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特集:JA全青協会長インタビュー

2013.02.14 
【インタビュー】議論深め、自信もって行動を地域の課題をポリシーブックに  遠藤友彦・全国農協青年組織協議会会長一覧へ

・「地域」密着の活動こそ青年組織の原点
・「農」の重要性の認識高まる
・震災犠牲者の思いを「つなぐ」

 全国農協青年組織協議会(JA全青協)は今月14、15日、東京で第59回JA全国青年大会を開く。大会テーマは「つなぐ〜『地域』と『農』の担い手として〜」。同協議会の遠藤友彦会長に大会に向けての思いと決意を聞いた。

遠藤友彦・全国農協青年組織協議会会長 福島県の南相馬市で水田15ha、加工バレイショ3ha、施設園芸をやっていました。相馬地方は太平洋岸に面し、温暖な気候を生かしてシュンギクを導入するなど、これまでと違う経営をやってみようと、青年部の盟友と一緒にいろいろ試行錯誤をくりかえしていました。その矢先の東日本大震災でした。放射性物質の影響で米は作付制限になり、大手加工メーカーと契約していたバレイショは取引中止になりました。現在は、青年部で地域の農業をどう元気にしていくか真剣に考えているところです。


◆「地域」密着の活動こそ青年組織の原点

 私たちの地元の青年部は「食育」に力をいれてきました。たんぼの生き物調査やバケツ稲などです。子どものころから農業に接する機会をつくれば、大人になって農業のサポーターになってもらえるのではないかと期待してのことです。農家の高齢化が進む中では、特に次世代対策が重要です。
 取り組みの成果は着実にあがってきており、生き物調査に参加した非農家の小学生が農業高校や農業関連の大学で学びたいと言ってくれるという例も出ています。青年部の存在感を高めるには、地域でいかに魅力ある活動をするかが重要だと考えています。
 そして、若い農業者に「JA青年部に入りたい」と思わせるような活動を展開しなければなりません。
 日本は急速な人口減少社会を迎えます。50年後には地方を中心に6割の市町村の人口が現在の半分になり高齢化も進むとされています。どうやって自分たちの暮らす「地域」を元気にしていくか、どうやって「農業」のサポーターをつくっていくか、青年部の新たな活躍のステージが来ていると感じています。


◆「農」の重要性の認識高まる

 震災の時は県の委員長でした。国会議員への要請や救援物資の呼び掛け、手配など、青年部は支援のつなぎ役を果たしてきました。そして、全国の盟友から迅速で心のこもった支援をいただいたことが、今でも私の力になっています。あの時の結束力、行動力に、青年部の潜在的なパワーを感じました。全青協会長として、震災の時に発揮された「絆」の力をさらに広げて青年部の潜在的なパワーを引き出すことが、支援に対する最大の感謝だと思っています。
 また、農業の大切さを改めて認識したのも震災の時でした。避難所でも、近くに農家があるところは、野菜などが確保でき、おいしい食事をつくることができました。とにかく食べないと何もできないのです。このとき若い人から、「食」の大切さを感じたと聞いたことが印象に残っています。
 また、世界の人口は50年後に現在の約1.3倍である90億人を突破する見込みです。食料の争奪がさらに激しくなっていく中で、いかに安全で安心な「食」を安定的に供給していくか、我が国における農業の役割はますます大きくなると思っています。


◆「地域」と「農」の担い手としての想いをポリシーブックに

 2年前から全国の青年部でポリシーブックづくりに取り組んでいます。これは政策提言だけでなく、盟友一人ひとりが自らの経営や地域活動で抱えている問題や疑問などを出し合うところからスタートし、「自分でやること」「青年部でやること」「JAと一緒にやること」「JAや行政に要望すること」と、その解決策を人任せでなく、青年部で探りながら積み上げ主体的に行動に移していくための取り組みです。
 従って、ポリシーブックづくりの基本は単位組織にあります。協議した中から重要な課題を県組織・全青協で取り上げます。さまざまな意見があって集約が難しい問題もあります。そういった時は「自分たちがいまやれることから取り組もう」と行動に移すことに重点を置きました。
 ポリシーブックを身近なものにするため、いま全青協では、水田・青果・畜酪・都市農業の4部会を設けて、作目別の課題をより深く検討しています。政策だけでなく、市場流通や販売に対する課題までも含めたものです。農林漁業者が生産した約10兆円の農林水産物は、最終消費段階では100兆円規模になります。こういった知識も含め、消費者の皆さんの手元に届くまでの流通・価格決定の仕組みについては、我々の弱い部分でしたので良いものを作りたいと思っています。
 私自身もそうですが、ポリシーブックを作成することは本当に勉強になります。農業政策や流通・販売の仕組み、JAグループの事業や役割などを知ることで、自分自身の営農・経営そして地域やJAのことを見つめ直すことにつながります。農業は「個人」で行うことが多いかもしれません。ですが、農業は「地域」なしでは語れないということをポリシーブックの作成を通じて改めて強く認識しました。私たちは地域によって育てられているのです。
 だからこそ、全ての単位組織でしっかりとしたポリシーブックを作成していきたいのです。「地域」と「農」の担い手として、全国の盟友と一緒に、真剣に自分たちの地域と農業のことを考えていきたいのです。
 また、青年部はJAグループの一員でもあります。ポリシーブックの作成と活用を通じてお互いに研鑽を図り、正組合員・総代・役員などとしてJA経営に積極的に参加していくべきと思っています。JA経営に参画し、地域に根差したJAを若い目線からより良くし、上手く一緒に活動できれば、地域そのものも元気になっていくと思います。
 その地域でも、いま経済格差が広がりつつあります。世界を見ても飢えに苦しむ人が多く、日本でもいつかそうなるのではないかという危機感を持っています。格差を拡大するTPP(環太平洋連携協定)は言うまでもなく、日本の安全な食や地域社会を壊すような政策を決して許してはなりません。そうした事態になることを防ぐのも青年部だと自負しています。


◆震災犠牲者の思いを「つなぐ」

 若い人にはおおいに議論し、思い切ってやってほしいです。多少つまずいてもいいのです。100%完全な人はおらず、足らないところがあるから仲間がおり、それに支えられるのです。このことは全青協の会長になって、特に強く感じたことです。
 また、自信を持ってやって欲しいとも思います。目的に向かって仲間と一緒に本気でやっていく中で、必ず答えが見つかるものです。
 今度の大会では、「つなぐ」をテーマに掲げています。「絆」(きずな)から、「つなぐ」への進歩です。人、世代、都市と農村、農商工など、いろいろなものをつなぐということですが、個人的な気持ちとしては、もっと大きな意味で考えたいと思っています。震災で亡くなった人が多くいます。その人たちに安心してみていただけるように、亡くなった人の思いをつなぐことでもあると考えています。
 青年部はそれだけのことができる組織です。青年部には先輩たちのつくったすばらしい綱領があります。これにもとづき、盟友とともにネバーギブアップの精神で協同組合の理念を実現し、「地域」と「農」の担い手としての責任を果たしていきたいと考えています。

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