JAの活動:新世紀JA研究会 課題別セミナー
第5回セミナー(2/ 17)の質疑内容2017年3月13日
―准組合員への事業利用制限は、そもそも法的に許されることなのか。
入澤 全農への「規制改革推進会議」の提言は、購買事業の縮小や全量買い取りなどの全農事業に国が制約を加える内容で、規制的行政指導に当たる。憲法22条は職業選択の自由を保障しており、これには営業の自由が含まれる。このような内容が法的に許されるわけがない。
准組合員の事業利用制限は、財産権の侵害に当たるか定かではないが、准組合員の資格要件についての制限は可能であるにせよ、事業利用規制はできないのではないか。仮に強行すれば民事訴訟が起こる可能性がある。
それと、JAは農業だけをやれ、信用・共済事業は別の組織をつくればいいというのは、地域の実態に合わないのではないか。そんなことをすれば、他業態だって困る。JAは農村の協同組合で、農業と地域は一体である。
●農水省は、准組合員の調査について、これからやると言っているが、一方で、JAのまわりに銀行や保険会社があるかを調べている。つまり、JAが地域のインフラとして必要な存在であるかを見定めようとしている。
農協法改正に係る参議院の付帯決議でも、准組合員の事業利用制限について、JAが地域のインフラ機能を果たしていることを踏まえて検討するといっているが、これは裏を返せば、インフラが整っている地域では、准組合員の事業利用規制を行ってもよいと受け取れる。このことから、地域インフラ論ではこの問題の解決にはならない。
要は、農業振興のためには准組合員の存在が必要であることを明確にする必要がある。そのうえで、事業利用規制は事業利用を認めた農協法の趣旨に合わないので、これは取り下げて准組合員の加入については、農業振興に協力する者に限定するなどの方策が必要ではないのか。
入澤 そうした対策は、まさに正論といっていいのではないか。主張すべきことは、はっきり主張すべきだ。農協改革は農協を強くすることであって、農協を潰すことではない。農業は産業化すべきで、農水省はいらないなどという役人には変わってもらうというぐらいの気概を持つべきだ。
―准組合員もしくは準会員など名称は別にして、正組合員との間で制限を設けている例は諸外国にあるか。
斉藤 員外利用制限の例は多くあり、そのこととの関連で結果的に正組合員以外の者の利用制限につながることはあっても、直接的に正組合員以外の利用制限を行っている例は聞かない。
入澤 准組合員の事業利用制限を行うとすれば、そのための実施要項が必要になる。行政権の発動には、公平性、実行可能性が求められる。准組合員に事業利用制限をかけるといっても実施要項が書けないのではないか。
●共済事業について、付加収入がコストに対応していない。これでは経営資源を農業振興にまわす余裕がない。
●准組合員について、議決権などの共益権がないのは、協同組合原則に反するというのは言い過ぎではないのか。正・准を問わず、組合員の意見がどのように経営に反映されているのかのプロセスが重要である。(回答者は入澤肇・すかいらーくフードサイエンス研究所理事長、斉藤由理子・農中総研常務)
重要な記事
最新の記事
-
たまねぎべと病 近畿、中国、四国で多発のおそれ 令和6年度病害虫発生予報第1号 農水省2024年4月18日
-
春メロン4億円の販売を目指す JAくま2024年4月18日
-
安全性検査をクリアの農業機械 農用トラクターなど1機種25型式を公表 農研機構2024年4月18日
-
JAグループのガソリンスタンドに急速充電器「DMM EV CHARGE」導入2024年4月18日
-
【スマート農業の風】(3)データ駆動型農業へ転換しよう2024年4月18日
-
入会牧野【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第287回2024年4月18日
-
チューリップ切り花が復活の兆し【花づくりの現場から 宇田明】第33回2024年4月18日
-
4月1日新事務所移転 緑の安全推進協会2024年4月18日
-
東京農大と共同研究 良食味米「コシヒカリ」で低糖質米を実現 栽培手法を確立 ジェイフロンティア2024年4月18日
-
Oisix「おいしくアップサイクル ふぞろいキウイチップス」など3種発売2024年4月18日
-
「飯縄山」からの伏流水で育つ米と玄米の直売市開催 長野県飯綱町2024年4月18日
-
「食品製造現場におけるロボット等導入及び運用時の衛生管理ガイドライン」を策定 農水省2024年4月18日
-
「みどりの食料システム法に基づく基盤確立事業」実施計画認定を取得 アイアグリ2024年4月18日
-
微粉砕加工で機能性を付与 北海道産小麦粉「CRONOS」発売 小田象製粉2024年4月18日
-
発色が早いわい性ハボタン「ローブ ホワイト」種子発売 サカタのタネ2024年4月18日
-
日本の原風景「棚田」の魅力を1枚に「棚田カード」第4弾を発行 農水省2024年4月18日
-
鳥インフル ブルガリアからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年4月18日
-
次世代へ繋がる循環型酪農・林業へ 三井住友フィナンシャルグループと協業 ホウライ2024年4月18日
-
国内最大級のドローン専門展示会「第9回JapanDrone2024」6月5日から開催2024年4月18日
-
吉田羊が情感たっぷりに 新CM「すごいよ パウダールウ」篇 エスビー食品2024年4月18日