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【TPP】「方程式合意」で決議実現できるか?2014年5月12日

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交渉対象は5品目全体に「聖域」崩しの懸念

 TPP(環太平洋連携協定)交渉は4月の日米協議では大筋合意には到らなかったものの、その後、政府の報告では「方程式合意」には到ったという。関税の削減幅や削減にかける年数などの数字に合意した事実はないものの、税率、期間、セーフガードの発動基準など、いくつかの「要素」とその組み合わせで決着を図ることに合意したというのが、政府の説明する方程式合意だ。たとえば、関税の引き下げ幅が大きければ、期間は長くする。逆に幅が小さければ期間は短くするというようにそれぞれの「要素」はトレードオフの関係にある。今後は、これらをどう組み合わせれば妥結できるのか、厳しい交渉が行われることになるが、方程式合意は米、麦、牛肉・豚肉など重要5品目も対象だ。
 「聖域」を守れるのか、いよいよ焦点になる。

◆「進展以上、合意未満」

 4月24日の日米首脳会談と、前後のTPP日米協議の結果をめぐって、豚肉や牛肉の関税削減数値が決まったなど、農産物では実質合意をしたという一部報道が続いている。また、公式には大筋合意には到らなかったとするが、実は合意しているのでないかとの指摘もある。
 これらに対して5月2日、内閣官房TPP政府対策本部が記者会見を開いた。
 渋谷和久内閣審議官はオバマ大統領も「重要な進展があった」とは発言しているものの、合意には到っておらず「進展以上、合意未満というのが日米両国の認識だ」と強調し、「特定の品目について数字だけ合意したという報道があるとすると、それは違う」、「実は合意しているけれども、いろいろな配慮でそう言っていないと思われているとしたら、それは違いますと明快に申し上げたい」と一部の報道を否定した。
 米国のフロマンUSTR(通商代表部)代表は5月1日、米国議会の財政委員会公聴会で「われわれは合意には達しなかった」と発言したうえで、首脳会談で「農業と自動車において、前進する道筋を特定した」と強調した。
 その道筋についてフロマン代表は「パラメーター(変数)を整理し始める」と説明している。これを甘利明TPP担当大臣は「方程式については合意した」と話していると渋谷審議官は説明、日米双方で交渉を進めるための一定の項目を設けることには合意したのが現状だと強調した。

◆パッケージ合意が前提

 その方程式を構成する要素については▽関税率、▽関税削減にかける期間と削減方法(ステージング)、▽初年度の関税削減率(フロントローディング)、▽セーフガード(緊急輸入制限措置)の発動要件、▽低関税輸入枠などがある。
 この方程式合意については、4月25日午後、日本から韓国に向かった大統領専用機エアフォースワンのなかで行われた米国政府による記者ブリーフィングのなかでも、米国政府高官は「パラメーターについて共通認識を得た」と説明したうえでパラメーターについてはトレードオフの関係にあることを解説していると渋谷審議官は明かした。
 トレードオフの関係とは、たとえば関税の引き下げ幅を大きくすれば期間は長くし、引き下げ幅が小さければ期間は短く、という関係だ。さらに、そこにセーフガードの発動要件などが絡む。つまり、特定の品目について合意するには、関税率だけでなく、いくつもの要素についてもセットで合意することが必要だというのが方程式合意であり、「ほかのファクターは後回しにして数字だけが先に決まるというものではない」(渋谷審議官)という。
 ただ、こうした要素に合意していくために数字は議論されている。ある数字をあてはめた場合に、他の要素がどうなるのかは「作業仮設として当然議論している」というが、あくまで全体のパッケージとして合意されるもので、ピンポイントで先決めされるということはないとTPP政府対策本部は繰り返し強調している。

◆喧嘩別れからは前進?

 渋谷審議官の説明によると、日米交渉について「お互いの陣地にいる間は、米国は基本的に(関税)ゼロないしそれに近い線、日本はなるべく現状維持したいということ」が基本線だと話し、ただ、「数字だけの議論をすると距離が縮まらない。さまざまなファクターについてパッケージで議論をしないとお互いの距離が縮まらないね、ということに共通認識を得たと思う」と述べ、「これまでのほとんど喧嘩別れのような状況からすると大変な前進」、「パッケージで何を議論しなければいけないか、整理ができたという意味で少なくとも日米が合意する可能性がずいぶん高くなってきているのは事実」とまで日米協議の成果を評価した。
 しかし、具体的な合意事項はないものの、この「方程式合意」は重要5品目全体と自動車が対象だ。
 たとえば、関税率とセーフガードはある特定の品目でトレードオフの関係にあるが、同時にある品目とある品目もトレードオフの関係にあることも忘れてはならない。渋谷審議官も5月2日の会見で「ある品目についての結果が他の品目の扱いについて当然影響してくる。たとえば5品目あったときに、そのうちの2品目だけ先に合意することもあまり考えられない」と話している。
 これは一部で繰り返し豚肉と牛肉についてはすでに関税大幅引き下げで合意されているなどと一部合意報道を否定する説明だが、それは同時に、この方程式をもとに交渉する際は、米、麦、乳製品なども対象になり得ることを示すといえる。ある品目を守るために別の品目で厳しい譲歩を迫られかねない構図ともいえ、重要品目全体、さらに自動車分野交渉との関連も視野にいれなければならない。
 甘利大臣は9日の自民党TPP対策委員会に出席し「国益をふまえてどこまでがんばれるか交渉をしているところ。出てきた結果が公約違反かどうか。われわれは公約違反ではないぎりぎりの線を狙っていかなければならないが、最終的には国会の判断」と述べた。
 石破茂幹事長は「方程式の“解”が再生産可能かどうか、解がどう出るかという話に尽きると思う」と述べ、TPP交渉と同時に、農政改革、所得倍増の「3つが鼎立するよう引き続きやっていきたい」などと話す。
 TPP交渉は12日からベトナムで首席交渉官会合が始まり、19日からはシンガポールで閣僚会合が予定されている。それまでに日米の事務レベルでどれだけ調整が進むかが当面は焦点になる。


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