強権的な「政治の言葉」に危機感 「傍観から関与」へ 歌人がシンポ2015年12月7日
本来、政治の言葉は直截的で分かりやすくあるべきだが、最近安倍政権のは強権的、情緒的でさえある。これに危機感を感じた歌人が12月6日、東京で「時代の危機と向き合う短歌」について緊急シンポジウムを開いた。
シンポジウムを主催したのは「強権に確執を醸す歌人の会」で、日本歌人協会や現代歌人協会のメンバーなど約400人が参加した。主催者の名称は石川啄木が、大逆事件の直後書いた「我々日本の青年はいまだかつての強権に対して何らかの確執をも醸したことがない」(「時代閉塞の現状」)から引用。
呼びかけ人である日本歌人クラブの三枝昂之会長は、「弾薬は武器ではない」「法的安定性は問題ない」「早く質問しろよ」や「1億総活躍」などにみられような、政治家の強引な発言や言葉について、「時代の危機を感じる」と訴えた。
講演では京都大学名誉教授の永田和宏氏が「危うい時代の危うい言葉」で話し。「民衆から言葉が奪われていくステップとして、言論弾圧、自粛という形の萎縮、言葉に対する脱感作(免疫)、不感症、そして抵抗できないオールマイティの言葉の多用」を挙げ、それぞれの段階で進行していることを指摘。
その上で、歌人が素材として政治を選ぶ「機会詠」の重要さを指摘。「歴史的出来事は残るが、そのときの庶民の感情はどうだったか残すのが歌人の役割」と、政治に対して傍観でなく、関与していく必要があることを強調した。そのうえで、とかく他人事になりがちな沖縄、難民問題に「歌人としてどう関わるか」と問題提起した。
また、短歌雑誌「りとむ」の編集人、今野寿美さんは「時代のなかの反語」で報告。「言葉がさらされる危うさは、表現の危うさを意味する。作品は、時には時代状況のなかで曲解され、悪用もされる」と指摘し、与謝野晶子の詩「君死にたまふこと勿れ」をその例として挙げる。
戦前は反戦・天皇(制)批判として、戦後は
反戦・平和主義をもてはやされる読み方をされた。「文学作品の正しい読みを取り戻す必要がある」と指摘した。
(写真)時代と向き合う歌人の在り方で意見交換するシンポジウム
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(90)みどりの食料システム戦略 現在の技術で実現可能でしょ(4)2024年4月20日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(7)【防除学習帖】 第246回2024年4月20日
-
土壌診断の基礎知識(16)【今さら聞けない営農情報】第246回2024年4月20日
-
地域複合農業戦略に挑む(2)JA秋田中央会会長 小松忠彦氏【未来視座 JAトップインタビュー】2024年4月19日
-
農基法改正案が衆院を通過 賛成多数で可決2024年4月19日
-
【注意報】さとうきびにメイチュウ類 伊是名島で発生多発のおそれ 沖縄県2024年4月19日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:JA水戸 那珂川低温倉庫(茨城県) 温湿度・穀温 適正化徹底2024年4月19日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ対策を万全に 農業倉庫基金理事長 長瀬仁人氏2024年4月19日
-
食農教育補助教材を市内小学校へ贈呈 JA鶴岡とJA庄内たがわ2024年4月19日
-
【浅野純次・読書の楽しみ】第97回2024年4月19日
-
(380)震災時は5歳【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年4月19日
-
【JA人事】JA道北なよろ(北海道)村上清組合長を再任(4月12日)2024年4月19日
-
地拵え作業を遠隔操作「ラジコン式地拵機」レンタル開始 アクティオ2024年4月19日
-
協同組合のアイデンティティ 再確認 日本文化厚生連24年度事業計画2024年4月19日
-
料理酒「CS-4T」に含まれる成分が代替肉など食品の不快臭を改善 特許取得 白鶴酒造2024年4月19日
-
やきいもの聖地・らぽっぽファームで「GWやきいも工場祭2024」開催2024年4月19日
-
『ニッポンエール』グミシリーズから「広島県産世羅なしグミ」新発売 JA全農2024年4月19日
-
「パルシステムでんき」新規受付を再開 市場の影響を受けにくい再エネ調達力を強化2024年4月19日
-
養分欠乏下で高い生産性 陸稲品種 マダガスカルで「Mavitrika」開発 国際農研2024年4月19日
-
福島県産ブランド豚「麓山高原豚」使用『喜多方ラーメンバーガー』新発売 JAタウン2024年4月19日