参加。JA全農と農林中金が技術系イベントで連携するのは初めてではないだろうか。展示ブースには「米百俵」が積み上げられるとともに、営農・販売・共済・金融のデータ連携とエクスチェンジによる「データ活用」で、生産者には新しい農業支援の可能性を、消費者には新しい食に関するサービスの可能性を提供する「JAグループのデジタルイノベーション」を図解したパネルを展示。
(写真)ブースには日本農業を象徴する「米百俵」が
その前には空からの精密農業を実現するドローンや、この4月から提供を開始したJA全農営農管理システム「ZーGIS」や「アピネス/アグリインホ」、携帯・設置併用型土壌分析器「ZAパーソナル」、さらに牛の分娩・発情監視通報システム「モバイル 牛温恵」、人工知能でリアルタイムに牛の活動情報を収集・解析し最適な飼養管理を実現する「FarmnoteColor」など、全農が開発した最新のデジタル機器が展示され、注目を集めていた。
「ZーGIS」について、神出理事長が基調講演で強調したこともあった、JAや生産者だけではなく「一般企業の方からも注目され、かなり詳しく質問をされました」と説明にあたった全農の担当者はいう。
(写真)「Z-GIS」のデモ画面を熱心に見入る姿も
◆立見も出た基調講演
(写真)パネルディスカッション(左から、三輪氏、神出理事長、金丸専務、吉田編集委員)
神出理事長の基調講演とそれに続くパネルディスカッションは、その前のパネルが終了する前から多くの人が会場に詰めかけ、椅子席だけでは座り切れず、通路に座り聞き入る人が出るほど盛況だった。
基調講演で神出理事長は、JAグループとはどのようなグループなのか、そして全農のプロフィールと世界の協同組合との関係、全農の海外展開を含めた事業について簡潔に紹介。そのうえで、国内の農業生産量や米の需要、さらに国の食料消費量8624万tのうち4390万tが輸入であり、これをいかに国産農畜産物に切り替えるかが大きな課題だと指摘。
そして耕作放棄地や生産者の高齢化、労働力不足が国内農業の重要な課題となっているが、その解決のカギが「デジタルイノベーション」にあるとした。そのために全農では「Z-GIS」など新しい技術を開発、TACや生産者に出向く体制を強化して、生産者に伝えていくとした。今後のあり方としては「農業の価値をデジタルイノベーションでさらに高めていく」ことだと結んだ。
パネルディスカッションは、神出理事長と金丸哲也農林中金専務執行役員・食農法人営業本部長、吉田忠則日経新聞編集員が参加。三輪泰史日本総研シニアスペシャリストをモデレーターに進行した。
このなかで金丸専務は、法人化や大規模化が進みデジタルイノベーションを考えれば、「資金ニーズ」が出るので、こうした先進的な担い手を支援するために、農林中金が持っている法人とのノウハウを役立てていくとし、さらに生産、加工・流通・外食そして消費者をつなぐ「食と農のファーストコールバンクを目指す」と、金融機関である農林中金の役割を強調した。
また、日経の吉田氏は自身の取材経験から「進次郎 VS 全農」の見出しで農協が「悪者」のように報道されることが多いが、一所懸命に農業・地域のために頑張っている農協や生産者がたくさんいることを強調していたことも印象的だった。
AG/SUMの初日・11日は礒崎陽輔農林水産副大臣が開会のあいさつを行い、これからの「スマート農業」の重要さと期待を述べた。その後、礒崎副大臣は展示ブースを訪れ、全農のさまざまな最新の機器などについての説明を熱心に聞いていた。特に畜産(牛)関連では自ら機器を手に取り、その扱い方などを丁寧聞いている姿が印象的だった。
基調講演で神出理事長は、JAグループとはどのようなグループなのか、そして全農のプロフィールと世界の協同組合との関係、全農の海外展開を含めた事業について簡潔に紹介。そのうえで、国内の農業生産量や米の需要、さらに国の食料消費量8624万tのうち4390万tが輸入であり、これをいかに国産農畜産物に切り替えるかが大きな課題だと指摘。
そして耕作放棄地や生産者の高齢化、労働力不足が国内農業の重要な課題となっているが、その解決のカギが「デジタルイノベーション」にあるとした。そのために全農では「Z-GIS」など新しい技術を開発、TACや生産者に出向く体制を強化して、生産者に伝えていくとした。今後のあり方としては「農業の価値をデジタルイノベーションでさらに高めていく」ことだと結んだ。
パネルディスカッションは、神出理事長と金丸哲也農林中金専務執行役員・食農法人営業本部長、吉田忠則日経新聞編集員が参加。三輪泰史日本総研シニアスペシャリストをモデレーターに進行した。
このなかで金丸専務は、法人化や大規模化が進みデジタルイノベーションを考えれば、「資金ニーズ」が出るので、こうした先進的な担い手を支援するために、農林中金が持っている法人とのノウハウを役立てていくとし、さらに生産、加工・流通・外食そして消費者をつなぐ「食と農のファーストコールバンクを目指す」と、金融機関である農林中金の役割を強調した。
また、日経の吉田氏は自身の取材経験から「進次郎 VS 全農」の見出しで農協が「悪者」のように報道されることが多いが、一所懸命に農業・地域のために頑張っている農協や生産者がたくさんいることを強調していたことも印象的だった。
AG/SUMの初日・11日は礒崎陽輔農林水産副大臣が開会のあいさつを行い、これからの「スマート農業」の重要さと期待を述べた。その後、礒崎副大臣は展示ブースを訪れ、全農のさまざまな最新の機器などについての説明を熱心に聞いていた。特に畜産(牛)関連では自ら機器を手に取り、その扱い方などを丁寧聞いている姿が印象的だった。
(写真)全農ブースで熱心に説明を聞く礒崎副大臣
(関連記事)
・営農管理システム「Z-GIS」が運用開始 JA全農(18.04.24)
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