農業の課題解決へ連携-JAグループ・経団連の首脳が懇談2016年8月3日
経団連とJAグループの首脳による懇談会が8月2日に東京・大手町のJAビルで開かれた。これまでの連携の成果と今後の取り組みなどをめぐって意見交換し、今後も適宜、トップ同士の意見交換を行っていくことを確認した。
JA全中の奥野長衛会長は「農業を成長産業化するため、生業(なりわい)から産業への道筋をしっかりつける必要がある。TPPの問題を解決していくなかで、われわれも構造転換して大きく変わらなければならない。経済界と一緒に問題を解決していきたい」とあいさつ。
経団連の榊原定征会長(東レ相談役最高顧問)は「農業が成長産業となることを期待している。そのためのソリューションとして、経営力の強化、生産性向上、物流の効率化などのノウハウ、技術を提供し、農業に貢献していきたい。
今後も引き続き連携を強化し、共通の目標に向かって進みたい」とあいさつした。
JAグループと経団連との意見交換はこれまでも行われてきたが、両会長の就任後は初めての開催となった。
懇談会ではこれまでの連携の成果と今後の取り組み、JAグループの自己改革などについての報告と意見交換をした。
ICTの活用やロボット導入、鮮度保持の技術開発、新たな生産資材開発などで成果をあげており、現在14件の取り組みが進んでいるという。
その成果のひとつが高精度気象予測システム。NTTが開発したもので、JAの営農指導員や大規模な担い手を利用対象にしたJA全農の営農支援情報「アピネス・アグリインフォ」に導入して活用している。急速な天候悪化なども予測でき、早めに収穫するなどの対応ができているという。
経団連によると今年1月に会員企業に対してアンケートを実施し、農業側へ提案したい案件の掘り起こしなどを行ったという。同時に全農などと意見交換も行い、双方向で連携を拡大していきたいとしている。
生産資材価格の引き下げが政府与党で議論されているが、この日の懇談会では具体的な意見交換は行われなかったという。
懇談会の出席者は以下のとおり。
(経団連側)
榊原定征会長(東レ相談役最高顧問)、十倉雅和副会長/農業活性化委員長(住友化学社長)、飯島彰己副会長/国際協力委員長(三井物産会長)、中村邦晴審議員会副議長/通商政策委員長(住友商事社長)、久保田政一事務総長、根本勝則常務理事、藤原清明常務理事・秘書室長
(JAグループ側)
奥野長衛JA全中会長、森永利幸JA全中副会長、田波俊明JA全中副会長、長澤豊JA全農経営管理委員会副会長、市村幸太郎JA共済連経営管理委員会会長、河野良雄農林中央金庫代表理事理事長、神出元一JA全農代表理事専務、比嘉政浩JA全中専務理事、大西茂志JA全中常務理事。
(写真)経団連とJAグループ首脳との懇談会。東京・大手町のJAビル
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