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JAの活動:第64回JA全国青年大会特集

【寄稿】青年よ 未来を拓く覚悟と根性を持て!【文芸アナリスト・大金義昭 氏】2018年2月14日

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 JA全国青年大会が2月26、27日、東京で開かれる。これからの日本の農業を担う若手農業者1500人が集まり、日本農業の発展を期して結束を高める大会である。盟友のみならず全国の農業青年に、文芸アナリストの大金義昭氏が日本の未来を託し、熱いメッセージを贈る。

◆時代の制約を突き破る先頭に立つ

文芸アナリスト 大金義昭 人は「時代の子」である。生きる時代の制約を受け、その制約を突き破ってきたのも、また人である。振り返れば、そうした時代の「突破力」を惜しみなく発揮してきた先頭に、いつの時代も青年がいた。今から一五〇年前の幕末・維新期も、青年の「公論衆議」や「処士横議」が時代の歯車を衝き動かした。
 昨年秋、私は卑近の血脈を遡るべくふるさとの幕末・維新期を探索し、二年がかりで『常野記(じょうやき)』(随想舎)を上梓した。栃木と茨城の県境に位置する中山間地域が、主な舞台である。「黒船」の来航などを機に東奔西走する実在の青年群像を追いかけ、辺境の地を揺るがして近世から近代へと命懸けで駆け抜けた彼らの足跡を辿った。
 桜田門外の変・水戸天狗党の乱・百姓一揆・戊辰戦争へと疾駆する彼らの思想と行動は、長く続いた幕藩体制の制約を色濃く帯びていたが、青年を衝き動かした夢や志や熱情は、現代にも通じるものがあった。
 先の敗戦から七〇余年。戦後農政も大きな変転を遂げた。
 農地改革や新生農協の設立による小農保護政策から、一転して選択的規模拡大や離農促進による農業近代化政策へ。その失敗を繕う米の減反(生産調整)・米価抑制政策。農地流動化や農畜産物輸入自由化。さらには「グローバル経済」に拍車をかけるTPPの「大筋合意」・国会承認の強行や協同組合の解体を企てる強権的なJAバッシングと、国民のいのちと暮らしを守る「食と農」や地域社会を国内外の市場競争に晒し、"弱肉強食"を放任する「新自由主義」路線へと猪突猛進してきた。
 この間に、農業・農村では高度経済成長を底辺で支えた出稼ぎが急増し、限られた農業所得を補う農家の総兼業化が進んだ。米作に特化した農家は「過剰」生産に見舞われ、都市への人口一極集中の背後で、中山間地域の過疎化が加速した。これに鳥獣害の拡大や少子高齢社会の到来が追い打ちをかけ、耕作放棄地や遊休農地が津々浦々に広がっている。都市近郊農業もまた、押し寄せる都市化の波に洗われ、著しい後退を余儀なくされた。


◆プロの農業者として国の農業担う気概を

 場当たりの「猫の眼農政」や失政によるそうしたツケをJAに転嫁し、マスコミを動員して協同組合を亡きものにしようとする政権が、自己の利益の最大化を図る巨大資本と結託し、大手を振ってまかり通っている。究極の問題は、そうした政権を許容してきた「主権在民」の在り方にあるのではないか。得票率と獲得議席数との乖離を生み出す現在の選挙制度にも問題がある。無残な「政権交代劇」などは、言うに及ばない。
 与野党を問わず、「寄らば大樹の陰」の頭数(あたまかず)に過ぎないような小粒な政治家しか見当たらない現代に、「食と農を基軸として地域に根ざした協同組合」を発展させるために、青年はどのように行動すべきか。「主権在民」の社会にあって、国会議員は選挙民の民意を代弁する。例えば衆議院議員を、通称「代議士」と呼ぶ所以もここにある。選び、選ばれたからといって、民意に応えなければ、選挙で有権者の権利を行使するまでのことだ。
 先ずは国会議員を「先生」などと呼ぶ転倒した古い慣習から青年は抜け出し、彼らの言動を厳しく吟味する鋭利な鑑識眼を養いたい。そして彼らの一挙手一投足に、厳しい注文をつける。民意は「要請」「要望」するものではなく、「要求」するものである。民意に応えて奮闘するから、国会議員は税金で飯が食える。これが民主主義の代議制であり、断っておくが、支持する政党や政治家の如何を問わない。
 この国の農業・農村・JAの将来を担う自負心が青年にあるなら、プロの農業者としてそのくらいの根性や気概を持ち、今日の時局に望むべきである。無論、「井の中の蛙」や「お山の大将」であってはならない。


