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2017.02.17 
生乳改革 補給金を恒久的制度へ一覧へ

用途別取引が交付要件

 農林水産省は加工原料乳生産者補給金制度の恒久的な制度とし「指定生乳生産者団体」を畜産経営の安定に関する法律に引き続き位置づけるなどの改正法案の骨子を2月17日の自民党農林関係合同会議に示した。

 脱脂粉乳やバターなどに仕向ける加工原料乳には生産者補給金が交付されているが、今回の改革では交付対象者を拡大する。これまでは暫定的な制度だったが恒久的な制度として位置づける。
 生乳生産量と飲用牛乳需要が減少傾向にあるなか、需要の増加が見込まれる乳製品に生乳を仕向けやすい環境を整備し、需給状況に応じた乳製品の安定供給の確保が法改正の狙いだ。
 現在の「指定生乳生産者団体」(指定団体)は法律に位置づけ、これまで同様の補給金の交付を受けることができる。
 ただし、指定団体に出荷する酪農家以外でも要件を満たせば補給金を交付する。その要件は「年間を通じた用途別需要に基づく安定取引」とする。それに基づいた年間販売計画を作成し農林水産大臣に提出することを義務づける。
 飲用向けに売れない時期にだけ加工用に販売し交付金を受け取るといった、いわゆる部分委託による「いいとこ取り」を排除する。
 そのために農水省は指定団体が取引を拒否できる場合の省令案を示した。
 それによると(1)生乳生産の季節変動を超えて変動する生乳取引を求められる場合、(2)短期間の生乳取引を求められる場合、(3)特定の用途仕向けに販売することを条件とした生乳取引を求められる場合、(4)生乳の品質が指定団体の定める統一的基準に満たない生乳取引を求められる場合、(5)生産した生乳のうち売れ残ったものを持ち込むような取引を求められる場合とした。
 これを生産局長通知として生乳受託契約例に明記するという。また、いわゆる指定団体に出荷しないアウトサイダーでも合意があれば全量委託を可能とするほか、部分委託の現状について国がチェックする方針も示した。 また、指定事業者に対しては条件不利地域など集送乳に経費がかさむ地域からの集乳も拒否しないことなどを条件に集送乳調整金を交付する。現行の指定団体も当然対象となるが、要件を満たせば他団体も対象となる。

◆酪農経営の安定を

 日本の酪農家が生産する生乳の97%は指定団体に出荷され、全量委託のもと需給に合わせて用途別取引を行っている。加工原料乳生産者補給金は飲用乳価との差を埋め酪農経営の安定を図るものだ。今回の改革は指定団体に出荷していない3%の酪農家も交付金の対象とする。17日の自民党の会合に出席した(有)本川牧場の本川和幸社長は「何のための改革か分からず釈然としない。飲用向けの不需要期だけに加工原料向けに出荷して交付金で補てんを受けるなら違和感がある」と主張するとともに、飼養頭数を増やす大規模化より乳質を上げる技術力が重要でそれを評価する仕組みが酪農生産基盤の強化につながると指摘した。
 JAグループはJA全中の奥野会長とJA北海道中央会会長の飛田酪農委員長が出席して法案の具体化に向けて要請した。 重点事項は▽需給と価格の安定によって消費者への国産牛乳・乳製品の安定供給と酪農所得の増大を実現することを法律の目的で明確にすること、▽指定団体の機能強化が図れるよう、用途別の需給調整、集送乳の合理化、乳価交渉力の強化等の機能を法的に位置づけること、▽部分委託(分割委託)は指定団体の円滑かつ安定的な取引を確保できるよう指定団体に出荷する生産者の公平な取引ルール等を具体化することなどを強調した。
 会合で自民党の西川農林食料戦略調査会長は法案の具体化に向けて「公平感を確保し、いいとこ取りはさせない。部分委託は国全体が把握しておいたほうがいい」などと指摘したほか、プール乳価のなかでも、乳質を評価する仕組みの必要性も指摘した。

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