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JAの活動:JA 人と事業2016

【JA 人と事業】石川 久義・JA横浜代表理事組合長 農業と農地を守る都市JA2016年4月22日

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 都市では都市における農業の役割がある。JA横浜はすぐ近くに消費者がいるという、大都市ならではの環境を活かし、「農」と「食」を基本に、都市の農地と農業を守る事業・活動を展開し、市民の信頼を得て農協の存在価値を高めている。同JAの石川久義組合長に聞いた。

◆少量でも買い取り 「一括販売」方式

 ――大都市の横浜でJAはどのような役割を果たしていますか。

石川 久義・JA横浜代表理事組合長 横浜に農業があるのかと疑問を持つ人も少なくないと思います。しかし、横浜の農業は県内で最大の農地を有し、市内各地の農地では新鮮で安全・安心な農産物を数多く生産しています。
 都市の農地は環境保全や防災などの機能を持つとともに、食農教育やリクリエーション、福祉活動の場として、市民の生活に密接に関係している重要な財産です。この大切な農地と農業を守り、育てていくのがJAの役割だと思っています。
 1戸当たり農地面積は小さいものの野菜や花き、果樹、畜産などほとんどの品目があります。しかし住宅地が近いなかで農家は大変な苦労をしながら経営を続けています。それだけに身近に存在する市民の理解がないと農業は続けられません。
 野菜など、現在も共同出荷(共撰)等市場出荷も行っていますが、産地としての規模が小さくなったことや、すぐ近くに消費者がいることなどから、農業者は自ら販路を選択し、出荷を行っています。また市内には大小あわせ直売所が1000か所くらいありますが、当JAも販路の一つとして13か所に直売所(ハマッ子)を設けています。
 直売所は多くのJAでみられるような大型ではなく中小規模です。効率はよくないが出店しやすく、数が多いことで、生産者は簡単に出荷でき、近くにあることから利用者にも便利です。
 その中で、20年以上続いている販売方式が「一括販売」です。JA横浜では規模の大小を問わず、農業をやっている組合員とその家族はみんな「担い手」と考えています。そこで担い手なら「誰でも、何でも、いつでも、少量でも」買い取りし、スーパーのインショップや直売所などで販売しています。生産と消費を直結するこのやり方は、小規模で多様な品目があり、近くに消費者がいる都市農業だからできることだと思います。
 地元の農産物の良さをPRしても、市民はどこで買えばいいのか分からないことが多い。それが農協の直売所にあると、消費者は自分のほしい商品を手に入れることができ、生産者は自分の商品の売れ具合を確認して安心することができます。
 都市の農業は、家畜の鳴き声や臭いなどで、近所に住む市民に迷惑をかけることがあるかも知れませんが、身近なものを食べてもらうことで信頼関係が生まれます。畜産だけでなく、野菜や果樹も、こうした市民の理解があって、都市の農業が持続できるのだと思います。


◆准組合員が援農 将来の担い手に

 ――JA横浜には5万人近い准組合員がいます。どのような働きかけをしていますか。

誰でも参加できる「一括販売」の直売所「ハマッ子」 准組合員はJAの応援隊だと考えています。農協の正組合員は農業を営みながら、昔から消防団や自治会などの活動を通じて、安心してくらせる地域づくりに努めています。身近に農業や農地があり、それを通じて地域に役立つ活動をしている人がいれば自分もやりたいと思うのが自然の気持ちではないでしょうか。そう考えて自主的に参加してくるのが准組合員だと思います。
 この考えから、農協の営農指導は准組合員も一緒です。5年に1度、正組合員の経営実態調査を行っていますが、高齢化などで、年々遊休農地や荒廃農地が増えています。これを解消する対策の一つに、准組合員を対象にした「援農ボランティア」事業を行っています。 
 准組合員の中には土に親しみたい、農業をやってみたいという人も少なくありません。そういう人に呼び掛け、最初はJAの農業体験講座などで農業に馴染み、慣れると農家の農作業を手伝ってもらいます。経験を積み、自分でやってみたいという人には農地を斡旋するなどで将来の農業の担い手になってもらおうというものです。

 ――いま、政府は「農協改革」でこの准組合員を問題にし、利用制限しようとしていますが。
 
 都市農協として、准組合員との関係強化は欠かせません。JAの准組合員加入推進は、事業取引とセットで加入推進するのではなく、すでに取引のある利用者を対象に行いました。そして2年前に准組合員を対象にアンケート調査を行いましたが、多くの人は事業全体でなく、貯金やイベント参加などピンポイントで利用しています。この結果から、准組合員の組織化は難しいと考え、准組合員のそれぞれのニーズに応じた対策が必要だという結論に達し、実行しています。
 正組合員は当然として、JA横浜がまず相手にするのは一般市民でなく准組合員であるべきだと考えています。さまざまなイベント開催など農協の情報は、まず准組全員に伝えるようにしています。


◆市が「みどり計画」 市民も積極支援

 当初、これら社会・文化的な活動は「地域活動」として位置付けていましたが、准組合員のアンケ―ト調査結果や利用規制をクリアする必要などから、准組合員優先に切り替えました。農協は人の組織です。組合員としてつながりのある准組合員を大切にするべきだということです。
 准組合員のアンケートで、農協の利用は貯金がトップでしたが、これは利子や配当がよいということだけでなく、日ごろから細かく訪問している渉外担当者の活躍に負うところが大きいと考えています。
 そして、何らかの形で農業を営み、資格のある人は正組合員になるよう働きかけます。そうしないと都市化が進むなかで、農家も農協も経営をやっていけなくなるでしょう。
 といっても地域対策を軽視するわけではありません。今日の農協をめぐる情勢から地域活動は重要で、これまでも力を入れてきました。その上でさらに准組合員対策の強化が必要だということです。

 ――どのような地域活動がありますか。

 文化活動の一つ、小・中学生の絵画・書道コンクールは好評です。9000点近い応募があり、横浜市教育委員会後援のもとで定着し、子どもはもちろん両親や祖父母の大きな楽しみになっています。昨年から親子農業体験「あぐり塾」を開講しました。「いのち・農業・食べ物・健康の大切さ」を伝えることが目的で、野菜の種まきから栽培、収穫までの一連の作業を、年4回の講座で体験してもらいます。だれでも参加できる春と秋の農業まつりも、年々参加者が増え、横浜市内の恒例行事になっています。
 また、横浜市は都市農業、農地の保全に独自の「横浜みどりアップ計画」を実施しています。これは平成21年から始めた事業で、樹林地、農地、緑を守り、つくるという事業です。このための財源は、市民1人当たり年間900円の特別税「横浜みどり税」を徴収しています。
 この事業は、農薬のドラフトを防ぐネットや、農機具、CO2の発生を抑えるボイラーの設置などを支援するものですが、意欲のある人や担い手に直接支援するところに特徴があります。「みどり税」の趣旨に沿ったものですが、農協は農地と農業を守ることで、こうした市民の期待に応えていく方針です。

 ――職員に伝えたいことは。

 人生は日々の努力の積み重ねではないでしょうか。どんな組織もそうでしょうが、みんなで力を合わすことで全体を底上げすることができます。それが明るく、風通しのよい、働きやすい職場づくりにもつながります。

【略歴】平成16年JA横浜理事、19年同JA代表理事副組合長、20年組合長に就任。

(写真)石川 久義・JA横浜代表理事組合長、誰でも参加できる「一括販売」の直売所「ハマッ子」

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