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【農業・農協改革】中央会機能を守り、地域社会崩壊防げ 高橋専太郎・JAいわて花巻代表理事組合長2014年11月17日

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・オールJAの力で
・総合調整機能を
・農業の実態踏まえ
・相互扶助を旗印に

 農協改革の議論が正念場を迎える。政府は来年の通常国会への関連法案の提出をめざしているが、最大の焦点は中央会制度だ。この問題は「中央」の問題なのではなく「地域」、まさにJAの存在自体にも大きく影響するものだと本紙は強調してきた。前号に引き続き「中央会制度」をテーマに今回はJA全中の総合審議会中央会改革専門委員会の高橋専太郎JAいわて花巻代表理事組合長に聞いた。(聞き手は田代洋一大妻女子大教授)

全中のリーダーシップ発揮こそ

 田代 農協改革の問題は、今や中央会制度に焦点が絞られてしまっています。全農をはじめとした全国連、さらに単協にも改革が迫られているのに、今回の問題は中央会改革のことだろう、といった認識が各地から出てきているのは、それこそ問題です。
 現在の中央会それ自体の問題は考える必要があるにしても、同時に中央会制度がなくなれば連合会にも単協にも大きな影響が及ぶという理解を深め、その必要性も訴えていくことが重要です。
 つまり、今の問題は全農協に関わることだと思いますが、今日は高橋組合長からJAの現場実態をふまえたご意見をお聞かせいただければと思います。

 

◆オールJAの力で

高橋専太郎・JAいわて花巻代表理事組合長 高橋 先日、毎年恒例の農業まつりをJA本店で開き、私も集まってくれた大勢の組合員や地域の人たちと話をしました。みんなJA改革も中央会改革も、あるいは全農の株式会社化の問題など報道でよく知っています。それで異口同音に「農協は必要だ」とは言いますが、どうしても中央会や全農については詳しくないのが実態です。
 しかし、今年のように米価が大幅に下落して、それこそ30ha、50haという担い手が資金繰りで大変になっているなか、ナラシ対策(収入減少影響緩和対策)があるといっても年を越してからしか補てんされないという問題があります。
 そこで現場では何とか年内支払いができないものかと言っているわけですが、こうした現場の要望をまとめてきちんと国に要請していけるのが全中です。全中のこうした代表機能は非常に大きく組合員の経営にも直接関わることです。
 田代 組合員にとっては単協が何をしてくれるかが大事なわけですが、それを中央会、連合会がどう支えているかを理解する必要もあるということですね。
 高橋 全農の総代として10月に米国を研修訪問しましたが、全農が世界市場から肥料と飼料を調達し、日本へ安定供給をきちんと果たしていることにすごいもんだなと改めて評価しました。
 さらに考えたのは、これからは日本から米も海外にどんどん輸出しようとするなら、全農が中心となってオールJAで取り組んではどうかということです。飼料用米の生産も大事ですが、生産者にしっかり米をつくってもらって海外に打って出る。資金が必要なら農林中金の力もいる。こういうオールJAグループの話として取りまとめるのも全中だと思います。
 農協改革の底流には農家組合員の所得向上と地域の活性化という目的があることを忘れてはなりません。これに向かって自らが改革をしなければならないということです。

 

◆総合調整機能を

 高橋 ただ、中央会も時代に合わせて組織改革を行うべきだとは思います。たとえば全中と県中の役割を整理する、あるいは教育文化活動については家の光協会などとの機能分担、JAの経営指導についてはJAバンク機能を活用するといったことです。
 つまり、全中は必要ですが何でもやるのではなく、必要なことは代表機能、総合調整機能、それから監査です。そこに集中的に役割を果たしてもらう。また、農家組合員の所得が非常に低迷しているなか、やはり機能分担や組織再編などで費用削減を図って賦課金についても見直していく必要もあると思います。
 ただし、機能分担を考えるといっても監査など一般社団法人では機能を発揮できませんから法的な裏付けが必要です。もしも一般社団化するならばJAに対する都道府県行政の指導が強くなり、それは結局農協を弱体化させかねないと思います。 田代 全中にどんな固有の機能を求めるかですね。とくに総合調整機能ですが、連合会は各事業ごとの事業連ですからその全体を統合する中央会機能は絶対に欠かせず、しかも法律に基づく組織でなければこうした力は持ち得ないと思います。
 高橋 その総合調整機能を今までしっかり果たしてきたかといえば私は逆に弱かったと思います。弱いから中央会の役割が見えず全中は不要ではないかといった問題にもなってしまう。たとえばJAと各全国連との事業分担などは全中がきちんを考えて調整、指導することも重要だと思います。つまり、JAの視点に立って事業に横串を刺すようなかたちでJAのあり方を考える。それも全中の総合調整機能ではないかということです。

