農協改革「組合が主体的に進めることが大事」-森山農相が退任会見2016年8月3日
森山農相は8月3日午後の臨時閣議で辞表を提出した後、農水省で退任会見を行った。在任中に手がけた農業団体との定期的な意見交換は「前向きな議論ができた。非常に大事なこと」と今後の農政のあり方として評価するととともに、農協改革については「組合が主体的に物事を考え進めていくことが大事。役所が命令する次元の話ではない」と強調した。
森山農相が就任したのは昨年10月7日。TPP大筋合意から2日後だった。
森山農相は「就任と同時に、国民にTPPの合意内容をしっかり伝えることがもっとも大事なことだと思い、職員と説明に努力した」と就任当初を振り返り、「多くの国民に正しく理解が進んでいるように思うが、一部のみなさんのなかには誤解に基づく批判があることも承知している。今後とも国民のみなさんに丁寧な説明を重ねていくことは大事なことだと考えている」と述べた。
今後の農政で「もっとも大事なことは米政策の推進」と指摘し「30年度から制度が変わるが、今はいちばん大事な助走期間。需要と供給のバランスがとれた主食用米生産と、われわれがめざすのは水田フル活用。そこがぶれることがないようにがんばっていくことが大事」と述べた。
また、農協改革については「あくまで協同組合であり、主体的におやりいただくこと」。生産資材価格の引き下げなどでは課題もあるとしながらも「われわれが忘れてはならないのは、協同組合は1人1票づつ持っている組織。その組合が主体的に物事を考え進めることが大事なことだと思う。役所が命令するという次元の話ではない。そういうことは誰も考えていないだろう。農業団体も主体的に取り組んでいただきたい」と強調した。
生乳の指定団体制度問題は秋に向けて議論が続くが「指定団体制度が果たしている機能は、何としても維持をしなければならない。そのなかでもう少し改革できるところがあるのではないか、それが酪農家の利益につながっていくのではないか、と考えている。ただ、指定団体制度が果たしている機能が損なわれるような改革ということだけは間違ってもしてはいけないと思っている」と述べた。
大臣経験者として、今後も党内で農業政策に影響力を持つことなるが「一言でいえば、農家の所得をいかに向上させるかを考えていきたい」と話した。
(写真)退任会見する森山農相
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