◆『ポリシーブック』を「画餅」にしないために

 昨年の本紙特集号で岡山大学大学院教授の小松泰信さんが、「目指せ 闘うJA青年組織」と銘打った提言を繰り広げている。(二〇一七年二月一〇日付)
 
 ~TPPの国会承認過程において、JAグループが支援した衆参両院の議員たち全員が行った裏切り行為を経験した青年組織やJAグループのこと、もう過ちは犯さないはず、と信じたい。(中略)PB(『ポリシーブック』引用者)という武器を駆使した政策論を基軸とした、政党や政治家との等距離外交を展開すべきである。その場しのぎの甘言や巧言を弄する発信力しかない政治家のパフォーマンスに見惚れ、聞き惚れる必要はない。地域に根ざした目線で、あるべき政治の姿を自分たちの素朴な言葉で提起する。これが(中略)「自立的な農政運動」の実践である。
 
 JA解体を目論む政府の攻撃などが続く協同組合の「有事」を念頭に置いた小松さんの提言に、私も賛同する。そうでなければ、戦後長期に渡って自己増殖する巨大資本の生贄にされ、真綿で首を絞められるように衰退や荒廃を余儀なくされてきた農業・農村は未来永劫救われない。協同組合がユネスコの「無形文化遺産」に登録され、助け合いの精神が地球規模で評価されている時代に公然と逆行する政権を戴いている以上、青年にはよほどの覚悟が必要である。
 そのためには、みずからの見識や経営能力を高め、活動を通して組織のミッションや来歴などを互いに検証し合い、直面する政策課題の実現に現場視点で挑戦していく必要がある。その意味で盟友がみずから作成する『ポリシーブック』は、身近な課題から政策課題に挑む行動の目標や活動の指針として、きわめて有効である。その『ポリシーブック』を「画餅」にしないためにも、出来るところから主体的に実践し、その成果を厳しく点検しよう。「有言不実行」や「決議すれども実行せず」は論外である。
 JA全青協のメールマガジンを覗いていたら、意気軒昂で志の高いメッセージに出くわした。黒田栄継さんが、かつて北海道農青協会長として記している次のようなくだりである。
 
 ~夢や希望は多いが、知らない事分からない事も山ほどある。(中略)何も知らない私たちだからこそ、掛け値なしで真実と向き合う事ができるはずだ。自らの価値観をもとに、みんなでくたくたになるほど考え、議論し、青臭く主張し続ける。それこそが青年に課せられた使命であり、特権であり、責任なのだと思う。
 
 幕末・維新期の「公論衆議」や「処士横議」を彷彿させる、気合の入った惚れ惚れとする言挙げではないか。「幸運は高い志を好む」と語った、ノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智さんの言葉をも想起させる明言である。