 

◆農業の実態踏まえ

 田代 その点では実は中央会機能はもっと強くしなければならないということですね。
 監査については、公認会計士監査でいいではないかとの主張もあります。そうなるとどんな問題が出てくるでしょうか。
 高橋 問題は農村地域を知っているかどうかです。一般の会計監査では分からないと思います。とくに協同組合というものが底流にあって、これはお互いに助け合って作りあげてきた組織なんだということを理解しなければなりません。それを知らないで公認会計士がやってきても誰も言うこと聞かないでしょう。
 田代 一般の公認会計士監査となれば協同組合の独自性は全然理解されず、一般の株式会社、営利企業の監査の視点に絞ってくる。たとえば営農貸し越しなどは、認めるとしても利子をとらなければだめだということになったり、部門別損益計算でもなぜ赤字部門を黒字部門から埋めるのかといった指摘も出てくる。
 高橋 われわれも場所別、部門別経営分析を行い、労働生産性や労働分配率、あるいは損益分岐点といったさまざまな指標で経営管理しています。 そのなかで今回のような米価下落の事態に、来年いかに再生産してもらうかを考え、たとえば肥料、農薬に対して助成しようという対策を打ち出しているわけです。つまり、出資配当するために農協をやっているわけではないということです。組合員の営農を支えるため今回のように蓄えを吐き出すこともあるわけで、こういう機動的な運営をしているのが農協だということです。
 さらに農協としてもっとも大切なことは地産地消運動です。われわれも地域でとれた農産物をまず学校給食に供給しています。それから温泉をはじめとした観光施設や大きな量販店も地産地消運動に呼応しています。
 これは単協が本当の運動としてやらなければいけない。地域の方々に農協の姿を示し、やはり地域になくてはならない組織が農業協同組合だと支持される努力が必要です。しかし、地産地消運動が大事だといっても、やはり米価が下落し農家は困っているから、そこは現場の声を全中がまとめて要望するということです。

◆相互扶助を旗印に

JAいわて花巻の平成26年農業祭りでのモチ撒き。「三世代ふれあい餅つき大会」では48基の臼で組合員三世代による餅つきを実施。搗きたての餅を振る舞った。 田代 法定機能として建議がありますね。
 高橋 全中が農政活動をしなければ、われわれ農民の要求を誰が要望するんですか。毅然として活動してもらわなければ現場は困る。JAの組合長はみんなそう言っていますよ。米対策が本当に必要なときに全中廃止論なんかが出てくるのは、まったく地方を壊すものです。
 田代 JAの現場では何を重視して農業振興や地域づくりをしようとしていますか。
 高橋 JAいわて花巻では、27支店それぞれが支店行動計画を立てて協同活動を実践しています。その根本にあるのは農村の歴史的伝統文化を継承し、何百年も続いた先人の考え方を大事にしようということです。
 そのひとつが相互扶助の精神で、私はその精神に結集している4万3000人の組合員の代表として持続的な農業と暮らしを守ることが仕事です。
 これを実践するための全中の役割は大きい。中央会廃止は地域社会の崩壊につながるものだと考えなければなりません。

(写真)
 JAいわて花巻の平成26年農業祭りでのモチ撒き。「三世代ふれあい餅つき大会」では48基の臼で組合員三世代による餅つきを実施。搗きたての餅を振る舞った。
(写真提供=JAいわて花巻)


【インタビューを終えて】
 文章にすると穏やかになるが、インタビューは迫力感にあふれていた。ポイントは二つ。一つは地域・JAにとって中央会機能の重要性、もう一つはJAはいかにあるべきかだ。中央会については、代表機能、総合調整機能、監査機能について、それぞれ具体例をあげながら必要性を指摘されつつ、同時にスリム化の必要性も指摘された。
 JAについては、利益をあげることが強調されているが、営農の苦境を救うためにいかに蓄積を吐き出すか。利益はその剰余でしかない。地産地消運動を柱に27支店のうち10人が女性支店長だという。このようなJAの実践を踏まえて、地域の声を総審のとりまとめにしっかり反映させていただきたい。(田代)

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