国民益侵害するTPP、即時脱退を 大学教員の会2013年8月22日
TPP参加交渉から即時脱退を求める大学教員の会は8月20日、安倍総理に対して「国民益を根幹から侵害するTPP交渉からの即時脱退を求める要望書」を提出、記者会見を開いた。
大学教員の会は、マレーシア会合から日本が参加し、これまで伝えられた情報をもとに、「TPP交渉が米国と一握りの多国籍企業に日本の国民益を売り渡す屈辱的な壊国交渉であることが一層明白になった」と強調した。 その「最たるもの」としたのは、米国保険会社のアメリカンファミリーが全国の郵便局でガン保険を売り出す提携したこと。これはTPP交渉参加の「入場料」として米企業の販路拡大を約束したものと批判する。
そのほか▽「知的財政権」で米国は医薬品の特許期間延長を求めているが、これが実現すれば安価な後発薬(ジェネリック医薬品)の普及率を現在の21%から2017年までに60%以上に引き上げて医療財政を立て直そうとしているわが国の政策に決定的な障害となる、▽「環境」分野では漁業補助金の禁止も要求しているが、漁港整備や燃油高騰対策が禁止さされば震災復興にも多大な打撃を与える、などの問題も指摘している。
また、農産物の関税撤廃問題は、これから交渉が本格化するとして日本の主張が実現できる余地があるような楽観論があるが、交渉参加国には日本の重要5品目の輸出大国がひしめいており「これらの国々を相手に関税撤廃の例外扱いとする要求を実現することは不可能と言って間違いない」と訴えている。 こうした状況をふまえ大学教員の会は「日本の食料主権、環境、健康、司法権など国民主権の根幹が侵害される懸念が現実になる」として「TPP交渉から脱退することこそ、わが国の国民益を守る最善の道」と政府に訴えるとともに、TPPに固執することなく、東アジア包括的連携協定(RCEP)など代替政策の検討を政府に求めた。
記者会見には大西広・慶応大学教授、楜沢能生・早稲田大学教授、鈴木宣弘・東京大学教授、醍醐聰・東京大学名誉教授が出席した。
(写真)
大学教員の会記者会見、8月20日参議院議員会館にて
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