JAの活動:ヒント&ピント ~JAの広報誌から~
季節の品目をPR2016年12月4日
この時期のJAの広報誌は作目の特集が多い。これからミカン、イチゴ、リンゴの出荷が本格化する。ブランドの確立に力を入れているJAの姿勢を示し、またその果物についての知識を広めることで生産者を励まし、自信をもって栽培を続けられるようにしたい。とりわけ現在、政府の「農協改革」によって、JAの営農指導、販売事業の在り方が問題視されているなかで、作目別の生産者組織(部会)とのコミュニケーションが重要になっている。広報担当者の力量が問われるときである。11月の広報誌から果実の特集を拾った。
◆ミカン特集で10ページ【 JAみっかび・静岡県】
JAみっかびの「くみあいだより」のミカン特集は目を引く。「販売を成功させるために」のタイトルで、〝イタミ果〟を出さないことなど、出荷にあたり、生産者は何をすればいいかをていねいに説明してある。メインは、フジテレビで行った「アンチエイジングフェア」に参加した同JAのマルエム青年部知名度アッププロジェクトのメンバー6人が、組合長、販売担当者を交えて行った対談を掲載。
フェアに訪れた消費者との対話のなかから受けた率直な感想、反応について意見交換している。参加者はみんな一様に「経験してこそ肌で感じられる」と感想を述べており、最後に後藤善一組合長が「儲けようではなく、必要とされて利益をいただきたい。『健康に貢献することで世の中に役立つ』、『大事なことに挑戦している』と感じると仕事に誇りが持てる」と結んでいる。いま真にこの誇りが求められている。24㌻のうち、表紙・裏面を含めて10㌻を特集に割いており、JAの力の入れ具合が伺える。
◆三つの「こだわり」【 JAさが・佐賀県】
JAさがの「季楽里」は「佐賀みかん大好き―産地の取り組み―」の特集を組んでいる。大別して「生産のこだわり」、「販売のこだわり」、「ミカン豆知識」の3部からなり、産地の取り組みを中心に佐賀みかんをPRしている。とくに生産へのこだわりでは、マルチ栽培の路地みかん、徹底した温度・水管理によるハウスミカンを紹介。そこから生まれ、光センサーで厳選し、糖・酸のバランスのとれたミカンのみを「さが美人」のブランドで販売している。
また「販売のこだわり」では、地区ごと、また県域で市場関係者などと意見交換や現地研修などで、有利販売に向けた情報の共有を行っている。さらに「さがみかんきち」「さがみかんみちゃん」のキャラクターの紹介や、東京、大阪でのトップセールス、佐賀みかんの小学校への贈呈などを伝えている。
最後に「こたつでミカン」ならず、職場で食べる「デスクdeミカン」を推奨している。注文をつけると、写真の大きさも含めて、もう少しポイントを絞った方がよい。
◆「イチゴ」大好き【 JAあいら・鹿児島県】
JAあいらの広報誌「JAあいら」は「日本人の大好きな果物イチゴ」の特集だ。表紙にふたりのイチゴ生産者が登場し、2、3面で経営の紹介と「イチゴのうんちく」を載せている。表紙との連携は、その時の広報誌が何を強調したいかが分かるので、よく使われる手法である。ただ、定植直後ではイチゴだということが分からない。撮影時の制約があってやむをえない面もあるが、2、3面に使ったイチゴの写真と組み写真にするなど工夫がほしい。
イチゴ部会のふたりの苗字の頭文字をとって「OKイチゴ」のブランド名をつけているというのはユニークで、ふたりはどのような協力関係にあるのか、また部会員4人で畝たて、定植、マルチ張り、ハウスのビニール張りなどを共同で行っているとのことだが、それぞれの経営と共同作業のやり方を、もう少し詳しく紹介したい。またイチゴ部会やJAの指導・販売の取り組みも載せると、ほかのイチゴ生産者の参考になる。
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