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シリーズ:新世紀JA研究会 課題別セミナー

2017.07.17 
【覚醒】多様な組合間連携を一覧へ

中央会の戦略的機能

 ICA(国際協同組合同盟)に結集している世界の協同組合(傘下の組合員は約10億人)は、毎年7月の第1土曜日を中心に世界的に国際協同組合デーの催しを開いている。

 ICA(国際協同組合同盟)に結集している世界の協同組合(傘下の組合員は約10億人)は、毎年7月の第1土曜日を中心に世界的に国際協同組合デーの催しを開いている。
 今年の共通テーマは、「包摂(inclusion)」、スローガンは「協同組合はだれも取り残されない社会を実現します(Co-operatives ensure no one is left behind)」である。
 以上の共通テーマは2015年の第70回国連総会で採択された「我々の世界を変革する―持続可能な開発のための2030アジェンダ」をふまえたものである。「2030アジェンダ」では、〝実施手段とグローバル・パートナーシップ〟の中で「我々は、小企業から協同組合、多国籍企業までを包含する民間セクターの多様性を認める。我々は、こうした民間セクターに対し、持続可能な開発における課題解決のための創造性とイノベーションを発揮することを求める」と明示している。一方、日本政府は、以上の「2030アジェンダ」をふまえて官邸に「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」を置き、平成28年12月にその「実施指針」を決定しているが、その中に「中小企業」や「協同組合」「多様性を認める」というキーワードが欠落し、無視している。
 政府における「協同組合である農協に関する政策」は、公正さという視点からみて市場原理主義の規制改革推進会議主軸で論議されるべきではなく、持続可能な開発目標(SDGs)推進本部を主軸に、しかも上記の「小企業から協同組合、多国籍企業までを包含する民間セクターの多様性を認める」という骨格を盛り込ませ、公正な論議と現行の実施指針の改訂を求める必要がある。
 神奈川県では県協同組合連絡協議会(会員85組織、代表は長嶋喜満神奈川県農協中央会会長、當具伸一神奈川県生協連会長)は、7月3日に「2017協同組合のつどい」を開催し、農協、漁協、森林組合、生協、ワーカーズコープ等の役職員やアドバイザーの研究者等約200人が参集した。
 同連絡協議会の会員は、県下の農協(単位農協14、県連合組織5)、生協(単位生協20、県連合組織3)、漁協(単位漁協19、県連合組織2)、森林組合(単組8、県連合組織1)、働く人の協同組合(県連合組織、NPO、中小企業等協同組合法による企業組合など4)、関係団体(県消費者団体連絡会、農協・生協等が出資した株式会社グリーンピアなど9)、研究者アドバイサー6名で構成されている。このように県下の各種の単位協同組合を中心にその連合組織等が結集した県協同組合連合会としての特徴を持っており、注目される。  
 今回のつどいには、アドバイザーの研究者から「非営利・協同の連携の現代的意義」について解題がなされ、第1の事例報告では「直売所・朝市における連携」(JA湘南・平塚市漁協の連携)、第2報告では「地域における就労支援の連携」(NPO法人 ワーカーズ・コレクティブ協会、ワーカーズコープ連合会センター事業団神奈川事業本部、企業組合ワーカーズコープ・キュービックの連携)、第3報告では「再生可能エネルギーを通じた連携」(生活クラブ生協、生活協同組合パルシステム神奈川ゆめコープ)の報告があった。
 このうち、JA湘南の営農販売課長と平塚市漁協の総務主任から農協・漁協の直売所・朝市における連携の実態とその成果が提示された。具体的にはJA湘南の大型農産物直売所あさつゆ広場では、地元農業者と地元漁業者が提携した地元農水産物の産直が地元消費者の購買力を高め、生産者の所得増大に結び付いた。さらに、平塚市漁協の朝市で地元漁業者と地元農業者が提携して地元農水産物の産直を行い、同様に地元消費者の購買力を高め、生産者の所得増大に結び付いている実態を報告した。
 JA湘南の営農販売課では、地元農業者の花壇苗、野菜苗などを株式会社グリーンピア(県内の農協・生協グループが出資した協同会社)を通じて、県内のみでなく県外の生協組合員に供給し成果を上げている。さらに、JA湘南の営農販売課では、地元の授産施設(福祉施設)に規格外の農産物を供給し、そこで生産された農産加工品を前述の大型農産物直売所あさつゆ広場で販売し、また、地元の小学校に給食用の農産物を供給し、そこでの廃棄食材を地元の農業者の農地の堆肥として活用し、児童との交流も行っている。
 一方、平塚市漁協の漁業者は、みうら漁協の漁業者とも連携して、厚木市農協の直売施設(夢未市)でも厚木市の農業者と共に農水産物を直販し、地元消費者の購買力を高め、生産者の所得増大に結び付けている。
 以上のように県域を視野に地域社会の食、福祉、働き方、環境について多様な協同組合間で役職員が連携して、協同組合らしい組合員参画型の多彩な事業活動を創造しつつある新潮流を評価したい。加えて、農協改革のなかで都道府県段階の農協中央会の戦略的役割の一つとして、このような「県協同組合連合会」づくりに本格的に取り組む必要がある。
(M・S)

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