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JAの活動:農協改革を乗り越えて -農業協同組合に生きる 明日への挑戦―

【JA菊池】「農協改革」は販売事業の強化(後編)2017年10月20日

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 JA菊池は、平成元年4月に菊池郡市管内8つの市町村(菊池市・旧七城町・旧旭志村・旧泗水町・旧合志町・旧西合志町・大津町・菊陽町)の各農協が合併して発足した。いまほど農協合併が進んでいない30年前だ。
 それは「菊池地域のどの農協も元気なうちに合併しないといけない」と、当時の農協組合長や役員が「大英断」をしたからだ。その「英断が凄かったと、組合長になって感じた」と上村さんはいう。
 なぜ「大英断」をしたのか? それは「自由化の波が迫り、ガットウルグアイ交渉があり、そして金融が自由化されて競争社会になる。いま合併しないと、組合員の営農やくらしに責任をもつことができなくなる」との思いだった。

水田ごぼう(写真)一面に大きく広がる水田ごぼう

 

 合併に当たっては、手数料も貸付金利も一番低いところに合せ、賦課金は取らないなど、組合員に合併メリットがでるようにしたので、当然、農協経営は苦しくなるが、組合員からは「合併メリットをもっと...」といわれるなど、合併はしたが「事業もバラバラでぎりぎりのところでやっと決算できる」状態だった。
 そこで「事業・組織改革」を役員と職員で検討して素案を作成するが、それは「○○地域のためではないか」という意見が多数出て理事会で否決される。しかし、このままでは「金融が自由化され協同組合活動ができなくなる」という危機感から、九州大学農学部の教授や外部メンバーによる諮問機関をつくり「JA菊池が組合員の負託に応えるため、将来を見越した新たな事業・組織整備」について諮問した。第三者に委ねたのは、支所統廃合などを公平で平等な立場で第三者に判断してもらうためだ。
 「答申案」が出たら理事会は「反対しない」ことを条件にし「決めたら必ず実行する」ことも附帯決議として決議する。
 答申案の実行には総代会での承認が必要だが、「なかなか決まらずに昼食もとらずに夕方まで」議論し、最終的には僅かな差で賛成多数となる。
 これを受けて、その実行実践は次の組合長に託して組合長は辞任。上村氏が常務となり、吉田新組合長と上野副組合長の3人で答申案の実行を担っていくが、最終的に答申案通りの8中央支所を実現できたのは、上村氏が組合長の時だった。


◆地域の誇りを一つのブランドに集約


JA菊池 三角修組合長 こうした組織整備と同時に、事業面でも数次の3カ年計画によって「農業振興」を中心とする取組みが実行されている。なかでも注目されるのが「きくちのまんま」だ。
 上村氏の前任・上野組合長時代に「競争社会のなかで、菊池地域の農産物が、他産地の商品とどこが違うのか、何が違うのか」をはっきりと打ち出していく以外に道はないと考えコンサルタントを入れて検討し「ブランド戦略を展開する」ことを決め、統一ブランド名を「きくちのまんま」とし、ロゴマークも作られ、JA菊池すべての農産物・商品に使用される。平成13年のことだった。
 その実行は後任の上村新組合長に託される。上村さんは「きくちのまんま」をどう普遍化するかという「宿題」に、職員と一緒に取組む。それは「農産物だけではなく、職員も事業も含めてすべてに責任を持ち、それを守れるJA菊池がある」ということを社会に発信することでもあった。
 これまで地域にあった農畜産物の「いいものを活かして『きくちのまんま』ブランドとして広げていく」ことで、それぞれの支所が誇りと自信を持ち頑張り、地域に「頑張った人たちの足跡は残っていくことになる」。
 「きくちのまんま」には、豊かな大地に育まれた「おふくろの味」という意味が込められている。
 JA菊池は、全国の農協に先駆けて平成8年に、国の補助事業によるモデル事業として「電算センター」を開設する。それは畜産事業で、1頭1頭の牛をきちんとデータで管理し、そのデータを基に営農していくためだった。子牛の購入時からのデータがあれば出荷時期はもちろん「どの系統の牛がいい」ということも分かり営農指導できる。畜産以外の耕種部門でも、栽培管理や生育状況に利用し営農指導することも可能になる。事務系統も電算システムで管理できるが、支所統合を同時に進めていく。
 システム構築に当たっては、電算企業のシステムに依存せず、事務管理は菊陽が優れているからそれを、畜産は旭志のを、米は七城のやり方をと、各地域の優れた仕組みを取り入れることで、コストを抑制できたし「支所統合ができ事務が一本化されJAが一つになれた。この時代にデータによる営農時代が来ると予測した当時の組合長の先見性は凄い」と三角組合長。

