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特集:今こそ農業界の事業承継を

2018.03.08 
【JAの事業承継】都市部と中山間地で異なる事業承継に挑む(JA広島市)一覧へ

中四国地方最大の都市、広島市を拠点とするJA広島市は、管内に市街化区域農地を多く抱えており、典型的な「都市型JA」ならではの悩みをもっている。放っておけば農地が宅地などにすぐに転用されてしまう恐れがあるからだ。また中山間地域でも農地の減少が続いている。都市部における農地の非農地利用と中山間地での耕作放棄地の増加にどう歯止めをかけていくかは結局、後継者をどう育てていくかにかかっており事業承継はJA広島市にとっても最重要の課題となっている。
 特に都市近郊の農地の維持確保はきわめて深刻で解決が急がれる問題だ。しかし、その対応の中心は固定資産税や相続税対策に追われ、農業の事業承継という本来的な意味からはほど遠い動きとなっていた。そこで平成28年度から5次営農振興計画を立ち上げ農業の事業承継という切り口から本格的な対応を進めることになった。
 具体的な取り組みの一つは、より組合員の近くで営農指導を展開するため、管内を17地区に分け、そこに新たに地区リーダーを含め21名の営農・畜産指導員を購買店に配置し、それらが実質的にはTACとしての機能・役割を果たすようにしたことだ。それまでは、3つの営農事務所に集約して配置していた。都市部と中山間地域とでは農業振興や事業承継への考え方やニーズも異なるので、きめ細かい対応を図っている。
 そうした取り組みを通して明らかになったのは、事業承継に対する親世代と子世代の感度の違いだった。特に都市部で農業を営む親世代は、これまで生産緑地法の改正や納税猶予の問題などについて真剣に勉強してきたが、継ぐ側の子世代は「農業を継いだら、いったいいくらくらいのお給料が貰えるのか」という程度の意識レベルだった。
 その一方で、20代から30代の若い人の中でも農業に関心を寄せている人も確実におり、これについてはある種の光明を感じていると三浦隆志営農経済部長は言う。いずれにしろ、この差をどう縮めていくのか、その仲立ちをどう図っていくのか。JA広島市にとっての最大課題であることに変わりなく、今後はJA広島中央会やJA全農ひろしまなど、JAグループ広島全体の力や他の行政機関との連携なども視野に入れながら問題解決にあたる方針だ。また事業承継や税務に関するセミナー開催などを通じた情報発信による意識改革にもより一層積極的に取り組む。
 2月20日には第3回目となる「農業経営」の円滑な承継、および農業経営のポイント」と題したセミナーを広島市内で開催する予定だ。
 忘れてはならないのは、事業承継にとっての主役はあくまで組合員だということだ。特に都市部で農業を営む親世代は、相続対策や農地に関する制度改正等について、熱心に習得するものの、一般企業に就職した子世代は、「農業を継いだら、どの程度の年収があるのか」を問題視しており、意識レベルの差も生じている。
 しかも事業承継の形はさまざまあるので、個々の経営における事業承継の最適値を見出すこと。その模索へ向けた真摯な取り組みに、JA広島市における農業の事業承継、ひいては地域農業の未来がかかっている。

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