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特集:農協があってよかった-命と暮らしと地域を守るために

2018.01.05 
【現地レポート・JA土佐あき(高知県)】「一元集荷」と「共同計算」は農業振興策そのもの(後編)一覧へ

・共同販売は農協の原点
・農協があってよかった-共同販売は農協の原点
・仲間増やす選果機導入
・農協がなかったら……

◆仲間増やす選果機導入

赤野集出荷場に導入された自動選果機(写真)赤野集出荷場に導入された自動選果機

 

エコシステム栽培のナス

 安芸市の赤野集出荷場は組合員が協議し平成24年にナスの自動選果機を導入した。
 自動選果機の導入前は農家が収穫後に自宅で園芸連の選別規格であるAL、AM、BL、BM、C、外品の6区分に選別して出荷していた。集出荷場では、それを5本詰め袋などに製品化し全国の市場に向け、出荷していた。
 収穫最盛期の5月ごろになると自家選別作業は夜遅くまで続けなければならず、高齢化が進むなか大きな負担となっていた。ケガや病気をすればそんな作業を必要とするナス栽培はあきらめざるを得ず、生産者も減ってきた。ナスは選別・出荷作業が遅れると、鮮度が落ちてツヤなし果となり、下級品となるため自家選別は農家所得にも影響を与えていた。

(写真)エコシステム栽培のナス

 

 自動選果機の導入はこうした問題を解決はするが導入費償還のための組合員負担も発生するため反対意見もあったという。しかし、「夜なべの手選別作業を続けるようでは展望が開けない」と導入を決めた。
 また、選果機導入を機に、園芸連が進めている環境保全型農業によるナスのエコシステム栽培品への生産集約と出荷量確保、秀品率の向上などに取り組んだ。
 導入前の平成24園芸年度(23年8月~24年7月)は赤野集出荷場の出荷量は1494tだったが、24年11月の導入後は2000tを超えるようになり29年度は2488tと出荷量は1000t増えた。
 エコシステム栽培品の普及による単価向上や、単位面積当たりの出荷量の増加効果等で、赤野集出荷場の販売金額は200%アップした。また、手選別ではできなかった細分化も可能となり、販売単価が高いA2M品や、CM品の規格での新規取引も始まった。販売単価をくらべると24年度1kg314円が28年度は同400円に上がった。
赤野支部園芸部の小松和幸運営委員長 赤野支部園芸部は、一時期は60人を下回った出荷者も70人を超えた。独自販売をめざし組織から離れた生産者が、自動選果機導入を機に戻った例もあるという。
 赤野支部園芸部の小松和幸運営委員長は自動選果機導入で「自家選別の必要がなくなり栽培に力を入れることができるようになったことや、高齢農家でもまだ栽培が続けられるようになりました」と変化を実感している。

(写真)赤野支部園芸部の小松和幸運営委員長

 

基本は「まとまること」。
 自動選果機の導入は雇用も創出した。また、Uターン組も含めて新規就農者が増えている。JA土佐あき全体で年に15名ほど新規就農者支援事業を行っており、小松委員長も赤野地域の新規就農のアドバイザーの役割を担っている。
 新規就農者らを惹きつけている取り組みのひとつが、管内各地で取り組まれている熱心な栽培研究会だ。ナスのエコシステム栽培品は土着の天敵昆虫などを利用し農薬使用量を抑える栽培方法だが、生産者間で研究を積み上げ、無料で利用できる天敵昆虫資源を育成するなど、栽培技術も共有して水準をみんなで上げている。
 小松委員長は「生産者のまとまりが高知のナスとして売る強みになっています」と話す。
 実は園芸連では平成26年に「土佐鷹ナス」、「室戸深層水ナス」など多数あった高知ナスの販売コードをエコシステム栽培品にブランド集約する取り組みを進めてきた。JA土佐あきの長野組合長は「ナスとはどんな食材かを改めて考えたとき、細分化したブランドづくりよりもブランドを集約し量をまとめることが大事ではないかということでした。大口取引先も買いやすくなり予約的相対取引も拡大することによって、販売単価も上がって組合員も理解されるようになりました」と話す。
 所得を上げるには差別化が必要と考えがちだが「まとまる、という基本精神に戻ることも大切なこと」と長野組合長も改めて感じている。
 経営規模の大小に関わらず共同で出荷し、また山間部からでも平野部からの出荷でも、売れたものは同一単価とする県共同計算方式を導入している。品目はナスのほか、キュウリ、ピーマン、ししとう、ニラなど現在は9品目ある。
 県域的な品質指導を行っており、県全体の技術向上につながるほか、出荷規模を大きくすることにより戦略的な販路の拡大もできるメリットがある。また、栽培方法や包装タイプ、等級、階級ごとにプール計算するため、生産者の技術と努力は販売代金に反映される。
 園芸連は、現在、東京、大阪、名古屋に県外事務所があり、県と一体となって販促活動も行っているが、平成31年からは広島、金沢、仙台の県外事務所を増設する。高知県の尾﨑正直知事が、園芸連弘田憲一会長等とともに、市場や大手量販店で、ナスやピーマンなどの高知野菜をトップセールスするのは生産者の励みにもなっている。

 

◆農協がなかったら......

漁協職員からナス農家への新規就農めざす武田加積さん(右)と斎藤委員長 「農家どうしがバラバラに競争しても高知県の農業のためにはならない。何とかみんなで手を組んで県の農産物を売り込む。共同販売方式は農業振興策そのものです」と長野組合長は指摘する。販売先があるから、小規模な山間地でも施設園芸とユズ栽培など複合経営をめざすこともできる。もちろん若手農業者には大型化、法人化を進めてもらうようJAとしても支援する考えだ。
 平成31年1月から12JA等が県域で合併しJA高知県として発足することが決まった。それにともなって30年8月から7つの集出荷場はJAが運営する集出荷場となる。29年に開かれた各総会で合意された。大正以来の生産者の自主運営組織という歴史に幕を降ろし、今後は集出荷場の連携などJA主導でより戦略的な産地として発展させる。しかし、長野組合長は「現場運営の主役はあくまで生産者であることに変わりはない。JAはあくまで後押しに徹します」と話す。
 齊藤委員長は、地元の安田町内に他の金融機関が地域から全部撤退するなか、JAは撤退していないことなどを強調し「農協は当たり前のことをしている組織。農協があってよかった。農協がなかったらここでの農業も生活もできませんでした」と語った。

(写真)漁協職員からナス農家への新規就農めざす武田加積さん(右)と齊藤委員長

 

この記事の前編は【現地レポート・JA土佐あき(高知県)】「一元集荷」と「共同計算」は農業振興策そのもの(前編)をお読みください。

 

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