(写真)三角修組合長


◆第三者に委ねた合併農協のこれから


上村幸男前会長 こうした30年のJA菊池の足跡を考えるとき、忘れてはならない大事なことは、「継承する」ことと、「人材の育成」だと三角組合長はいう。
 上村さんは「歴代の組合長は自分に課せられた課題を解決して、次の課題(宿題)をつくって次代に渡す。次の組合長はその宿題を整理して次の課題をつくり後継者に引き継いでいく」。そうして「確実につながっていくことが大事で、それがJA菊池の歴史」なのだと三角組合長もいう。
 人を育てるには10年かかるといわれる。JA菊池では、平成3年に当時、熊本県農協教育センター所長だった川崎盤通氏を職員教育担当の常勤講師(22年以降非常勤)として迎え、協同活動への理解を深め、役職員の意識向上をはかる教育活動に熱心に取り組んできている。その教育を受けた人たちがいま50歳代になり、課長・部長としてJA菊池を支えている。「いまのうちに伸び盛りの30歳代を鍛えれば、"未来永劫"に大丈夫という思いがある」と三角組合長。そして「私はそうした財産を残してくれた先人に感謝しています」とも。
 さらに「モノとか金には限りがあるが、人材には限りがなく無限大」であり、「事業・組織改革をするなかで意識改革をすることができ、次々に新しい事業を生み出してきた」とも。
 そしてこれからは、職員教育だけではなく「組合員教育をしていかなければいけない」と考えている。なぜなら「協同組合と株式会社は違う」ということを、組合員にきちんと理解してもらう必要があるからだ。
 「農協改革」「自己改革」といわれるが、JA菊池ではすでに30年前から実行し、着実に成果をあげている。このことを上村さんは「農協改革は、販売事業」との一言にまとめた。この言葉がJA菊池の全てを表しているのではないだろうか。

(写真)上村幸男前会長

 

【JA菊池の概要】

●組合員数
 正組合員:7866人
 (うち、農事組合法人4、その他法人122)
 准組合員:5942人
 合計:1万3808人

●役職員数
 理事:31名
 (うち常勤3名)
 監事:7名(うち常勤1名)
 職員:457名
 常用的臨時雇用者:158名

●組合員組織
 集落営農組織:46組織
 地域営農法人:12法人
 青壮年部:337人
 女性部:2100人
 生産部会(JA菊池統一部会)耕種16部会、畜産5部会

●主要事業実績(28年度末)
 ◎信用事業
 貯金:1385億900万円
  貸出金:430億1500万円
 ◎共済事業
  長期共済保有高:4522億2300万円
  短期共済新契約件数:3万2389件
 ◎販売事業:287億200万円
  ☆うち農産・園芸関係:58億500万円
  ☆うち畜産関係:228億9700万円
 ◎購買事業:168億8800万円
  ☆うち生産資材:97億6100万円(うち飼料69億100万円)
  ☆うち農機・車両:22億7800万円
  (単位:百万円、平成29年2月末現在)

●販売事業高:287億200万円

JA菊池_販売実績表

※前編へのリンクはコチラ

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