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2017.09.11 
JA主体の事業運営を 共同元受でJAのリスク軽減【村山美彦・全共連代表理事専務】一覧へ

JA共済事業の代理店化の是非を問う

 政府から、JA信用事業について農林中金への代理店化が提案されています。共済事業は、直接に代理店化の方向は示されていませんが、すでに平成26年6月の「規制改革実施計画」では、「全共連は単協の共済事業の事務負担を軽減する事業方式を提供し、その方法の活用の推進をはかる」としており、暗に代理店化をも視野に入れた方向を提示しています。従って、JA共済事業の代理店化(株式会社化を含む)は差し迫った重要課題と認識できます。一方で、JA共済事業は、(1)共済契約のJA・共済連共同元受け、(2)保有責任の共済連への移譲、(3)共済連による推進目標の設定とポイント制による実績管理など、代理店化に向けて実態が先行しつつあるように見えます。政府から代理店化を提案されて打つ手なしの状況にならないよう、共済事業の代理店化の是非とJA主体の共済事業のあり方について考えます。

◆はじめに

村山美彦・全共連代表理事専務 JAの共済事業について、農協改革に関するこれまでの経緯を振り返ると、 平成26年5月に規制改革会議農業ワーキング・グループから「単協は全共連の統括の下で窓口・代理業を実施し、契約に基づいた業務に応じた報酬を得る」との提言がありました。その後の与党とりまとめで、「単位農協の共済事業は全共連との共同元受となっており、リスクは全共連のみ負っているが、全共連は単位農協の共済事業の事務負担を軽くするような改善策を早急に示すものとする」とされ、平成28年4月に改正農協法が施行されました。
 現在は、「農林水産業・地域の活力創造プラン」において、共済事業のリスクは全共連のみが負っているため、単位農協は全共連の協力を得て単位農協の経営における共済事業の負担を極力軽くし、人的資源等を経済事業にシフトできるようにする旨が記載されています。

 

◆事業展開の基本方向

 このような経緯のなか、JA共済事業では次の自己改革に取り組んでいます

1.JAの事務負荷軽減に向けた取り組み

(1)事務・電算システムの見直し
 JAの事務負荷軽減および利便性向上に向けて、生命総合共済は平成28年4月から、建物更生共済は平成29年4月からタブレット端末(愛称Lablet's=ラブレッツ)の活用による契約申込手続きのペーパーレス化・キャッシュレス化を導入しました。
 29年度7月時点で、生命総合共済の契約申込手続きのうち6割以上、建物更生共済の契約申込手続きのうち7割以上がペーパーレスによる契約申込手続きとなっています。
 29年度下期からは自動車共済についても、契約申込手続きのペーパーレス化・キャッシュレス化の展開を予定しています。

(2)自動車損害調査体制の再構築
 JAの業務負担の軽減と契約者対応力の強化に向け、自動車損害調査業務におけるJAとJA共済連の業務分担を見直し、JAと協議のうえ順次、JAの損害調査業務をJA共済連へ移管しています。

(3)JA共済連組織の再編によるJA支援機能の強化
 専門性向上や効率的な事業運営体制の確立に向け、平成27年10月までに生命査定機能を全国の業務センターに集約し、平成28年10月までに引受審査機能を全国の引受センター・業務センターへ再編しました。
 この集約・再編によりJA共済連の要員配置を見直し、JAの状況に応じた支援機能を強化しました。

2.共済事業としての地域・農業への貢献について

(1)地域・農業活性化積立金の活用
 地域・農業活性化に貢献する取り組みを強化するため、「地域・農業活性化積立金」を活用した施策を県域ごとに実施しています。

(2)農業リスク分野への保障提供等の取り組み
 ア、組合員の農業経営を取り巻くリスクの回避・軽減に向け、農業リスク診断活動を展開しています。
 イ、担い手経営体等の事業リスクの軽減に向け、共栄火災海上保険株式会社と連携し、平成28年4月から「農業応援隊」による保障提供を開始しました。また、日本貿易保険(NEXI)と連携し、29年4月から貿易保険(中小企業・農林水産輸出代金保険)の取扱いを開始しました。
 ウ、労働災害にかかる雇用主のリスク(損害賠償への備え)と従業員のリスクを包括的に保障するため、共栄火災海上保険株式会社と連携し、平成29年度中に組合員に向けた「JA共済労働災害保障制度」の取り扱いを開始する予定です。

(3)6次産業化および再生可能エネルギー事業への支援
 地域農業の振興および農山漁村の活性化に向け、6次産業化および再生可能エネルギー事業への支援やリスクに対する保障を提供しています。

 

◆「共済」に関する考え方

JA共済を支えるLA(LA全国表彰式で) これまで規制改革会議では、JAの代理店化を推奨するような議論が見られました。また、欧米からは共済を保険と同等の規制・監督下に置く(イコール・フッティング)要求もあります。
 しかし、保険と異なり、共済は人的結合体を前提とするものです。JA共済は、共済契約者になろうとする人々がすでにJAを通じて相互に結びついており、そのJAが相互扶助事業の一環としてJA共済連と共同して組合員の生活を保障しようとするものです。つまりJA共済の主役はJAであり、JAを構成する組合員一人ひとりなのです。
JA共済の代理店化でセミナー また、共済事業においてJA共済連はJAが「協同してその事業の振興を図る」(JA共済連定款1条)ために設立されており、JAを補完する立場にあります。仮にも、JAがJA共済連の代理店になるということは、JAがJA共済連を補完することになってしまいます。
 なお、「農林水産業・地域の活力創造プラン」には、「単位農協の共済事業のリスクを極力軽くし」との記載がありますが、JAの共済事業については共同元受方式によって対応がなされております。今後も我々は、JAおよびJA共済連が分断されることなく、組合員一人ひとりが助け合いを実践する方式で共済事業を実施していきます。

(写真上から)JA共済を支えるLA(LA全国表彰式で)、JA共済の代理店化でセミナー

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