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特集:第40回農協人文化賞-わが体験と抱負

2018.07.11 
【経済事業部門受賞】出向く体制で地域密着 市川峰男・JA一志東部代表理事組合長一覧へ

 7月5日に開催された第40回農協人文化賞で受賞された17名の方々に、これまでの農協運動の体験談と今後の抱負についてお書きいただきました。JAcomでは、その内容を数回に分けて紹介していきます。本日は経済事業部門で受賞した二人、市川峰男JA一志東部代表理事組合長と久保和平JA京都常務理事を紹介します。

市川峰男・JA一志東部代表理事組合長

私は、昭和45年10月に当時の三雲町農協に入組しました。農協人生の中で特に印象深いのは、入組から7年が経ったころに新しくオープンしたAコープ三雲店の店長に就任し、11年間の店長職務を通じて行なった取り組みの数々です。
 同店舗は、当時県内に30近くあったAコープの中で、地元の旧三雲町農協と旧三重県経済連子会社とで共同出資した株式会社が運営する県下初のAコープ店舗でした。前例のないことに四苦八苦しながら、それまで経験してきた管理・金融部門で学んだ経営スキルを活かして店舗の収支管理を行い、3年で黒字化を実現できました。
 地域社会の食を支える生活基盤であるAコープを経営するうえで大切にしてきたことは、県内の組織内での結びつきを強くすることです。店長として店舗を運営しながら、他JAや旧経済連のAコープ新任担当者の研修を受け入れ、現場指導を行いました。また、売り出しなどの繁忙期で人手が足らないときには、JAを跨いでスタッフを派遣するなど、県内Aコープ店舗の経営強化や現場力の向上に取り組みました。当時の研修生は店長経験を経て、多くの方がJA役員に登用され、微力ながら現在の三重県内JAの事業運営にも少し貢献することができたのではないかと感じています。

 

◆   ◇

 

【第40回農協人文化賞・経済事業部門受賞】怒らず恐れず悲しまず 市川峰男

 一志東部農業協同組合は、平成元年に旧嬉野町農協と旧三雲町農協、平成2年に旧香良洲町農協が合併し、現在に至っています。この変遷の期間には、資材課長、経済部長を経験し、生産現場の最前線で、水稲を中心に、管内の特産である「いちご」「いちじく」「大根」「梨」などの生産振興や、農家の経営を支援する経済事業の改革や営農センターの運営強化などに取り組んでまいりました。
 JA管内は、三重県のほぼ中央に位置し、南から北にかけては短く、東から西には約30㌔と細長い地形であり、高須の峰の麓から伊勢湾岸の平たん地にかけて、様々な地形を活用した農業が営まれています。ただ、いたずらに品目を増やすのではなく、小規模JAにおいて本当に生産者のためになることは何かと考えたとき、「安定供給できる農産物が農家の安定収入につながる」という思いに至りました。そこで、品目を絞って奨励対応する方針を掲げ、「ブロッコリー」に着目しました。ブロッコリーは、管内の三雲・嬉野地区で特定野菜産地に指定されるほどで、三重県内2位の規模となっています。近年では、生産者の高齢化で生産規模縮小が懸念されている中、安定供給のためにはもう一度産地規模を拡大することが必要という考えから、新規就農者には1a分の苗を無償で提供するなど、栽培農家の負担軽減に繋げる取り組みを実践しました。
 私は、「やってみようか」というチャレンジ精神を大切にしたいと思っています。初めは小さな一歩でも、営農指導員が出向いてフォローすることで、「本格的に栽培してみようか」と意欲がわいてくる生産者も増えてまいりました。今後も、規模の小さい定年帰農者や家族農業の生産者も積極的に支援していきたいと考えております。
 14年6月に理事、17年6月に常務理事に就任後は、支店の統廃合の協議を進め、19年5月には、それまで11か所あった支店を3か所に統合した体制でスタートさせました。支店統廃合は現在、全国的な課題となっておりますが、経営が悪くなってから動き出すのではなく、よりよい形にするため、前向きに先行してすすめました。一気に縮小することでサービスの低下を招くのではないかと懸念する声も多くありました。
 しかし、これを機に、これまでのように支店で待つのではなく、小規模JAならではの機動性を生かして、全部署・全職員が「組合員の元に御用を伺いに行く」こととし、組合員に出向く体制を確立すること、座談会を開催してこの体制を広く周知することで、営農・経済・生活などのあらゆる分野で組合員との結びつきを強めることになり、金融事業への影響はほとんどありませんでした。

品目を絞って地域農業を振興(写真)品目を絞って地域農業を振興

 

 代表理事組合長に就任後は店舗整備を推進。老朽化した支店を移転するとともに、セレモニーセンターの開設に取り組み、組合員や地域利用者が求めるサービスの提供に努めています。また、地産・地消や女性部に注目し、女性の潜在力を発揮できる場をつくるため、地域の農産物を原料とした加工施設の整備を進め、産直・インショップでの販売に繋げていきます。今後も、このような取り組みを拡充し、地域活性化と雇用の創出に努めていきたいと考えています。
 JA一志東部は、今年で合併30周年を迎えます。農業を取り巻く環境が厳しいなか、「農業所得の増大」「農業生産の拡大」「地域の活性化」の3つを基本目標に掲げ、まさに農業協同組合の原点に立ち、「JAがあってよかった」と言っていただけるJAを目指して、今まで以上に全力を注いでいく所存です。

 

【略歴】
(いちかわ・みねお)
昭和24年生まれ。
45年三雲村農協入組、52年Aコープ三雲店長、平成元年一志東部農協に合併、資材課長、2年経済部長、6年参事(経済部長兼務)、8年参事(経済部長兼務を解く)、9年退職、14年理事、17年常務理事、26年6月代表理事組合長。

 

(写真)品目を絞って地域農業を振興

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