JAの活動 シリーズ詳細

シリーズ:今村奈良臣のいまJAに望むこと

【今村奈良臣・東京大学名誉教授】

2017.09.09 
第27回 農協はサッカーの戦略、戦術に学び新しい活路を切り拓こう一覧へ

 サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会アジア最終予選で、B組の日本は8月31日夜、埼玉スタジアムで豪州を2-0で破り、6大会連続6回目のW杯出場を決定した。日本は豪州に過去の予選で2敗5分けと全く劣勢であったが見事な栄冠を達成した。

 最初の得点は前半41分にDF長友佑都の左からの絶妙なパスに合わせFWの浅野拓磨の見事な得点、2点目は後半37分にMF井手口陽介が目を見張る巧みなドリブルのうえでミドルシュートを見事に極めた。
 恐らく全国の皆さんの多数はテレビの実況中継でこの試合に釘付けになっていたことであろうし、この快挙に熱狂した方々が多かったものと思う。

JAとサッカー

<JAの役員・職員はサッカーの戦略・戦術に学び実践に移そう>
 サッカーの基本陣形と編成の基本は次に示すようになっているが、これをJAの組織に当てはめれば次の図のようになると私は考えている。

【サッカーの布陣にJAは見習おう】

 (1)フォワード(FW)=JAの農畜産物販売部門に当たる。いかに市場調査、需要調査などを行いつつ、消費者、実儒者の求めているものは何かということを全力をあげて調査・分析しつつ、組合員生産者の生産した多彩な農畜産物をいかに有利に販売・供給して、生産者組合員のふところをいかに潤し、次ぎへの活力を届けるかということを使命とする部門である。

 (2)ミッドフィールダー(MF)=JAの営農企画・指導部門に当たる。私は図に示した布陣の中で最も重要であり勝利への鍵を握るのはミッドフィールダーであり、JAの生命線は営農企画・営農指導部門であると考えている。JAに所属している多様なかつ多彩な組合員の特性を見出し、その地域特性・立地特性を踏まえ、多彩な農畜産物の需要動向を見定め、生産体制の方向付けや生産者の組織化など多面的な配慮と活動の明確な指針を具体化し推進しなければならない。まさに各JAの背骨になるというべきであろう。そして適期をとらえ、販売部門たるフォワードに適切な球出し、つまり生産物の供給、出荷を促進しなければならない。

 (3)次に、ディフェンス(DF)であるが、これは全力をあげて失点を防ぎ、組合員を守ることに徹底しなければならない。JAでいえば、金融・共済・購買・経理・財務などに当たるが、しかし、組合員の求めに応じて適切な資材購買や資金供給・融資など多彩な活動を行わなければならない。特にサイドバック(SB)は、はじめに述べた長友佑都のように、サイド・ラインを駆け上り、FWにすぐれた球出しをして得点に結びつけなければならない。つまり、早急に融資を必要としている組合員に適切な融資をしてあげるとか、肥料や資材を緊急に必要としている組合員に適切に資材供給をして生産の拡大・維持、つまり得点に結びつくような行動を適期に行わなければならない。センター・バックは全力をあげてゴールキーパーともにJAの資産・組合員の資産を守り抜かなければならない。つまり、失点は決して許されないのである。
 以上が、サッカーになぞらえたJAの体制と機能、そして活力の源泉であるが、さらに重要なことは、監督やコーチ、そしてサポーターの存在である。

 (4)監督、コーチ。監督はいうまでもなく組合長であり、それを補佐するコーチは専務、常務などであり、部長などはそれを補佐し職員が充分に活躍できる条件と状況を作り上げなければならない。こういう有機的かつ弾力に富んだ体制をいかに作るか。役員はもちろん幹部職員の基本的課題であるが、ここでは当然のことなのでこれ以上ふれない。

 (5)サポーターの充実と活力を高める
 サッカーの試合を見ていて痛感することは強いチーム、常勝街道を驀進するチームにはいかに強力なサポーターがいるかということである。是非、Jリーグについてテレビ観戦でよいのでよく観ていただきたい。強いチーム、常勝街道を進むチームには、いかに強力なサポーター、つまり熱烈な応援団がいるかということである。それも男だけでなく女性が多いことに気付くだろう。サッカーだけではない。野球でもそうだ。"カープ女子"がその代表格である。

 つまり、私が強調したいことは、JAの組合員が一体となって、男性はもちろん女性も強力にJAを支持し、支援し、JAに結集する体制を作り上げてもらいたいということである。全国の色々のJAをみていても、女性組合員の活力のあるJAは着実な進歩・発展をとげているように思う。このことは、また次回以降で述べるつもりでいるが、この欄でこれまでふれてきたJAから引き出すと、JA甘楽富岡や大分大山町農協あるいはJA糸島など、すぐれた農産物直売所も運営しているところや農業の6次産業化に全力をあげて推進しているところは、とくに女性のサポーターが多いだけでなく組合員全体が活力というかエネルギーに充ちあふれているように思う。ただし、ここ5年来、私は家内の介護に専念しさらに亡くしたことなど重なり、各地のすぐれたJAを訪ねる機会をここ数年無くしている。改めて、全国各地のJAを自らの足で訪ね、以上に述べたような私の仮説が理にかなっているか確かめてみたいと考えている。訪ねた折にはどうか色々教えていただきたいとお願いしておく。

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