JAの活動 シリーズ詳細

シリーズ:新世紀JA研究会 課題別セミナー

2016.10.28 
【新世紀JA研究会・課題別セミナー】 総合機能発揮へ英知を 食や地域の関係者全てと共に一覧へ

神奈川県・JAはだの専務理事 宮永 均

 改正農協法に基づくJA及びJAグループが対応すべき課題について「課題の共有と意識改革の必要性」として問題提起させていただきます。まず喫緊の課題は信用事業譲渡の問題と認定農業者向け調査への対応です。国は信用事業譲渡をあまり表面に出さず、用意周到にその方向に誘導しようとしており、JAが何も手が打てないうちに進めようとしているように思われます。

◆農水が農業者調査

神奈川県・JAはだの専務理事 宮永 均 いま、農水省が始めている認定農業者への調査は都道府県・市町村を通じて名簿提出を求め、JAの自己改革の状況を直接農業者に問うもので、調査対象者から「話し合いはしていない」「検討していない」の回答が多いと大変なことになると考えます。取り組みが出来ていないJAは、直ちに認定農業者への徹底した訪問活動を行い、説明と理解を求める必要があります。
 この調査は、個人情報保護法の対応として第三者提供を承諾した者の認定農業者名簿が提出されています。しかし一部JAではこの内容をまったく把握できていません。また管内の一部の市町村の動きを把握していない状況があるようです。こうしたJAは情報収集に努め、対応を急ぐ必要があります。
 また、今次の調査の規模は、報告された認定農業者の経営規模や販売金額を分類して全国1118票を選び、調査結果を公表するとしています。神奈川は19票の調査が行われることを確認しています。このため、JAはだのはTACが組合長と同行するなどしてその対応を行っていますが、全てのJAが農業者から高い評価をいただけるように取り組まなければなりません。今、そのような状況であるということを認識いただきたいと思います。
 さて、何がJAの危機でその危機をどのように突破するかについて考えたいと思います。危機はすでにご承知と思いますが、JA全中の一般社団法人化、公認会計士監査への移行、准組合員の利用規制、信用事業の譲渡、全農や全共連の株式会社化などが挙げられます。これへの対応は、危機的問題意識をもってJAの組合員、役職員が一丸となって全力で自己改革に取り組むこと、そしてこのための大運動を起こす以外にこの危機を突破できないと考えています。
 昨年10月の第27回全国JA大会では、「創造的自己改革への挑戦~農業者の所得増大と地域活性化に全力を尽くす~」として向こう3年間の運動方針に基づき、課題の共有と意識改革に取り組んできました。これをさらに加速させるためにも、「JAをめぐる環境が、これまでと全く変わってしまう」ということを再認識していただきたいと思います。

◆新中央会に結集を

JAはだののボランティアによる遊休地草刈り なぜならJA全中の一般社団化、都道府県中央会の連合会への移行などでJA組織が壊れる恐れがあるからです。そのため、まず全中と都道府県中央会の組織のつながりを早急に整理し、すべてのJAが今まで通り、新たな組織となる中央会をはじめとする連合会の会員になる準備を早急に行う必要があると考えています。
想定される規制改革推進会議や政府の考え・提案への対応も、JAの自立と運動展開によって新たな総合JAを確立できるように、皆さんの英知を結集して最大限努力しなければなりません。
 では、どうして総合JAが必要か改めて考えていただきたいと思います。協同組合組織の目的は非営利で運営原則は「助け合い」であり、協同組合原則で運営されています。すなわち、協同組合原則という組織の運営方法を編み出すことによって世界に誇るJAになったことを再認識していただきたい。
 JAはこの助け合い活動に基づき、農業振興を通じた地域社会への貢献活動に積極的取り組んでいます。役職員も消防団やPTA、自治会などの一員として地域と向き合っています。協同組合の組織は、人間の本性である助け合いの組織であり、情勢変化によってその存在が左右されるものではないと考えます。
 続いて、直面するJA経営の課題や問題についてですが、まず改正農協法への対応として、JA全中の一般社団法人化のほか准組合員利用規制、公認会計士監査への移行、信用事業譲渡問題があります。加えて、「徹底した話し合い」をキーワードとする対応が求められています。
 また総合農協における総合的監督指針から准組合員の位置づけが削除されたこと、さらに都市部JAでは都市農業振興基本法への対応に加え、2022年には生産緑地制度の当初設定から30年が経過するため、6年先を見据えた対応が必要となります。現時点における国の考えは、都市農業・都市農地が大事であるというのであれば、そのための制度設計をすべきと原理原則論を主張するのみで、対応するにあたっても厳しい状況におかれていることを認識してほしいと思っています。

