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特集:第40回農協人文化賞-わが体験と抱負

2018.07.11 
【経済事業部門受賞】農家と共に地域と共に 久保和平・JA京都常務理事一覧へ

 7月5日に開催された第40回農協人文化賞で受賞された17名の方々に、これまでの農協運動の体験談と今後の抱負についてお書きいただきました。JAcomでは、その内容を数回に分けて紹介していきます。本日は経済事業部門で受賞した二人、市川峰男JA一志東部代表理事組合長と久保和平JA京都常務理事を紹介します。

久保和平・JA京都常務理事(企画管理担当) 「箸よく盤水を 廻す」
 水盤の中に水を入れ、中央に箸を一本立て、クルクルと小さな円を描き、これを続けていくとやがて水は箸のまわりを回り出し、その円は次第に大きくなって、最後、盤の中の水は全体が同じ速度で回り出す。仕事も組織も同じで、小さな事でもコツコツと努力を怠らなければ、波紋が徐々に広がって自分でも驚くような大きな完成を見ることができる。
 このことばに出会ってからずっと大切に思い、そして信じてすべての仕事に携わってきました。
 私は昭和47年、当時の京都府経済連に入会し、主に生活購買事業を担当しました。そこで出店ラッシュを迎えつつあったAコープ店の店舗指導や生鮮品納入業務をしたあと、経済連の直営店舗としてオープンしたAコープ店に出向し鮮魚部門を任されました。
 見よう見まねで鮮魚を捌く技術を磨き、市場に通い魚の知識を深め、寿司屋で盛り付けを研究したり、消費者との対面販売に苦労したことは自身の宝となり、その先JAマンとして私が仕事をしていく上での確かな礎になったと思っています。
 昭和55年に過疎化が進む地元のJA京北町に転籍、担当したのが移動購買車事業の仕入れと管理でした。店舗から遠い利用者に必要とされながらも品揃えが少なく、事業としては行き詰まり感がありました。私は、思い切って冷蔵設備のある移動購買車に更新し、生鮮3品が揃う移動店舗へと転換をはかることで、利用者に喜ばれ、売り上げも伸ばすことができたことは、当時のささやかな自慢でした。
 平成12年に8JAが広域合併して、JA京都南丹が発足、初代の京北支店長を命ぜられました。支店統廃合や事業方式の見直しなどに積もり積もった組合員の不満や不安、要望等が一斉に噴き出すなか、第一線で体を張って、いつ、どこでも、誰とでも徹底的に話し合い理解を求めることに努めました。
 14年にJA福知山市と合併した時に京都農業協同組合に改称、15年にJA亀岡市、17年にJA京都丹後と合併を重ね現在に至っています。私は、16年から営農部長、営農経済担当参事を務めた後、19年から常勤役員として、常勤監事、営農経済担当常務、信用担当常務を歴任し、今は人事企画管理担当常務として職務に励んでおります。
 京都府の農業は零細でほ場規模も小さく大規模化、効率化が難しい地域でもあることから、JAグループ京都では、農家所得の向上のため「京野菜」のブランド化に取り組み30年が経過しました。現在では、京みず菜、京壬生菜、賀茂なす、九条ねぎ、聖護院かぶ、京こかぶ等が認証され、京都ブランドを最大限活用した攻めの農業を展開しながら、京都や東京市場はじめ各地で有利販売に努めています。

 

◆   ◇

 

【第40回農協人文化賞・経済事業部門受賞】箸よく盤水を廻す 久保和平・JA京都 常務理事(企画管理担当) さらに、25年からは「京野菜世界ブランド化プロジェクト」として、フランス・パリのベルサイユ宮殿での晩餐会の開催を皮切りに、トルコ、中国、ロシア、イギリスと回を重ね、今年は、バチカン市国=バチカン美術館で催し、食に名のある世界各地で、素晴らしい会場を提供して頂いてこのイベントを成功させています。
 私どもも京野菜、京の肉の主要産地としての役割と責任を果たすため、生産者の皆さんと一緒に積極的に参加し、農産物輸出の世界戦略のなかで農家所得向上につなげられるよう、取り組んでいるところです。

 

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 申すまでもなくJAの本来の使命は農家を儲けさせることです。いかに生産資材を安く供給し、生産された農畜産物をいかに高く販売するかは、すべてのJA役職員の共通した思いです。
 JA京都では、21年に府下最大規模の農畜産物直売所「たわわ朝霧」をオープンしました。米・野菜が中心の品揃えながら、順調に売り上げを伸ばし、年間売上が9億円近くとなりました。特筆すべきは隣接する支店の貯金残高が、当初の90億円が昨年度末には150億円を突破したことです。来店客のJA利用という波及効果が出ていると実感しています。
 一方、本来の目的達成のためには厳しい決断も必要です。JA京都における経済事業改革は、地域に合った自己改革に取り組むことを基本にAコープ店、GS、農機センター等の拠点型事業は全農への移管をはかり、旅行事業は農協観光へ事業譲渡するなど、組合員、利用者への価格低減、迅速なサービスの提供、利便性の向上をはかる取り組みを進めました。いろいろ議論もあるなか、結果として利用者と事業が結びつくことで評価もいただきました。

農産物直売所「たわわ朝霧」と隣接するJA京都篠支店(写真)農産物直売所「たわわ朝霧」と隣接するJA京都篠支店

 

◆   ◇

 

 何年か前のある研修会で「あなたの夢は?」と問われ、私は思わず「伝説のJAマンと言われるような足跡を残すこと」と答えてしまい、とても恥ずかしい思いをしました。ほど遠い夢・目標でありますが、今回の受賞を励みとして、組合員のため、地域のため、後に続く後輩職員のために、精一杯さらに精進いたす所存です。

 

【略歴】
(くぼ・かずへい)
昭和28年生まれ。
47年京都府経済連入会、55年京北町農協入組。平成4年同信用部次長兼融資課長、16年京都農協営農部長、18年同営農・経済担当参事、22年同営農経済担当常務、25年同信用担当常務、29年同人事・企画管理担当常務。

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