◆「現場・現状・現物」を行動の糸口にする

常野記(著/大金義昭) 一九七〇年に、私は駆け出しの記者として雑誌『地上』の編集部に配属させられた。「七〇年安保」闘争の熱気が冷め、世は挙げて「大阪万博」に浮足立っていた。岡本太郎の「太陽の塔」が記憶に残る万博には、会期中に六千数百万人の国民が押し寄せた。
 陸上自衛隊の市ヶ谷駐屯地が現場となった作家三島由紀夫の割腹事件なども、職場を騒然とさせた。ライブな情報収集に据えられていたテレビ画面に、職場の眼が集中した。事件現場に近い外濠の職場には、マスコミのヘリコプターが旋回する騒音が鳴り響いた。この年は三月に赤軍派学生による日航機「よど号」ハイジャック事件があり、四月には農政史上未曾有の米の減反政策が打ち出される。「生活基本構想」などを決議した第一二回全国農協大会が開かれたのも、同年秋であった。
 その頃、職場の先輩から諭された言葉がある。「大金君、農協の青年組織は、地に足の着いた地元での活動が大切なんだよ。都道府県域や全国域の活動も重要だが、その華々しさに目を奪われることなく、盟友の足元に目を向け、単位組織の地道な活動を見極める必要がある。組織の力量は、盟友の足元にあるんだ」
 先輩は全青協の事務局に出向した後、『地上』編集部に転属していた。「『年史』などを読み込み、活動の歴史に裏付けられた使命なども勉強しなきゃあね」と語る口調は穏やかであったが、腹に応えるアドバイスであった。「現場・現状・現物」から問題や課題を探れという「現場主義」を教えられたのである。
 全国各地に三々五々誕生していく青年組織が、県域に結集し、さらに全国域の「全国農協青年組織連絡協議会」(JA全青協の前身)を立ち上げたのは一九五四年春であった。その前年には、全国の代表者が栃木県鬼怒川温泉で会合を持ち、農協を拠り所にした組織の在り方や性格を定義する「鬼怒川五原則」を採択している。そういえば、全国農協中央会が発足したのも五四年の暮れであった。
 折しもこの国の戦後経済が、「朝鮮特需」を足掛かりに高度経済成長へ突進していく踊り場に当たっていた。一九五六年には、「もはや『戦後』ではない」とする『経済白書』が話題になる。系統農協もこの間に「財務処理基準令」や「再建整備法」「整備促進法」などの助けを借り、組織・事業・経営の基盤づくりを進めた。政界では革新・保守政党がそれぞれに合同し、いわゆる「五五年体制」が始動している。

(写真)常野記 ふるさとの幕末・維新史の著書
 

◆失敗を恐れず果敢に挑戦し続ける

 「鬼怒川五原則」はその後、改定を重ねて現在の「JA青年組織綱領」に至る。青年組織はかくして、米価闘争や農畜産物輸入自由化反対あるいはTPP交渉反対の旗幟を鮮明にした闘いの最前線に躍り出、農政運動の先陣を務めた。消費者との多彩な交流を繰り広げ、「食農教育」の現場なども率先して担っている。
 そうした活動の現場に踏み込み、北は北海道から南は沖縄県まで、数多くの魅力的なリーダーに出逢った。駆け出し記者の時代からだから、振り返ればおよそ半世紀になる。酒を酌み交わし、若い血潮をたぎらせた当時の盟友は、後年、JAグループや地域農業あるいは地方政治・経済界などのリーダーとして活躍している者も多い。身の丈で出逢った青年時代の本音の交流は、人生の財産である。生きる力にもなる。
 「人脈は外部脳」という言葉があるが、その人脈を徒手空拳で鷲づかみにできるのが、青年の特権であり、青年組織の強みや魅力でもある。かつてピーク時には五〇万余を数えた盟友が、現在は六万余に激減している。しかし、今に集う盟友は、次代の農業・農村・JAを担う精鋭にほかならない。精鋭の「器」が小さければ、次代の農業・農村・JAの「器」もおのずから矮小化するだろう。
 青年が学ばなければならないことは、山ほどある。マネジメントやリーダーシップ、マーケティングやブランディング、イノベーション、広範で多様なネットワーキングなど、数えあげればキリがない。青年の将来には、それだけ大きな夢があるということだ。JAを拠り所にその夢を実現するためにも、協同組合としての新しい在り方を現場で模索し、パワフルな女性と共にその突破口を切り拓く。青年組織は、そんな実践活動を介した「農協学校」である。
 人は一人では生きられない。どんなに賢い人でも、一人で出来ることは限られている。「一人は万人のために、万人は一人のために」を標榜する、協同組合としてのJAの存在理由がそこにある。逆風のなか「食と農を基軸として地域に根ざした協同組合」を志向するJAの「自己改革」に果たす青年の役割は大きい。
 メジャーリーグのプレイに賭けるイチローに、次のような言葉があった。
 
 選手である以上、プレッシャーは感じていたいと思います。プラスにするもマイナスにするも自分次第です。プレッシャーのない選手でいたいとは思いません。(『夢をつかむイチロー262のメッセージ』編集委員会・ぴあ)
 
 イチローに限らず、優れたアスリートや世の経営者には、目の覚めるような言葉がある。盟友諸兄も失敗を恐れず果敢に挑戦する、農業・農村・JAの栄光の「選手」なのだ。失敗は「失敗したところでやめてしまうから失敗になる。成功するところまで続ければ、それは成功になる」という松下幸之助の名言も添えておこう。

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