◆准組は正組の問題

 次にJA解体の危機についてですが、総合JA否定の農協法改正が行われたことで都市部のJAを中心に、とりわけ大変なのが准組合員利用規制問題です。向こう5年間調査して結論を得るとしています。この制限を避けるには、JAが農業者によって自主的に設立された協同組織であり、JAの主役は農業者であることを再認識し、地域JAの基本的考え方に沿って農業振興をどのように実現するかが最重要課題です。すべてのJAが総力を挙げて取り組む必要があります。
 これについて国は、准組合員がJAを必要としているかどうかではなく、農家組合員・正組合員がJAを必要としているかが重要であり、正組合員が納得する事業展開がなされなければ准組合員規制をかけると考えています。従って准組合員問題は正組合員問題と認識して対応しなければなりません。
 JAはだのは、准組合員比率が78%と非常に高く、正・准組合員一体の組織運営を進めてきましたが、さらに「農」への対応を加速させるため、地域の農業資源をある種のコモンズとして捉え、准組合員が農にかかわる仕組みを拡大し、地域農業の維持・継続ができるように、そして農業者・正組合員に、准組合員は協同組織の一員として必要であると判断していただけるように、理解を促したいと考えています。
 次に、公認会計士監査への移行への対応ですが、全国監査機構のJA監査法人への移行のためのレビューやセールスが遅れていることを指摘したい。中央会は販売・購買・利用事業等の内部統制の整備などに全力で取り組みの準備してほしいと考えています。本格的な監査に入る前のレビューで規制報告書を受理できなければ問題となることや、このレビューで監査報酬が決定するので急ぐ必要があります。
 このような状況下、対応を先行するJAでは独自に監査法人に依頼するなどして、レビューに耐えうる体制をすでに整えているところもあります。こうしたJAは監査法人移行に伴いJA監査法人を使わないといことも想定されます。それどころか、指導権限のないJA全国・都道府県中央会の会員にもならないという事態も考えられます。新世紀JA研究会が提言するJA全中をナショナルセンターとして再構築するためにも、現在654あるすべてのJAが中央会会員として加入し、JA監査法人に移行することが新総合JAビジョンを確立するための前提条件であることを理解いただきたいと思います。

◆総合JA解体の道

 最後に農水省の考え方についてですが、農協改革は頭で考えた空論ではなく実際の数字に基づいて検討したものだということです。改革の検討にあたっての視点は、中央会がなくてもJA自らが取り組める体制が整っていると考えているようです。
 また農協であるにもかかわらず、信用・共済の職員が50%というのはいびつである。さらに信用・共済事業の将来像は非常に厳しいものになる。ITの発展により「フィンテック」のような新たな金融システムが構築され、銀行や信金のような金融仲介を行う業者は不要となり、協同金融も同じである。従って金融業界と同様な規制が金融庁から求められる中で、このままでは協同金融はもたない。
 すでにJAバンク法改正の際に代理店化が可能となるような仕組みを作ってあり、自らが信用事業を行った時と同等に収益がもらえるように明記してある。共済事業はすでに共同元受であり、リスクは全共連が引き受けている。従ってJA段階の事務負担をいかに減らすかが重要で、それによる人的資源を経済事業に移すようにする。このような考えのもとにJA改革を進めているのです。
 経済事業については、組合員はJAを利用すべきという意識が強く独禁法違反で摘発されることも多い。メリットがあるからJAを選ぶというようにするべきで、グループだからといって高くても経済連・全農の資材を買うということはやめさせたい。また販売事業の買い取り販売は、いきなりの実施は難しいため数値目標を定めて段階的に取り組んで行く。その際に、昔の委託販売しか知らない人が役員では進まないので、理事の過半は認定農業者か販売のプロとした。
 さらに地域サービスはJAが行う必要はない。あくまでJAは農協であり、地域協同組合を目指しているわけではない。今次の改革は全てのJAに改革を求めているが、農業者の所得増大と農業者が納得すれば総合JAとして国が認めることがあるかもしれない、というのが農水省の方針です。
 こうした考えで、仮に総合JAの仕組みが壊されれば地域における助け合いの協同組合組織は消滅し、農業振興どころか地域はますます疲弊することになってしまいます。組合員の目線に立った従来型の総合JA運営、補完組織としての連合会組織の機能発揮・組織の在り方について、皆さんの英知を結集して、全面的な見直しを進めたいと思います。新総合JAビジョンのイメージとしての農業振興は、ひとり農業者・農家によるものではなく、食や地域に関連する人々とともにあることを明確にしたいと考えています。
(写真)JAはだののボランティアによる遊休地草刈り

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