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シリーズ:新世紀JA研究会 課題別セミナー

2016.12.13 
【総合JAビジョン確立のための危機突破・課題別セミナー○意見交換○】 レビューがポイント 重くなる監事の責任 非営利法人の基準を一覧へ

 JAの監査が公認会計士監査に移行するとどうなるのか、そのための準備は何が必要か。第2回総合JAビジョン確立のための危機突破・課題別セミナーではさまざまな課題が指摘された。主なやりとりをまとめた。(「――」は参加者の質問、「∇」は主に、報告者のJA全中・太田実常務、トーマツ監査法人JA支援室・井上雅彦室長、JA横浜・波多野優常務の返答)

活発な意見が出た課題別セミナー ――全JAがJA監査法監査を受けるようにしてもらいたい。さもなければ、JA全中のナショナルセンターとしての機能発揮が難しくなる。見通しとして、JA全中が準備する新たな監査法人に全てのJAが移行できるかどうか。移行にあたって、レビューがポイントになる。このことについて、金融・共済はできているが、経済・販売・利用事業などのレビュー対応ができるのか心配している。指導を徹底してもらいたい。

 ∇JA全中として、JAから選ばれるべくやっている。全中の監査部と県の監査について、チーム編成などで苦労している。理解いただいて使ってもらうのが理想である。

 ∇経済事業については、加工事業も含めて葬祭・介護事業などについてはこれからだ。損益計算書の数字の小さいものはあまりみない。JAによっては、葬祭事業について大きいところもあるが。それは中央会が手引き書をつくるなど工夫して頂きたい。

 ――全国のJAは迷っている。県中央会の間で連携して研究しているところもある。また大型JAで、管内の販売事業の処理の仕方がまちまちになっている。

 ――当JAでは三者要請検査を受けたが、経済事業については問題なかった。キーコントロールについてのアドバイスも県中から指導を頂いている。こうした情報が全国的にまだ広がっていないのではないか。全中指導で徹底してもらいたい。

 ――監査するうえで、どのような体制を考えているのか。

 ∇監査は期末の決算監査だけではない。年間の流れのなかで考える必要がある。例えば50人日で5日間なら250人必要になる。イメージ的に考えれば、中規模のJAで、5人ほどのチームでやることになるだろう。

 ∇ドイツでは組織法で行う。あらゆる協同組合が対象となり、信用、共済もすべて共通の仕組みで実施する。日本は省別であいまいだった。だから一気に追いつかなくてはならない。指導監査も一緒にやっている。

 ∇今も農協監査士が同様の仕組みで監査している。われわれは、業務面も含めて指導監査している。一緒にやった方が効率的だと思う。公認会計士が署名していないが、同じルールで時間をかけて実施している。実は一番よい仕組みになっていると自負している。しかし、残念ながら中央会は監査しないことになってしまった。

 ――子会社の監査はどうなるか。

 ∇規模やJA本体の財務諸表に与えるリスク量によるもので、一定規模なら対象になる。

 ――全中にお願いがある。全中の情報の流し方や、人、要員などの予算を扱う総務部門にきちんと情報提供されなければいけないと思う。技術的なことはわかるが、どこがせめぎ合いになっているのか情報を流して欲しい。

 ∇話を聞いてよく分かった。農協の健全経営に役に立つ、新しい監査法人になるよう祈念する。

 ――業務監査について、どのように財務諸表の中で行うのか。

 ∇業務監査の定義が難しい。財務諸表の証明にも、程度の差はあれ業務監査が必要になる。しかし、体制や賦課金が絡むので、業務監査をすべて監査法人が行うことはできない。会計監査は監査法人で行い、業務監査をどうするかは中央会の仕事になる。監査法人はスリムに考えている。

 ∇会計士監査は業務報告書監査証明をしないことになっているが、そうなるとJAの監事の責任が今以上に重くなってくるのではないか。会社法との関連を考えて行くことが必要になる。会社法では、最低責任限度額は報酬の2年分(善意無重過失の場合)というように決まっている。

 ∇これからJAの監事の立場は今以上に厳しくなり、監事のなり手がいなくなるのではないか。法改正が必要と思われる。

 ――信用事業を譲渡すれば、5億円の資本金・200億円の負債以下のJAであれば公認会計士監査は不要という話があるが、今後ともそうであるのか。信用事業を譲渡しても、いずれJAは全て監査法人の監査を受けなければならないということにならないよう担保をとってほしい。

 ∇ご指摘のとおりで、JAの監事の責任は重くなる。そこは、内部監査を充実し、内部監査との連携・機能分担を明確にして取り組んで行く必要がある。公認会計士監査は事業報告を監査対象にしないが、JAの監事は会計監査と事業報告の監査の両方をやらなければならない。監事の責任が大きくなるので、今から監事監査をサポートする体制をどうするか準備しなさいと、はっきりしたメッセージを出すことが重要だ。

 ――会社法上は、事前の責任軽減策として限定責任契約がある。農協法には過失の場合の報酬2年分はない。会社法とイコールフッティングが求められる。

 ――公認会計士はJAの協同会社をどのように見るのか。

 ∇子会社を多く持っている全農のケースは別にして、基本は連結しないので、子会社は見ない。ただ、組合本体の財務諸表との関係で、重要な貸し付けとか棚卸資産がある場合、それとの関連でみることはある。しかし、特別なことがあればその限りではない。連結決算になっていれば、財務諸表をつくる関係で、数字をみるが、親組合ほどじっくりは見ない。しかし、重要なポイントは見る。

 ――内部統制確立のためには、最短でどのくらいかかるのか、また、JAとしてJA監査法人に何を要望するのか。

 ∇信用・共済事業は指導基準や体制があるので、統制文書の作成やリスクコントロールはすぐにできる。問題は職員がそのことをどれだけ理解できるかである。うちのJAはこうやっているからリスクはありませんよと答えられなければならない。また、内部統制担当者を配置して情勢変化に的確に対応できる体制をつくることも重要だ。JA監査法人については、東京で監査するのはいいが、県にいながら監査法人に出向することでできるのか。IT監査も本当に対応できるのか心配である。

 ――公認会計士監査に代わっても、非営利法人の監査基準による監査ができるようできたらよいと思う。公認会計士協会でそのような話は出ていないのか。

 ∇公認会計士協会は、今のところ上場対象会社の監査しか考えていない。しかし、将来的には非営利法人の監査基準を考えて行くことは非常に重要なことだ。これまでに中央会監査がやっていた指導監査、業務監査、会計監査が一体となった監査はすばらしい仕組みだった。JAを含めて非営利組織の存在はなくてはならないものであるが、いきなり非営利法人の監査基準を考えるのではなく、まずは、そうした非営利法人の監査の実績をつみあげていくことが重要と思う。

(写真)活発な意見が出た課題別セミナー

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